【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
芹澤信雄プロ
1959年生まれ。ジャンボ尾崎に「世界一パーパットが上手い」と評されたパットの名手。1987~2000年にツアー5勝。その後シニア1勝。飛距離優先時代をショットの質で生き抜く。チーム芹澤ゴルフアカデミー主宰。
27歳の時、ついにツアーの「日経カップ」で初優勝を遂げます。世間はまさにバブル景気に突入しようとしている1987年。この初勝利で、僕にもバブルが来ました。
僕の給料は研修生時代はもちろん無給で、プロになって給料をもらえるようになりましたが、当時は月給10万円。23歳で結婚して、市営住宅でつつましやかな生活をしていた僕に、桁が2つも3つも違う契約話が飛び込んでくるんです。正直、怖くなっちゃいました。
結局、小心者の僕は、そういう大型契約を全部お断りして、富士平原GCの所属で通すことにしました。来年のシードを守れるかどうかもわからないのに、、そんな一時の損得に目がくらんでおいしい話に乗ったら後が怖いですからね。
飛ばそうとせずに精度で勝負
さて、そんなふうに活躍を始めた僕でしたが、やっぱりツアーでは飛びません。でも、研修生時代から、先輩方に「お前は飛ばないんだから曲がらないスウィングを目指せ」と言われ続けてきた僕は、「どうせ飛ばないんだ」と諦めていて、飛距離に関して悩んだことはなかったんです。
毎年、シードの心配をしながら試合を戦う当時の僕にとっては、大幅なスウィング改造をするような余裕はありません。飛距離アップよりも、自分の長所である「曲がらないスウィング」を伸ばすことを考えていました。
そのころ僕が球を曲げないために気をつけていたのは、ドライバーでティショットするときに、「ティを飛ばさないように打つ」ことでした。
当時はドライバーはパーシモンでしたが、曲げないためにはスピン量を減らすことがとても重要でした。そのためには、ヘッドの入射角をできるだけゆるやかにし、レベルブローで球をとらえる必要があったんです。横からボールだけをクリーンにとらえることができれば、ティは飛ばずに、刺さったまま残ります。
当時はジャンボさん全盛で、誰もがビッグキャリーのハイドローを打とうとしていました。でも僕は、絶対に球を上げようとせずに、低いライナーボールにこだわっていました。これは、前回(Vol.2)でお話しした金井清一さんの教えともつながりますが、飛ばない僕にとって、活路はそこにしかないと思っていたんです。
ティを飛ばさない打ち方は、いまの大型チタンヘッドでも、方向性を高めるのに大いに役立ちます。球が曲がって困っている飛ばし屋も、曲げないことでスコアを作りたい非力な人も、試してみてください。
ポイントは、腰をレベルに回転させること。ダウンスウィングでタメを作ろうとせずに、球を横から打つ感じです。ただし、ヘッドは加速させないといけませんので、フォローでビュンと風切音をさせるようにスウィングしてください。
【通勤GD・今日のポイント】ティを飛ばさないように打てれば、球は曲がらない
【ポイント①】腰をレベルに回転させる
球を上げようとせず、体を水平回転させることで、ヘッドの入射角をゆるやかにするのが曲げない秘訣
【ポイント②】あまりタメずに横から払い打つ
飛ばしにタメは不可欠だが、精度を求めるなら必要以上にためたくない。払い打ちのイメージで横から球をとらえる
月刊GDより