【解説】篠塚武久
しのづかたけひさ。72歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」を主宰。異次元の“桜美式”「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。“虎の巻”ノートや手作り器具も使って熱血指導。
【モデル】出利葉太一郎くん
いでりはたいちろう。2001年生まれ。福岡県出身。HC+1。8歳からゴルフを始める。18年KBCオーガスタ48位、九州ジュニア選手権で3位。テンフィンガースウィングの篠塚武久に師事。
「半身の構え」はバランスがいい
── 桜美式のパットは、アドレスがターゲットラインとスクェアではないですね。
篠塚 右足を前に出し、左足を後ろに引いているスタンスは、いわゆる「半身の構え」。これが一番強い、バランスのとれた構えです。両足を揃えるスクェアは、押されれば倒れてしまうほどバランスが悪く、いかにも弱々しい構え。しかも、従来の「振り子式」だと、草食動物のようにカップを片目でチラリと見ることになります。
篠塚 それでは、距離感も方向性も明確にならない。獲物に挑みかかる野獣のように、カップを両目で貪欲に狙う。時松くんは、スクェア気味に立ちますが、体の中は“半身”。両目で獲物を狙う感覚は同じなのです。
篠塚 うち(桜美ゴルフ)の生徒は、パットが上手いと言われます。皆、余計な動きをしないから。皆、左ひじが自然に“抜ける”感覚なんです。そして、「入る」からパッティングが好きになるんです。

「ボウリング、カーリングやビリヤード、そして格闘技など、人間は目標に狙いを定めるとき、必ず『半身の構え』になります」(篠塚)。カップを囲んで、ジュニアたちが狙うとキレイな円ができる。まるで、ライオンの群れが1匹の獲物を狙うよう!?

構えもヘッドの動きもシンクロするのは、徹底したシンプル理論だから
桜美ゴルフ “パッティング”格言集
「パッティングは、カップに向かって球を転がす事である。打つのではない」
「パッティングは、左、右両手を同時に使うと難しい」
「パッティングは、左右分担、利き手に任せるとやさしい」
「ビースト(野獣)パッティングを目指そう」
「パッティングはアドレスで決まる」
「桜美式パット」は3次元 「ズレない、ブレない、スパットいらず」
── 先生は、「パッティングはアドレスで決まる」とおっしゃいます。具体的に教えてください。
篠塚 はい。生徒の出利葉太一郎くんをモデルに説明しましょう。皆さんは、ショット同様、飛球線と「平行」に立ってアドレスし、そのスタンスに沿ってヘッドも「平行」に動かしているのでは? でも実は、「平行」ほどあてにならないものはないんです。
── 平行はあてにならない?
篠塚 感覚的に2本の直線を平行だと判断しても、誤差が生じやすい。しかもロングパットだと、その誤差は大きなものになり、カップ付近にさえ寄らないミスも出る。誤差が許されない大工さんは、昔から定規を2本平行には使わず、L字形の「曲尺(かねじゃく)」を使うんです。
── パッティングも曲尺を用いるようにアドレスするとは?
篠塚 飛球線と揃えた両足、2本の直線の「平行」を意識するのではなく、曲尺のように「直角」を利用する。飛球線に対していきなり両足を「平行」に揃えてしまわず、前に出した右足と肩のラインを交差させて、「直角」をイメージします。
── 2本の直線で「平行」を求めるのではなく、3本目の直線(右足)を加えて「直角」を作れば、飛球線のラインも正確に導き出せると。
篠塚 桜美式では、地面で「直角」を利用するだけでなく、空中でも、目とボールとカップの3点で「直角三角形」をイメージします。2次元ではなく、3次元の「直角三角形」で狙いを定める。これが時松くんや出利葉くんのナイスパットの秘訣です。
かねじゃく(曲尺)定規を思い浮かべよう「平行をイメージすると向きがズレやすい」(篠塚)

1本のライン(物差し)をイメージし、飛球線と「平行」に立ち、そのスタンスに沿ってパターのヘッドも「平行」に動かそうとすると誤差が生じやすい。曲尺をイメージし「直角」を利用すると構えがスッと決まる

「平行をイメージすると動きに誤差が生じやすい」
直角を使おう!

①カップを見て右手のひらを意識して右手で打つ方向にヘッドを合わせる
②右足の上に頭を置き、右足と肩のラインが「直角」になるように構えると、ラインに対して真っすぐ構えられる
三角形があるから自然に“ビーストパット”に!

「目とボールとカップを結ぶ、三角形をイメージします」(出利葉くん)

飛球線と直角の位置から入る

素振りしてカップを見る

右手のひらから合わせる

スタンスを上下にずらしもう一度カップを見る

右手主導で飛行機の離陸をイメージ

左ひじを抜いていく
桜美式アドレスは自然体「お先にパット」のイメージ
篠塚 これまでの常識は、両足を揃えたバランスの悪いアドレスで、片目でカップを見て、両手を重ね合わせたグリップで右手の感性を殺して打つ。そんな不自然で、複雑で、難しいことを、みなさんは強いられてきたんです。これは必ず神経が疲れます。お先にパットを考えてみてください。何の気なしにやるパットこそ、もっとも強い自然体なのです。桜美式パットはこの延長線上にあります。
篠塚 たとえば、パターという道具は使わずに、ボールを手で投げて転がし、カップに入れようとしたら、どんな動作になりますか? この動作こそ、桜美式のパッティングそのものです。これまでの常識にとらわれてしまうのではなく、自然で、シンプルで、簡単な動作を追求すること。それがパット数を減らす近道です。
基本は、“お先に”パット。いちばんラクにヘッドも体も動くでしょ

お先にパットのイメージで入れる
【誰にでもすぐに「桜美式パット」ドリル】
カップを狙ってボールを転がす

「半身の構えでバランスよく立ち、両目でカップを見て、右手の感性を生かして投げる。右手の動きは、真っすぐ引いて、真っすぐ出して、最後に上へ。感覚をつかめたらパターに持ち替えてください」
距離感が出にくい人は両手を離してみる

「距離感は、カップを狙ってボールを投げる感覚を大事にしてほしいですが、両手を離して握るのもイイ。短いパットほど、両手の間隔を長くするとやりやすいです」
クロウグリップで打ってみる

「クロウもまた、左右分担型グリップ。右手主導の自然なパッティングになります。左ひじを抜く感じも似ています。右手主導の自然なパッティングになります」
篠塚先生の書籍「10本で握る」
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