プロツアーに精通する解説者、タケ小山プロと佐藤信人プロが、2019年シーズンの松山英樹を予測分析。活躍の期待大とのことだが、はたしてその真意は?
画像: 「初日のスコアが鍵だね」(タケ小山)

「初日のスコアが鍵だね」(タケ小山)

世界のツアーを知る名解説者・タケ小山
世界中のツアーに精通するプロ。週刊GD「世界パトロール!」、TBS「サンデーモーニング」の解説者として有名。

画像: 「課題はティショット。そこが戻れば全然イケる」(佐藤)

「課題はティショット。そこが戻れば全然イケる」(佐藤)

JGTO広報理事に就任・佐藤信人
ツアー通算9勝。海外経験が豊富で現在は解説者としても活躍。週刊GD「うの目、たかの目、さとうの目」連載中

佐藤 松山クンの18年を振り返ると、春先にスウィング修正に取り組みましたよね。フェードをドローに修正したんです。僕はそこで親指を痛めたのかなと思います。

タケ まぁ流れの悪い年だったな。3連覇のかかったフェニックスOPで棄権してその後、ドライバーも割れてさ。道具が原因で調子を崩すパターンは多いからな。

佐藤 ドライバーが割れたのは大きいです。米国選手は気にしない人が多いけど、日本人選手は繊細なタイプばかりだから影響はあったはず。小平も(池田)勇太もドライバーが割れて苦戦しました。

タケ 理想はフェニックスで上位に入って、マスターズ突入というイメージだったと思うよ。

佐藤 その前のファーマーズで見たんですけど、ちょうどスウィング修正中で、トップのポジションがクロス気味に上がっていて少し驚いたんです。ショットも左右に荒れていました。

タケ クラブが立つほど指への負担は大きくなるからな。でも長くプレーしていれば上手くいかないことだってある。ただWGCとメジャーの出場権を持っているのは大きいし、ボーナス大会があるから成績もそこまで落としていない。実際、スタッツを見てもそれほど悪くはないと思うな。

佐藤 心配や悲観をするようなデータではないですね。ただひとつ言えるのは、課題は"ティショットにあり"ってことです。

タケ 大きく曲げてるってこと?

松山英樹 PGAツアーのデータ比較
2016-172017‐18
出場試合22(予落2)21(予落3)
トップ57(優勝3)4(未勝利)
Fedexランク8位13位
賞金ランク4位39位
世界ランク3位21位
平均飛距離302.9y(27位)302.0y(48位)
FWキープ率57.61%(130位)61.69%(95位)
パーオン率69.14%(14位)69.77%(30位)
平均スコア69.624(10位)70.022(23位)
SGティショット0.488(24位)0.149(80位)
SG 2ndショット0.692(7位)0.724(6位)
SGグリーン周り0.289(24位)0.156(58位)
SGパッティング-0.410(174位)0.115(80位)
1日目平均スコア70.55(66位)71.05(137位)
2日目平均スコア69.10(1位)69.32(10位)
3日目平均スコア70.17(60位)70.29(84位)
4日目平均スコア68.78(4位)68.38(2位)
パー5平均スコア4.48(1位)4.63(76位)
※SGはスコア貢献度を表すデータ。世界ランクはシーズン終了時
画像: 「春先のケガで波に乗れなかった」(タケ)

「春先のケガで波に乗れなかった」(タケ)

画像: 「ドローを打つための修正が上手くいくかどうか」(佐藤)

「ドローを打つための修正が上手くいくかどうか」(佐藤)

佐藤 SG(Strokes Gained)ティショットを見ると24位から80位に落ちています。彼のキャリアでは最悪のデータです。でも飛距離はほとんど変わらず、FWキープ率はむしろ上がっています。つまりドライバーがたまに大きく曲がるのでしょう。パー5の平均スコアを見ても明らかです。17年は1位なのに18年は76位ですから。

タケ 林の中とか深いラフに入っているってことか。逆にアイアンは安定しているし、パットは良くなっているよな。

佐藤 アイアンは常にひと桁順位ですから抜群にうまいです。パットに関しては数値的にはいちばん改善されています。その意味でもティショットが課題でしょう。それがスウィングなのか、道具なのかってことですね。

タケ 各日の平均スコアを見ると初日のスコアが悪いな。スタートで出遅れると、なかなか上位に追いつくのは難しいだろう。

佐藤 もともと松山クンは2日目と最終日のスコアがいいんです。でも今季は初日が悪すぎました。

タケ 最終日は逆に良くなってるしな。松山ってゲームを壊すタイプではないから、今の成績で踏み留まれている。プレーオフで調子を上げてきていたし、ここで踏ん張って巻き返すってことだろう。

佐藤 プレーオフはさすがでした。米ツアー選手の中でもトップクラスであることは間違いないです。

タケ 松山の目標はメジャー優勝だと思うんだけど、何が足りないかって考えたとき、コーチの存在もあると思うんだ。J・ローズが復活したのもコーチのおかげだし。俺なんか好きなスウィングの選手を教えているコーチに見てもらいたいって思うからな。

佐藤 彼もアンテナは張っています。R・マキロイやH・ステンソンを教えているフィル・ケニオンには興味があるみたいですし。でも本人は築き上げてきたものを崩されるのは嫌、と考えていますね。

タケ キャディの進藤くんもチームから離れたわけで、PGAツアーはある意味、チームで戦う側面もあるから、コーチの加入もひとつの選択肢ではあると思うな。

佐藤 僕もコーチはいたほうがいいと思います。松山クンもトラックマンのデータを見たりしますが、細かくデータ分析するタイプではないようですから。実は、松山クンはもう一度、お父さんに見てもらえば良くなるのではって思うんです。最初はお父さんに教えてもらっていたわけですから。

タケ タイガーは自分でデータを分析するのが大好きだけど、そうじゃないなら師匠という存在は重要かも。技術的な部分じゃなくても相談できる仲間は大きいはず。

佐藤 18年のスタッツで優勝や2位があってもおかしくはないんです。ティショットさえ戻ってくれば全然イケますよ。メジャー優勝だって十分狙えますから。

週刊GD2019年1月8・15日号より

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