たとえ距離が長くても、パー3は1オンしたいと思っている人は多い。でも実際はダボやトリなど大たたき……。そんな経験は誰にでもあるだろう。「距離の長いパー3はスコアを"3.5"で考えれば大叩きする危険は減ります」と言うのは、男子ツアー最終戦の最終ホール「東京よみうりCC」の18番(パー3 227Y/ツアー設定)とまったく同じパー3を持つ兄弟コース「千葉よみうりCC」でレッスンを行う野内尚美プロ。「3.5」で考えるコースマネジメントについて説明してもらった。

【227ヤード・パー3】東京よみうりカントリークラブ18番でプロはどう考えた?

画像: 東京よみうりカントリークラブ18番(227ヤード・パー3)トッププロでも嫌がる日本一有名な長いパー3だ

東京よみうりカントリークラブ18番(227ヤード・パー3)トッププロでも嫌がる日本一有名な長いパー3だ

2018年11月29日から行われたツアー最終戦「日本シリーズJTカップ」。名物ホールの18番をプロはどんな考えで攻略していたのか。3選手に攻略法を聞くと「バーディを狙ったり、無茶な攻め方はしません」と口を揃えた。トッププロでも、難度の高いパー3では、"2"を考えずに、"5"を防ぐ"3"以上、つまり"3.5"で考えていた。

画像: 秋吉翔太プロ 1990年生まれ。2018年はミズノオープンで初優勝。ダンロップ・スリクソンオープンでも優勝し、ツアー2勝を挙げた

秋吉翔太プロ
1990年生まれ。2018年はミズノオープンで初優勝。ダンロップ・スリクソンオープンでも優勝し、ツアー2勝を挙げた

秋吉 まずはグリーンセンター狙いですね。バーディを狙いに行くというより、パーを確実に取りにいくイメージ。このホールに限らずですが、スタート前に距離が長いパー3があるかチェックして、最初からボギーで上がれればいいと割り切ることも大切です。その難しいパー3で少ない打数で上がれればモチベーションも上がりますし。パーを狙うより+1打と考えたほうが気持ちが楽になり、意外とパーが取れたりするんですよね。(18番ホール大会成績:初日パー・2日目パー・3日目ダブルボギー・最終日パー)

画像: 重永亜斗夢プロ 1988年生まれ。2018年は初戦の東建ホームメイトカップでツアー初優勝

重永亜斗夢プロ
1988年生まれ。2018年は初戦の東建ホームメイトカップでツアー初優勝

重永 まずはピン位置を確認して、どこのポジションなら外してもいいかを考えます。たとえばピンからどれだけ幅があるか、アプローチはどちら側が寄せやすいかなど。距離があるパー3では難しく考えすぎないで、確実にパーを獲るマネジメントをしています。(18番ホール大会成績:初日パー・2日目パー・3日目ボギー・最終日パー)

画像: 出水田大二郎プロ 1993年生まれ。2018年はRIZAP KBCオーガスタでツアー初優勝

出水田大二郎プロ
1993年生まれ。2018年はRIZAP KBCオーガスタでツアー初優勝

出水田 普通のパー3ではまずバーディを考えますが、距離が長かったら大叩きしないことを考えます。手前から攻めることを基本に、ピンのニアサイドに外さないことを心がけます。パーが取れる一番安全な場所に攻めていきますね。そうすれば最悪でもボギーで抑えることができます。(18番ホール大会成績:初日パー・2日目ボギー・3日目パー・最終日パー)

【日本シリーズ初日の結果】ワンオンは半数以下でも、8割以上がパーセーブ
ホール:18番227ヤード
ピン:手前から12ヤード
外した場所:左1人、右16人(ワンオン13人
プロでも長いパー3だと半数以上がグリーンをとらえられなかった。しかし、ほとんどの選手が寄せやすい右側に外し8割以上がパーセーブ。プロの技術があっても、ピンを狙わずに外していい場所を狙って攻めてることがわかった。

アマチュアこそ、長いパー3は「ピンが右なら左狙い」が正解です

画像: 【指導】野内尚美プロ 男女問わず多くのアマチュアを指導。所属の千葉よみうりCCではコースマネジメントを取り入れたラウンドレッスンを行っている

【指導】野内尚美プロ
男女問わず多くのアマチュアを指導。所属の千葉よみうりCCではコースマネジメントを取り入れたラウンドレッスンを行っている

── プロでもピンを狙わないのですから、アマチュアは長いパー3でピンを攻めるなんて考え方はやめたほうがいいのでしょうか?

野内 そもそもアマチュアの皆さんは、長いパー3になると方向性の意識が薄れ、"飛ばし"に集中するケースが多いようです。3.5を狙うには、しっかり狙いどころを定めることが大切です。

── では、狙いどころは?

野内 グリーンを二分割して考えてください。ピン位置と逆のエリアに打てばいいんです。ピンが右なら左、左なら右ですね。狙いどころをグリーンの外に設定すると、いい意味で適当に打てますよ。仮にワンオンできなくても、ピン近に外したアプローチより断然やさしい2打目が打てます。

画像: NGゾーンを狙って外すと、ピンまでの距離が短く、難しいアプローチが必要になるなどリスクが大きい。OKゾーンを狙って「乗ったらいいな」の気持ちで打てれば、力みが取れてリズムもよくなりナイスショットが出やすくなる

NGゾーンを狙って外すと、ピンまでの距離が短く、難しいアプローチが必要になるなどリスクが大きい。OKゾーンを狙って「乗ったらいいな」の気持ちで打てれば、力みが取れてリズムもよくなりナイスショットが出やすくなる

【OKゾーンを狙うことのメリット】

画像: ①1打目が楽に打てる グリーンを外れてもやさしいアプローチで寄せワンが狙えると覆えば気楽に打てる。ピンばかり意識すると力みやすくなってしまう

①1打目が楽に打てる
グリーンを外れてもやさしいアプローチで寄せワンが狙えると覆えば気楽に打てる。ピンばかり意識すると力みやすくなってしまう

画像: ②アプローチの選択肢が広がる 仮に1オンできなくてもピンから遠くなるので、ピッチエンドランなど得意なクラブで寄せることができる。

②アプローチの選択肢が広がる
仮に1オンできなくてもピンから遠くなるので、ピッチエンドランなど得意なクラブで寄せることができる。

【NGゾーンを狙うことのデメリット】

画像: グリーンを外したときのリスクが大きい ピンがある側に外すとアプローチで寄せるのは至難の業。SWで上げる難しいアプローチしか選択肢がなくなる

グリーンを外したときのリスクが大きい
ピンがある側に外すとアプローチで寄せるのは至難の業。SWで上げる難しいアプローチしか選択肢がなくなる

画像: ティショットのコツ ピンと同じサイドに立つのが基本。ピンが右なら、ティグランドの右側に立つと狙いたいピンの逆側を広く使えます

ティショットのコツ
ピンと同じサイドに立つのが基本。ピンが右なら、ティグランドの右側に立つと狙いたいピンの逆側を広く使えます

画像: 右のピンに対してティグランドの左側に立つと、より右を向きやすくなり、ピン近に外しやすくなります

右のピンに対してティグランドの左側に立つと、より右を向きやすくなり、ピン近に外しやすくなります

── ピンがど真ん中にあったり、前後にある場合は?

野内 ピンがセンターや奥なら花道を狙いましょう。ピンが手前なら奥が狙い目です。

── グリーン奥からは難しいラインが残りませんか?

野内 東京よみうりCCの18番のように、グリーン傾斜がきついならピンが手前でも花道を狙います。でもそんな傾斜のあるグリーンは世にまれ。やはり「ピンと逆サイドに打つ」が3.5を狙うための基本的な考え方です。

画像: アマチュアこそ、長いパー3は「ピンが右なら左狙い」が正解です

千葉よみうりCCのパー3でアマ50人を定点観測

ホール:18番202ヤード
ピン:右奥
左外し(19人):パー6人、ボギー10人、ダボ以上3人
右外し(19人):パー1人、ボギー6人、ダボ以上12人
ピンの逆側に外したほうがボギー以内の確率が圧倒的に高かった!

週刊GD2018年12月25日号より

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