巨大なワングリーンのコースでは、15メートル、20メートルという長い距離のパットが残ることも珍しくない。超ロングパットの時は「足を使うのがポイント」とほしや先生は言う。長い距離でも確実に2パットで上がれるコツをお届けしよう。

ロングパットには体のアシストが必要です

15メートルを超えるロングパットになると、3メートルや4メートルは簡単にオーバーやショートしてしまう、そんな人も多いと思います。

私もそんなゴルファーの一人でした。しかし、それでは30パットを切るなんて夢のまた夢。とにかく、パットで大切なのは“距離感”なのです。

長いパットの時も下半身を固めて肩の動きだけで振る、いわゆる“ショルダーストローク”の人を多く見かけます。しかし、これではなかなかカップまで届きません。ショートしているうちに、今度はあり得ないほど大きく打ったり、インパクトで“ガツン”と力を入れて打ったりが始まります。

今度はもちろん大オーバー。こうなるともう距離感どころではなく、毎度3パット、4パットという結果になります。つまり、15メートル以上のロングパットは通常のパットの延長では攻略できないのです。

そこで非常に有効なのが“アプローチ”の感覚を取り入れることです。イメージは“転がし”のアプローチ。グリーンの速さにもよりますが、7番アイアンぐらいで転がすときの感覚が欲しいですね。

プロや上級者のランニングアプローチを見ていると、積極的に右ひざを飛球線方向に送っているのが分かります。これは、フィーリングを出しているのと同時に、小さな振り幅でも下半身を使うことでボールに力を伝えていることを意味します。この感じをロングパットに取り入れるのがポイントです。

ひざを送って距離感を出そう

画像: ロングパットには体のアシストが必要です

真っすぐのストロークを無理にしようとする必要はナシ

まず、グリップをショットと同じ握りにする。逆オーバーラッピングの人なら、オーバーラッピングに変えます。スタンスはあまり広げずに構え、インパクト前から右ひざを軽く左ひざに寄せていくように振ります。

フェース面も無理に真っすぐ動かそうとせずに、自然に開閉動作が入ってOK。試してみるとわかりますが、思った以上にボールが転がってくれるはずです。これによって、相乗効果も期待できます。

パットの距離感が養われるのと同時に、アプローチの距離感も養われます。さらに、ランニングアプローチの際には、「ロングパットだ」と思えばダフるミスが出にくいですし、ダフリそうなライの状況なら、逆にパターを使うことで芝の抵抗に負けず距離を出せるようになるのです。

7Iの転がしとパッティングは同じ距離感

画像: 7Iは着地した時にブレーキがかかるため、結果的にロングパットの距離感がそろう

7Iは着地した時にブレーキがかかるため、結果的にロングパットの距離感がそろう

重いパターはインパクトで“緩む”

もう一つ、ロングパットで大事なのが、“スピード感”です。距離感を出すには、ボールの初速のイメージを持つことが大切です。どれくらいのスピードで打ち出せば、どれぐらい転がるか、というのをつかむ必要があるのです。

そのためには、使っているパターの重さが適正か、ということも重要な要素になります。“重くて大きい”物体を細かな段階のスピードで打ち分けることは想像するだけでも難しいことが分かると思います。

重いヘッドは、いったんスピードが乗ると逆に「飛びすぎる」という意識が働くので、インパクトで“緩める”クセがつくという悪循環に陥ることも。

“距離感”とは“距離勘”ともいいますから、経験の中で身に着けて言うものであることは確かです。でも、振り方が間違っていたり、道具がそれにフタをしているとしたら、これはもったいない話。ちょっと考え方を変えたり、理屈を知ることで、ロングパットも“お先”の距離に寄せられるようになるかも知れないのですから。

【通勤GD・今日のポイント】ロングパットはアプローチショットと同じように

【科学の広場】ヘッドが重いパターは距離感を出しにくい
ストロークが安定するからと、ヘッドに鉛を張ることがあると思いますが、ロングパットに関していえばあまり好ましくありません。鉛を貼ることによって、“慣性モーメント”が大きくなり、距離感を司る“ヘッド速度”の管理が難しくなるからです。ちなみに、シャフトを1インチ伸ばすと鉛10グラムをヘッドに貼ったことに相当します。

【即効ドリル】右手の親指と人差し指を意識して“片手打ち”
ロングパットで距離感を合わせるためには、効率よくヘッドを走らせることが大切。右手の親指、人差し指の腹、付け根のふくらみ部分の3点で支えるようにクラブを持ち、右手1本でポーンとボールを打ちます。強く握らず重力を感じながら振るのがポイント。そのリズムと感覚を生かすと、距離感があってきますよ。

画像: 利き手の親指、人差し指は感覚に優れる。ここでパターの重さを感じれば、距離に応じたヘッド速度の調整が可能となります。ぜひ試してみてください

利き手の親指、人差し指は感覚に優れる。ここでパターの重さを感じれば、距離に応じたヘッド速度の調整が可能となります。ぜひ試してみてください

Illust/Shigehisa Kitatani

月刊GDより

画像: 重いパターはインパクトで“緩む”

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