パットにまつわる不思議を次々と解明していく「振り子の教室」。今回は高速グリーンで多発する“3パット”や“4パット”についてその発生する仕組みや対処法を紹介する。バーディチャンスが一転ボギー…、そんなつらーい思いは、もうしなくていいんです!

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: 【星谷孝幸先生】 自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた ほしや先生オフィシャルサイト

【星谷孝幸先生】
自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた
ほしや先生オフィシャルサイト

「入れに行く」気持ちが3パットの最大原因

“3パット”や“4パット”をどう防ぐか、これがテーマです。そのためには前回紹介した“振り子”パットが大前提になります。なぜ、3パットや4パットをしてしまうかですが、理由は簡単。

ファーストパットで「入れに行く」からです。「なぁんだ、そんなことか」と思うかもしれませんね。でもほとんどの3パットが「そんなこと」が原因で起こっているのです。プロでも勝負師と呼ばれるような、トッププロなどは、常にカップに入れることしか考えていないかもしれません。

でもこれは我々アマチュアにとっては、3パットと背中合わせであることは間違いありません。カップをオーバーするケースが多い強気な人ほど、3パットの危険性は高い。これは統計的にも証明されています。

例えば、ボールを投げる時、的に当てようと思えば強く投げると思います。入れに行くパットとは、まさにそんな感じ。しっかり打とうとするため、その距離に対してタッチが強すぎるんです。

「的に当てる」感覚は3パット地獄への第一歩

画像: 1パット狙いは早い球で的に当てるようなもの。的(カップ)を外せば返しが長くなり、入っても入らなくてもダメージを受ける。下から“ボーン”と放れば、残るは「お先に」の距離。次のホールへすぐに気持ちを切り替えられる

1パット狙いは早い球で的に当てるようなもの。的(カップ)を外せば返しが長くなり、入っても入らなくてもダメージを受ける。下から“ボーン”と放れば、残るは「お先に」の距離。次のホールへすぐに気持ちを切り替えられる

的当てなら仮に外れてもそれ以上傷口は広がりませんが、パットでは大問題。長い返しが残り、簡単に3パットや4パット、ということになってしまうのです。

3パットをしないためには、的に「寄せる」気持ちで打つことです。「そこに止めてやろう」と思えば自然に“そ~ッ”と打つようになり距離感があってきます。

2パットで収められる「残し方」がある

1発で入れに行こうとする気持ちが3パットを招くと話しましたが、それだけではありません。グリーンには傾斜がありますし、傾斜の途中にカップが切られていることもしばしば。そんなときは、思いのほか難しいパットが残って3パット、なんてケースもあるでしょう。

そんな場合は、ファーストパットで「どこを狙うか」がポイントになってきます。下の図のような傾斜にカップが切られている場合、セカンドパットで真横のラインや曲がる下りのパットが残ると、3パットの確率は高くなります。

3パットを防ぐファーストパットの狙い目

画像: ファーストパットの狙いは、幅30センチ、カップ上40センチ、カップ下1メートルの長方形のエリア。 上りのラインは①のように曲がりを薄く読み、インパクトは弱めに。 下りのラインは③のように曲がりを薄く読んでインパクトはやや強め。 2パットで確実に行くなら仮想カップ㋐、㋒、仮想カップ㋑、㋓は3パットと背中合わせ

ファーストパットの狙いは、幅30センチ、カップ上40センチ、カップ下1メートルの長方形のエリア。
上りのラインは①のように曲がりを薄く読み、インパクトは弱めに。
下りのラインは③のように曲がりを薄く読んでインパクトはやや強め。
2パットで確実に行くなら仮想カップ㋐、㋒、仮想カップ㋑、㋓は3パットと背中合わせ

たとえば、上りのパットの場合、上りだからといって強く打つと、外れたときに下りのラインが残りやすいので、やや弱めの力加減で打つ。かつ横からの曲がるラインも残したくないので、膨らませない①のラインで狙っていきたいところです。

下りのパットであれば、上りのラインが残るようにやや強めに打ち、確実にカップを越すこと。こちらも上りと同様に山をかけずに薄めのラインで狙うことで、入る確率の高いセカンドパットが残るようになるのです。

もちろんこの方法だと、1パットで入れることは難しいのは確かです。しかし、2パットで収められる確率は格段に高くなります。3パットや4パットというのは、プレーのリズムが狂いやすい大きな原因の1つです。

心に波風を立たないパッティングを覚えておくことで、スコアは格段にまとまるようになるのです。

【通勤GD・今日のポイント】ラインを薄めに読み、必ず“下”に残す

【科学の広場】パットでもボールによって「初速」が変化する
スピン系1.88m/s、ディスタンス系1.97m/s、これはパットでのボール初速の違いです。つまりスピン系の方がボールとの接触時間が長いので、冬場の速いグリーンではコントロールしやすいのです。パットに関してはスピン系の方が有利と考えられます。

画像1: 2パットで収められる「残し方」がある

転がりのいいパットってどういうこと?
3パットを防ぐには、「転がりのいい」パットを打つことも大切です。そのためには、アッパーに打って少し“キャリー”を出すこと。芝には長さがありボールは若干沈むし、グリーン面がへこんでいることもある。その抵抗を跨いでくれた方が距離や方向の精度が上がるのです。

画像2: 2パットで収められる「残し方」がある

【即効ドリル】ショートパットはボールの「ちょっと先」を見ながら打つ
ショートパットだとクラブの引き方を考えすぎる人が多い。すると、テークバックで頭が動き、簡単に外してしまいます。それを防ぐには、ボールの先を見たまま打つこと。これで頭も目線も動かず入る確率が上がります。

画像: 短い距離ではボールの打ち出し方向の先を見て打つ。目線や頭が動かなくなる

短い距離ではボールの打ち出し方向の先を見て打つ。目線や頭が動かなくなる

画像3: 2パットで収められる「残し方」がある

Illust/Shigehisa Kitatani 月刊GDより

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