砂は爆発させるものではなく、前に飛ばすもの
「ヘッドが砂に潜りすぎないためにバウンスがあるんですよ」と小林伸太郎は言う。バンカーショットは砂を爆発させるもの。そもそも、この意識がバンカーショットを難しくしていると小林は続ける。
小林 砂は爆発させるのではなく前に飛ばすものです。僕は「ボールを砂の粒子の1つ」と考えています。それをターゲット方向に飛ばしているだけ。そして、砂を飛ばすために必要なのがバウンスです。バウンスには砂に潜りすぎない機能があります。
砂を前に飛ばそうとすれば、SWのバウンスから自然に入る
小林 爆発させようとすると上から打ち込みがちですが、そうするとバウンスが砂に当たらないので、砂からの反力が得られないんです。結果、ヘッドが潜りすぎて砂を飛ばすことができない。砂を爆発させるのではなく、飛ばす意識を強める。すると、軌道がよくなりバウンスを使えるようになりますよ。
「ボールは砂粒のひとつ」と思って振る
アドレスは「ドライバーのティショット」と同じ
「バウンスを上手く使うにはアドレスのイメージを変える必要がある」と小林プロ。
小林 オープンスタンスに立ち、フェースを開いてハンドファーストに構える。実はこれ、全部間違いなんです。もちろん、ピンが近いときなどの特殊な場面では必要ですが、基本は目標に対してスクェアに構えて、フェースも開きません。
小林 スタンス幅だけは広めにします。これってドライバーのアドレスに似ていると思いませんか? 僕自身も「ドライバーと同じイメージで打て」と、かつてアドバイスされてから考え方が変わりました。
小林 バンカーショットはインパクト時の砂の抵抗が強くなるので、本来はどのショットよりも大きく振る必要がある。だから大きく振れるアドレスがマストなんです。
小林 さらに、ドライバーのように構えると、自然と遠くに立とうとするので、上から打ち込む意識が消えてきます。つまり、構えの段階で鋭角に打ち込む動きを防げるわけです。これで、構え方の迷いは解消されるはずです。
【間違い①】ハンドファーストにする…アプローチの延長のようなイメージで構えるとハンドファーストになりがちだが、手が前に出るほどボールは前に飛びにくくなる。入射角が鋭角になって、ヘッドが砂に潜りやすくなる
【間違い②】フェースを開く…高さを出すときはフェースを開くが、前に飛ぶ力は小さくなる。特殊なシチュエーションでなければスクェアに構えたほうが、バウンスが使えて、砂を前に飛ばしやすい
【間違い③】オープンスタンス…オープンスタンスに構えてスタンスなりに振るとカット軌道になりやすい。ターゲットから外れた方向にクラブを振ることになるので、ボールにエネルギーが伝わりにくくなる
フラットに振ることでバウンスが生かせる
「バンカーショットはカットに振る」と思っている人は多い。しかし、「それがもっとも危険です」と小林プロ。
小林 バンカーで大事なことは砂をターゲット方向に飛ばすことですが、カットに振るとそのイメージは出ません。そのため、縦振りをではなく、横振りのイメージを持つことが大事です。
小林 ドライバーのように構えたのもこのためです。ボールから遠くに立てば、軌道がフラットになり、よりバウンスを使えるようになります。カットに振っていた人には信じられないと思いますが一度試してみてください。
バウンスを生かす2ポイント
【ポイント①】左肩を我慢して開かない
小林 肩が開くと打ちたい方向に対して力が逃げるので、砂を前に飛ばせません。左肩の開きを我慢させることでイン トウ インになります。できない人はクローズスタンスでもいいですよ。
【ポイント②】右手のひらの向きをキープする
小林 アドレス時のフェースの向きをキープしたままインパクトするのが理想です。ロフトが立ちすぎると刃から刺さり、逆に開きすぎると手前から入りすぎます。右手のひらを意識するといいですよ。
「もしもバウンスがなかったら?」 ゼロバウンスのSWを作って打ってみた
「バウンスがあることでヘッドが潜りすぎることを防いでくれる」と説明してくれた小林プロ。では、「もしもバウンスがなかったらどうなるのか」 バウンスを0度まで削って打ってみた。
小林 実際に打ってみると、かなりヘッドが刺さる感じがありますね。打てないことはないですが、砂を取る量をコントロールするのは難しいです。バウンスの力を証明できたと思います。
番外編で「ゼロバウンス」SWの実験にも入ってもらった小林プロ。大事なのは砂を爆発させるのではなく、「砂を前に飛ばす」意識と「ボールを砂粒のひとつだ」とイメージすること。そして「ティアップしたドライバーショット」のごとくアドレスする。次回のラウンドで試してみよう。
週刊GD2019年3月5日号より
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