【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
中尺は“重力”でボールを打っていく
中尺パターは、ラインを正しく読み、ラインに応じた的確なスピードで打ち出せれば、パットの精度が上がることは間違いありません。緊張した場面で、パターを引く時にヘッドがグラグラと波を打った経験はありませんか?
また、中尺パターは全体が重く仕上げてあります(約600~700g)。基本的に中尺は、重いものを振り上げたらあとはそのクラブの戻る力(重力)でボールを打つように設計されたパターです。
グリップエンドをかなり余らせて握ることになるので、手元側にも重さがあり、ヘッド軌道のブレが小さくなります。重量があるので、クラブ自体の慣性モーメントも大きくなります。これも安定感を高めます。
距離の打ち分けに関しても、クラブを引いたぶんだけ転がる、というオートマチック的な考えになる。自分を“マシーン”に近づけることできるのが、中尺の最大のメリット、と言えるかもしれません。
長尺パターのように、普段とはまったく違った構えで打つのと違い、普通のパターと同じような構えで打てて、安定感も上がるというわけです。
中尺パターはロングパットが苦手
では、中尺がいいことずくめかといえば、残念ながらそうとも言えません。中尺は距離の打ち分けがオートマチックになるといいましたが、裏を返せば自分でバターの動きを制御することは非常に難しいクラブということになります。
距離の打ち分けは、“振り幅”ではなく、“振るスピード”で行った方が、距離が合います。つまり、ロングパットでは自分でパターを加速させて打つ、ショートパットならスピードをゆっくりに、というように球の初速をイメージして打つことが自分の距離“勘”を磨く最短ルートなのです。
中尺はショートパットでは高い効果があるかもしれませんが、ロングパットとなると距離感を出すのはかなり難しいクラブなのです。
もう一つ加えるならば、中尺はクラブが長いぶん、ストロークする時の円弧の半径も長くなるので、目標に対してより真っすぐなヘッド軌道を描くと思いがちですが、気をつけないと、逆にヘッドの開閉が大きいストロークになる危険性があります。
中尺はフェースの開閉が大きくなりやすい
中尺を持ったら意識して両肩の上下動によってストロークすることが大事。それで初めて、中尺パターが生み出す正確なストロークが生きてくるのです。
ショートパット、あるいはストロークのブレが弱点ならば中尺を試す価値はあります。ただし、ロングパットの距離感が悪い人は避けたほうがいいと思います。何が苦手なのかをよく見極めたうえで、選ぶことが大事です。
【通勤GD・今日のポイント】ショートパットやストロークがブレるタイプは中尺パターを試す価値あり
中尺パタ-は普通の長さに比べて1.5倍の抵抗だ
ノーマルパターと中尺では「慣性モーメント」が、約1.5倍中尺の方が数値が大きくなります。それだけヘッドがブレにくくはなりますが、逆を言えば自分の力をヘッドに伝えにくくなります。
中尺を上手に使いこなすには、ストローク中、肩の動きに意識を持っていくといい。クラブが極端なイントゥイン軌道で動かないように、左右の方を上下動させるように振りましょう。練習法としては、テークバックでヘッドを高い位置に挙げていくようにすると、ヘッドはまっすぐ動きやすくなります。
Illust/Shigehisa Kitatani
月刊GDより