“待ちチョロ”は偶然ではなく必然 !
やった途端に、穴があれば入りたくなる、待ちチョロ。ところが「アマチュアだけでなくプロにだってあるんですよ」と言うのは、鷹巣聖考プロ。
鷹巣 ボクがよくやるケースはラウンドレッスン中のパー5の2打目です。グリーンには前の組がいる。ホントは刻みたい。でも生徒さんは2オンを期待しているから狙わないわけにいかない。そんな状況でさんざん待たされて打つと、だいたいミスショット(笑)。
実は、この言葉のなかに待ちチョロの原因がいくつか潜んでいる、と鷹巣プロが自戒とともに解説。
鷹巣 1つは心理面の不安です。早く打ちたいのに、前が詰まっていて待たされる。これで期待や不安が増幅し、さらに周りに見られていると意識することで重圧がかかり、力みや早打ちに繋がってしまう。
【心】期待と不安が増幅して待ちチョロ増大
「『待たされる』ことによって期待や不安が増大し、さらに周囲から『見られている』ことで精神的な重圧がかかります。」
ある意味、メンタルは誰もが感じる部分だが、フィジカル面の問題も大きいという。
鷹巣 寒い時期はとくにそうですが、待ち時間が長くなると体が硬直してきて、肩がしっかり回らなかったり、下半身が動かずに手だけで打ってしまうことが多いのです。
【体】トップが浅くなる
「『上手くボールに当てたい』と思うほど、力みが生じて肩が回りにくくなり、トップが浅くなって手先でクラブを動かしやすくなります」
体が硬くなる待ちチョロ以上に最悪なのが、何もしないでカートでイライラしながら待つことだという。
待ち時間で「イライラして、何もしない」が最もダメです
鷹巣 それはまさに『待ちチョロをしてください』と言わんばかりの状況です。もともと座りっ放し、立ちっ放しでいると筋肉は冷えていきます。そんな状態で、体がしっかり回らないまま振り回すから、待ちチョロが出るのです。
鷹巣 自分から動いて、自分にとっていいリズムになるような状態を作り続けることは、待ちチョロ対策として、欠かせません。
体幹を動かし、筋肉を温めておく
■スペースがある場所に移動し、クラブを肩に担いだり、胸の前で持ったりして体幹を動かすストレッチをしながら待つ。
鷹巣 体を温めようとして、大きな素振りで体をほぐす人がいますが、これは逆効果になる場合があります素振りで大きく振り回すとインパクトで腕は伸びっ放しになり、ヘッドが体から遠くに離れてしまい、ミスを誘発します。
鷹巣 プレー中の待ち時間に素振りをするときは、クラブをできる限り体の近くで振る意識を持つ素振りをしたほうが、実際にショットした際の方向性もズレにくくなります。結果的に飛距離も稼げます。
待ち時間は、ゆっくりとクラブを体の近くに通す素振りがいい
スウィング軌道はできるだけ体に近いところを通すのが鉄則。クラブを強く握らず、体幹を意識して徐々にクラブが動き出すような、ゆっくりしたスウィングを心がける。
待ち時間のいい素振り
●グリップを軽めに握る
●体幹を意識しゆっくりと振る
●体の近くでクラブを振る
待ち時間のNG素振り
●ビュンビュンとマン振りを繰り返す
●腕を伸ばして大きく振る
●クラブを複数本持って振る
鷹巣 また、待ち時間にOBゾーンや池を見て『イヤだな』という人がいますが、言葉に出すと、交感神経が活発になり、筋肉が硬くなります。
鷹巣 右に池があるならば、景色を見ながら『左に打とう』という“意志”としての言葉に置き換える方法も、立派な待ちチョロ対策です。
【ティショットの待ちチョロ対策】力みを抜くために右手の親指を浮かせる
待たされた挙句に急いで打とうとすると、バックスウィングが手上げになりがち。右手親指をグリップに当てていると、右手の力でテークバックしやすく、早打ちになる。待った後は、意図的に右手親指をグリップから浮かせて構える。
【セカンドショットの対策】イライラを防ぐために後ろを振り返ろう
2打目地点で待つときは、前だけを見ずに、後ろも振り返ろう。前が詰まっているときは後ろも詰まっていることが多い。「早く打ちたい」という気持ちを捨て、ストレッチをしたり、説明した「待ち時間素振り」などしながら、ゆっくり準備する。
待っている時間、「何もしない」のが最もマイナス。その時間を有効に活用してプラスに持っていくことが肝心だ。
PHOTO/Tadashi Anezaki TEXT/Kenji Takahashi
週刊GD2019年2月5日より