「どんな人でもかっこ悪いこと絶対でけへん」。今週の通勤GDは、名師弟・高松志門プロと奥田靖己プロによる「一行レッスン」です。その第九話。
【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【ゴルフ芸人 高松志門】
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
【志門流一番弟子 奥田靖己】
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。
高松 1ラウンドの間でどれだけ自分のことを考えているか、いうのは大事やね。
奥田 でも、そういうたらたぶんほどんどの人が、自分のことを考える時間が長いほうがええ、と勘違いする。ほんまは逆なんですわ。
高松 ゴルフしてる時間は4時間で、球打つ時間は5分もないやろ。そんなら4時間のうちなんぼ自分のこと考える言うたら、そのくらいでええのよ。まぁ、5分で出来たら超一流。
奥田 ふつうだいたい10分くらい。一般の人やったらもうちょっと長くてもいいんですかね。
高松 まあ自分の間合いもあるし、30分ってところやね。
奥田 そのぐらいでゴルフしてこそ、相手のショットも見れてショットで対話もできるし、そのパーティに融合することもできる。ところが、ほとんどの人がこの時間の使い方が逆になってる。自分のことばっかり考えて、周りの人のことを考える時間が少ないから目に入らん。人が打つ前に、自分の球へ一目散に走って行ったりしてしまうのはそのせい。
高松 球の後ろから何べんも目標見て、旗に向かってしっかりラインつけて、一日中、方向重視でやっていた人に、「今日の旗の色何色やった?」いうて聞いたら、何人もよう答えんで。見てるようで何も見えてへんちゅうこっちゃ。
奥田 50センチオーバーした返しのパットを、またしゃがみこんでライン読んだり、ショットごとに芝飛ばして風向き見たり、自分のことばっかり考えてる人は、いつまでたっても何も見えてこないいうことです。
高松 そもそも風を“読む”という言葉が意味するもんが、芝を飛ばすというのと同じ行為かいう話や。芝を飛ばしてる時点で、もう、“読み”とは違うんちゃう。みっともないし、かっこ悪いことやねん。ゴルフはな、自分の最愛の女が常に見てる思って、せないかんねん。
奥田 ティグラウンドでもグリーン上でも、それこそ球が林の奥に入っても、誰も見てへん場所でも、自分の最愛の女が見てるつもりでプレーして欲しいですわね。そしたら、誰でもかっこ悪いことは絶対でけへんと思います。
高松 マナーやエチケットやいうより早いしな。
奥田 最愛の女が見てたら、スタンスの向きとか体の動きチェックをしながら、こんな格好して振るんやいうことをしつこく素振りもせんでしょ。あれはほんま暑苦しい。僕やったら、「よそ行ってやってください」いうていますわ。
高松 ヘッドを感じた素振りやったらええわ。でも一般の人はスウィングのバリエーションが1種類やろ。いつも一定の振り方しとるのに素振りはいらんがな。
奥田 先生の場合、ラウンド中に2度同じショットはせえへんわけやから、さっきこれで決まったから、今度はこの感じやな、いうときに1回くらいさせてよ、いうこと。お前さっきもそれやって今度もまたそれかい、いう素振りはせんでええ話ですわ。
高松 まあ行動パターンを変えるのは簡単やけど、思考パターンを変えるっちゅうのは容易やないからな。自分の考えている思考パターンが怪しい、と感じられるかは筋の問題。一般の人を教える時、俺はこの筋を見てる。
奥田 まあ何がカッコええかは、その人の質による。100ヤードぐらい手前から臭いで存在が分かるポマードがっつりつけて、キンキラキンでやるのがカッコええいう人もおりますからね。
【通勤GD・今日のわざ】自分のことばっかり考えんと、周りの人のことを考えることに時間を使うんや
EDIT/長田編集事務所