シニアツアーで活躍しながら、「チーム・セリザワ」として藤田寛之、宮本勝昌、西山ゆかり、木戸愛らにアドバイスを送り、さらに「チーム・セリザワ・ゴルフアカデミー」の校長としてアマチュアのレッスンでも活躍する芹澤信雄プロ。飛ばない選手でありながら、ツアーで実績を残せたのは、若い頃にころに、ある「武器」を身に着けたからだという。ハードコンディションで強さを発揮する「シュートボール」の秘密について教わった

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

芹澤信雄プロ
1959年生まれ。ジャンボ尾崎に「世界一パーパットが上手い」と評されたパットの名手。1987~2000年にツアー5勝。その後シニア1勝。飛距離郵政時代をショットの質で生き抜く。チームセリザワゴルフアカデミー主宰。

1978年4月、僕は富士平原GCで研修生生活を始めました。コツコツ練習を重ねることで、僕のゴルフは少しずつ前進していきました。スキーから転向したド素人ですから、最初はプロや先輩の言うことを、ひとつずつできるように。

僕自身の目標も、「30台を出す」というところから、次は「70台が出たぞ、研修会に出たいな」「研修会に出られたぞ、次はプロテストに出たいな」「プロになれたぞ、試合に出たいな」…というふうに、1歩ずつステップアップしていったんです。

僕はレギュラーツアーで5勝を挙げ、長くシードを守ってきました。体格に恵まれず、ツアーで飛ばせない方だった僕が細く長く成績を残せたのは、パッティングが得意だったこともありますが、ショットを曲げなかったことが大きな要因だったと思っています。

「日本プロマッチプレー」という日本タイトルをひとつ勝っていますが、そういったセッティングがシビアな試合に強かったのも、ショットが曲がらなかったからでしょうね。

飛ばないからには曲げないゴルフを

ショットが曲がらなかった理由のひとつは、そもそも飛ばすことをあきらめていたことにあります。僕は、ゴルフを始めたころから、先輩たちに「お前は飛ばないんだから、曲げないスウィングをしろ」と言われていたので、そもそも飛ばそうという気持ちが少なかったんです。

でもより大きな理由は、僕が「切り札」ともいえる必殺ショットを持っていたことにあると思います。そのショットは野球でいう、「シュート」みたいな球で、風に強い低い弾道で、ラインが出る。アイアンを狙ったところに「運ぶ」には最強のボールなんです。

僕はこの球を、金井清一プロに教わりました。まだ僕が初優勝する前、たしか25~26歳くらいの時だったと思います。静岡オープンで一緒の組で回った金井プロが、ものすごい強風をものともせず、風を切り裂くようなライナー性の球を打っていたんです。

「なんだこの球は!」と驚いた僕は、後日、確か85年の関東オープンの練習場だったはずですが、思い切って金井プロに「あの球はどうやって打つんですか」って聞きに行きました。

そしたら金井プロは「ティアップして7番アイアンで低い球を打て。フェースをローリングさせろ」って丁寧に教えてくれたんです。その時目に焼き付けた打ち方を、コースに帰って死ぬほど練習しました。

ロフトを立ててインパクトしてから、フェースで球を押し込みつつ、トウを立てるように振り抜く。そうすると、カットに吹くんじゃなくて、低い弾道で少し右に曲がる、風に強い球が出るんです。

あの「シュート」を身につけてから、僕はこの飛距離でも戦えるようになり、翌年、ツアーで初優勝できました。この球はチームセリザワのパワーフェードの原型でもあり、藤田や宮本にもたくさん練習させました。

相当な高等技術ではありますが、ゴルフスウィングの大事な要素が詰まった技術なので皆さんも試してみてください。

【通勤GD・今日のポイント】ラインが出て風に負けない「シュート」のような強い球

【ポイント①】高くティアップして7Iで低いフェードを打つ

高くティアップして7番アイアンで低い球を打つ。ラインの出るフェード系の球で、金井清一プロは「シュート」と呼んだ。

画像: 手元を低く抑えながらクラブを立て振り抜いていく

手元を低く抑えながらクラブを立て振り抜いていく

画像: 高くティアップして低い球を打つのがポイント

高くティアップして低い球を打つのがポイント

【ポイント②】フェースをローリングさせてトウを立てながら振り抜く

カットではなく、ボールをこすり上げるように低スピンのフェード回転の球を打つ。インパクト後はボールを押し込みながら、クラブのトウ側を立てるようにフェースを「ローリング」させていく

画像: 飛ばないからには曲げないゴルフを
画像: インパクト以降はボールを押し込むようにする

インパクト以降はボールを押し込むようにする

月刊GDより

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