禁断の「βチタン」が復活
ミズノの歴代モデルで最高の飛距離性能と評価されるのが、フェースに「βチタン」を使用した1999年発売の「ミズノプロ300S」だ。当時はチタンドライバーが進化の過渡期にあり、サイズや素材も試行錯誤。フェースを薄くすると高反発化して飛ぶと認知されたのもこの頃だった。
フェースに薄くても強度がある素材を溶接したモデルが出始めたが、「300S」もそのひとつ。当時、未勝利だった手嶋多一や米山剛が手にしたとたん勝利を上げるなど、『ミズノの選手がやたらと飛ぶ』とツアーは騒然となった。
その後の高反発規制でミズノは素材を見直すこととなったが、「βチタン」の高すぎる反発性能をルール内に戻す技術を開発したことで、「βチタン」フェースが復活。「ミズノプロ モデルE」、「ミズノプロ モデルS」という2モデルが生まれたのだ。
ちなみに「反発規制を超えてから、ルール内に戻す」という発想は、テーラーメイドの「M5・M6」ドライバーと同じ。これからの主流になっていくのか。
写真上がボールが上がりやすいシャローバック形状の「モデルE」。下がハードヒッターが叩けるイメージのハイバック形状の「モデルS」だ。
KEY TECHNOLOGY
「βチタン」のたわみを生かす、波型ソール
従来モデルより2mm深くなったウェーブ構造が、フェースのたわみ量が5%アップ。飛距離アップに貢献する。
ロフトは4度まで調節可能
両モデルともロフト角・ライ角調整機能を搭載。ロフト角は1度刻みで7.5~11.5まで調節できる。8.5~10.5度はつかまりの良いアップライトのセッティングがあり、最適なロフト角を選べる。
ツアーAD系のクセのない純正シャフト
ミズノとグラファイトデザイン社が共同開発したカーボンシャフト。タイミングが取りやすく、クセのないしなり方をするので、幅広いゴルファーにマッチする。
日本人に合うのは、重心距離「短め」のドライバー
大型ヘッドはやさしいはずなのに、上手く飛ばせないゴルファーは多い。ミズノはそれを長すぎる重心距離が原因であると考え、今回の2モデルは適度に短くなるように設計したという。
欧米人ほどパワーがない日本人は、重心距離が長いとヘッドのターンが遅れてスクェアに戻り切らない。そのままではプッシュアウトしやすく、無理につかまえにいけばチーピンになる。どちらも嫌がると加減して合わせるようになり、結果、飛距離が落ちてしまう。
重心距離が短ければ、小ぶりなFWやアイアンのようにラクにつかまるはずという考え方だ。
450ccの「モデルE」は重心距離が36mm、435ccの「モデルS」は34.5mm、最近の各メーカーのモデルと比較すると5mmほど短い。この新しい『スクェアストライクデザイン』がミズノの考えたやさしさだ。
パワーのある上級者にとっても、適度に重心距離が短めなほうが、自分でフェースターンを調節できるので使い勝手がいいだろう。
【試打検証】このドライバー、振り遅れ感がまったくない!
スウィング碑文谷にあるクール・クラブスに「E」と「S」両モデルを持ち込み、早速打ち比べ。
「打感がものすごくいいし、打音にこだわるミズノらしい。しっかり弾き感もあるから、飛んでいる気になります。『E』はRシャフトでも振り遅れ感がまったくない。かといってつかまりすぎない。ヘッドがスクェアに戻るのがわかります」と打ち心地と安定性を実感。
「打点が多少ズレても飛距離データに大きなズレがないのがすごいですね。明らかに平均飛距離が伸びるドライバーです。『S』はいかにも強い球が打てそうなフォルム。締まって見えるぶん、構えた時に集中力が増します」(平野氏)
βチタンという禁断のフェース素材で飛距離武装したミズノプロドライバー、ショップに行って試打する価値十分のポテンシャルはある。