プロは「バンカーショットはダフっていいから簡単」と言う。反面、ある意味ダフるのが得意なはずの我々アマチュアにとって、バンカーショットは鬼門中の鬼門だったりする。なぜなのか。「バンカーショットなら任せてください!」という小林伸太郎プロに、やさしい極意を聞いてみた。「ボールを打たない不思議なショット」を完全攻略。
画像: 【解説/小林伸太郎プロ】 こばやししんたろう。1986年生まれ群馬県出身。技術はもちろん、クラブにも造詣が深く、超理論派プロとして知られる。「バンカーショットにはかなりうるさいです」(小林)

【解説/小林伸太郎プロ】
こばやししんたろう。1986年生まれ群馬県出身。技術はもちろん、クラブにも造詣が深く、超理論派プロとして知られる。「バンカーショットにはかなりうるさいです」(小林)

砂は爆発させるものではなく、前に飛ばすもの

「ヘッドが砂に潜りすぎないためにバウンスがあるんですよ」と小林伸太郎は言う。バンカーショットは砂を爆発させるもの。そもそも、この意識がバンカーショットを難しくしていると小林は続ける。

小林 砂は爆発させるのではなく前に飛ばすものです。僕は「ボールを砂の粒子の1つ」と考えています。それをターゲット方向に飛ばしているだけ。そして、砂を飛ばすために必要なのがバウンスです。バウンスには砂に潜りすぎない機能があります。

砂を前に飛ばそうとすれば、SWのバウンスから自然に入る

小林 爆発させようとすると上から打ち込みがちですが、そうするとバウンスが砂に当たらないので、砂からの反力が得られないんです。結果、ヘッドが潜りすぎて砂を飛ばすことができない。砂を爆発させるのではなく、飛ばす意識を強める。すると、軌道がよくなりバウンスを使えるようになりますよ。

画像: 砂を前に飛ばそうとすれば、SWのバウンスが砂に当たる「いい軌道」になる

砂を前に飛ばそうとすれば、SWのバウンスが砂に当たる「いい軌道」になる

画像: 砂を爆発させようとすると、上から打ち込みがち。刃から入りがち

砂を爆発させようとすると、上から打ち込みがち。刃から入りがち

「ボールは砂粒のひとつ」と思って振る

画像: 「砂が爆発しているように見えますが、僕の意識は砂を前に飛ばしているだけです」

「砂が爆発しているように見えますが、僕の意識は砂を前に飛ばしているだけです」

アドレスは「ドライバーのティショット」と同じ

「バウンスを上手く使うにはアドレスのイメージを変える必要がある」と小林プロ。

小林 オープンスタンスに立ち、フェースを開いてハンドファーストに構える。実はこれ、全部間違いなんです。もちろん、ピンが近いときなどの特殊な場面では必要ですが、基本は目標に対してスクェアに構えて、フェースも開きません。

小林 スタンス幅だけは広めにします。これってドライバーのアドレスに似ていると思いませんか? 僕自身も「ドライバーと同じイメージで打て」と、かつてアドバイスされてから考え方が変わりました。

画像: 「ボールとの距離以外はドライバーとまったく同じです。手のポジションやボール位置が適正になり、正しくダフれる構えになります」

「ボールとの距離以外はドライバーとまったく同じです。手のポジションやボール位置が適正になり、正しくダフれる構えになります」

小林 バンカーショットはインパクト時の砂の抵抗が強くなるので、本来はどのショットよりも大きく振る必要がある。だから大きく振れるアドレスがマストなんです。

小林 さらに、ドライバーのように構えると、自然と遠くに立とうとするので、上から打ち込む意識が消えてきます。つまり、構えの段階で鋭角に打ち込む動きを防げるわけです。これで、構え方の迷いは解消されるはずです。

【間違い①】ハンドファーストにする…アプローチの延長のようなイメージで構えるとハンドファーストになりがちだが、手が前に出るほどボールは前に飛びにくくなる。入射角が鋭角になって、ヘッドが砂に潜りやすくなる

【間違い②】フェースを開く…高さを出すときはフェースを開くが、前に飛ぶ力は小さくなる。特殊なシチュエーションでなければスクェアに構えたほうが、バウンスが使えて、砂を前に飛ばしやすい

【間違い③】オープンスタンス…オープンスタンスに構えてスタンスなりに振るとカット軌道になりやすい。ターゲットから外れた方向にクラブを振ることになるので、ボールにエネルギーが伝わりにくくなる

画像: 「ティアップしたボールを打つつもりで構えて、あとはSWの長さぶんボールに少し近づけばOKです」

「ティアップしたボールを打つつもりで構えて、あとはSWの長さぶんボールに少し近づけばOKです」

フラットに振ることでバウンスが生かせる

「バンカーショットはカットに振る」と思っている人は多い。しかし、「それがもっとも危険です」と小林プロ。

小林 バンカーで大事なことは砂をターゲット方向に飛ばすことですが、カットに振るとそのイメージは出ません。そのため、縦振りをではなく、横振りのイメージを持つことが大事です。

小林 ドライバーのように構えたのもこのためです。ボールから遠くに立てば、軌道がフラットになり、よりバウンスを使えるようになります。カットに振っていた人には信じられないと思いますが一度試してみてください。

画像: スクェアに構えてイントゥインに振るほうが、バウンスの機能を最大限生かせる

スクェアに構えてイントゥインに振るほうが、バウンスの機能を最大限生かせる

画像: カットに振ったら砂に刺さりやすい

カットに振ったら砂に刺さりやすい

バウンスを生かす2ポイント

【ポイント①】左肩を我慢して開かない
小林 肩が開くと打ちたい方向に対して力が逃げるので、砂を前に飛ばせません。左肩の開きを我慢させることでイン トウ インになります。できない人はクローズスタンスでもいいですよ。

画像: 開かない!

開かない!

【ポイント②】右手のひらの向きをキープする
小林 アドレス時のフェースの向きをキープしたままインパクトするのが理想です。ロフトが立ちすぎると刃から刺さり、逆に開きすぎると手前から入りすぎます。右手のひらを意識するといいですよ。

画像: バウンスを生かす2ポイント

「もしもバウンスがなかったら?」 ゼロバウンスのSWを作って打ってみた

「バウンスがあることでヘッドが潜りすぎることを防いでくれる」と説明してくれた小林プロ。では、「もしもバウンスがなかったらどうなるのか」 バウンスを0度まで削って打ってみた。

画像: 実験SWは「クリーブランドRTX FフォージドⅡ」2本

実験SWは「クリーブランドRTX FフォージドⅡ」2本

画像: ソールの数字の消え方を見ればどれくらいバウンスを削ったかわかる。削って減った重さは約10グラム。この後に鉛を貼り、重さをそろえた

ソールの数字の消え方を見ればどれくらいバウンスを削ったかわかる。削って減った重さは約10グラム。この後に鉛を貼り、重さをそろえた

画像: 左がオリジナルのバウンス14度、右が削り後

左がオリジナルのバウンス14度、右が削り後

画像: 【削り/平野吉純さん】 ひらのよしずみ。兵庫県川西市で「ワークランドゴルフクラブデ ザイン」主宰。あらゆるゴルファーの悩みに応えてくれる職人

【削り/平野吉純さん】
ひらのよしずみ。兵庫県川西市で「ワークランドゴルフクラブデ
ザイン」主宰。あらゆるゴルファーの悩みに応えてくれる職人

画像: 「ホントにバウンス0度ですね」

「ホントにバウンス0度ですね」

画像: 「打ってみましたが、砂もボールも前に飛びません」

「打ってみましたが、砂もボールも前に飛びません」

小林 実際に打ってみると、かなりヘッドが刺さる感じがありますね。打てないことはないですが、砂を取る量をコントロールするのは難しいです。バウンスの力を証明できたと思います。

画像: セロバウンスでもプロはフェースを開いてバウンスを作ることはできる。「大きく飛ばすことはできませんが、出すことはできますね。ただ、ヘッドが刺さりやすいことは間違いないです」

セロバウンスでもプロはフェースを開いてバウンスを作ることはできる。「大きく飛ばすことはできませんが、出すことはできますね。ただ、ヘッドが刺さりやすいことは間違いないです」

番外編で「ゼロバウンス」SWの実験にも入ってもらった小林プロ。大事なのは砂を爆発させるのではなく、「砂を前に飛ばす」意識と「ボールを砂粒のひとつだ」とイメージすること。そして「ティアップしたドライバーショット」のごとくアドレスする。次回のラウンドで試してみよう。

週刊GD2019年3月5日号より

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