「しなっただけ威力が増すというのは錯覚」。今週の通勤GDは、名師弟・高松志門プロと奥田靖己プロによる「一行レッスン」です。その第十四話。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

奥田 みんな、トップでシャフトがしなれば、そのしなりの分だけ余計に飛ぶと比例式で考えますよね。飛ぶどころか、かえって危ないいうのが分かってない。

高松 そやねん。みんな弓とかアーチェリーとかと同じように考えるわけ。照準器があって、引っ張っただけ威力が増すようなね。ゴルフにそんな照準器あらへんもん。

奥田 むしろ、ゴルフの場合はその照準器が危ない、そこにかなり錯覚がある。

高松 オレな、プロになって2年目くらいの時に、これぞと思うプロの先輩によう聞きにいった。「シャフトはしなるんですか?」いうてね。しならんほうがええという結論に達しとったんやけど、一応確認のためにな。

奥田 それで答えはどうでした? 

高松 誰も気にしてへんかった。ちょっと真面目に答えてくれた人は、「まあ、しなるやろ」っていう程度。

奥田 まあ、トップで多少はヘッドの重みでしなるのは事実です。でも、力がものすごくそこに加わっていると、10センチほどトップでたわむ。だいたい力系のやつはトップでしなってます。

高松 それでダウンでもうひとつしならそうと思ってるからね。ヘッドを遅らせようとか、ヘッドを利かせようとか。

奥田 トップでクラブヘッドをわかろうということと、シャフトがしなるということは逆行しとるわけです。しなった時点で、ヘッドは思い切り消えてますわ。

高松 そう。しかも、体が開いて手が遅れるとか、手首をブワッと返したりとかいう変な動きが両方くる。だから怖い。

奥田 シャフトをしならせないようにするには、まずテークバックを軽い助走やと思うてせなあきません。例えば、走り高跳びの選手がちょんちょんちょんと軽~く走っていくでしょ。あれですわ。オリンピック選手が1メートル50センチくらいを飛ぶ気分。かなりの余力がある。

高松 あの筋肉番組でもあるよな。ポンとボタンを押して落ちてくるボールに走るやつ。あの時みんなスタート前にちょっと後ろに反動つける。あれと同じなんよ。あれを後ろに全力でやったら前に進まんやろ。一般の人は、そういうことをテークバックでやってしもうとる。

奥田 そういえば昔、先生に「シャフトしなっとうちゃうんか」いうて、試合の夜に指摘されて、ごっつい変化したことがあるの思い出しました。

高松 ああ、そやったかいな。

奥田 はい。あれ不思議で、シャフトしなっとんのかな、と思うだけで気持ちがクラブ側にいくんです。しなってないか、トップでちゃんと止まってるかどうか確認したらええ、という気分でテークバックすると、結構しならない。これだけでも、うんと違います。うぁ、かわったいうて、その時はびっくりしました。

高松 しならさないようにしようというより、しなっとるかどうかをわかろうとするほうがええね。それでクラブが収まったいうことですわ。

【通勤GD・今日のことば】テークバックは走り高跳びの軽~い助走と同じなんよ

画像: 【通勤GD】高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.14「シャフトをしならせるな」ゴルフダイジェストWEB

EDIT/長田編集事務所

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