【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日（土曜日）までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回～6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【星谷孝幸先生】
自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた
ほしや先生オフィシャルサイト
3本の線は目の錯覚を起こしにくい
いかにフェース面を目標に対して正しく向けられるか。これは、入るパットのためには絶対に必要な条件のひとつです。
これまで多くのゴルファーのパッティングを計測してきましたが、アマチュアの人の傾向として言えるのは、フェースを開いてセットしたり、体全体が右を向いて構えるタイプが圧倒的に多いということ。
これには様々な理由があると思います。例えば眼鏡をかけている人ならレンズのゆがみや、ボールをどこから見るかによっても変化するでしょう。しかし、そういったクセを解消し、狙い通りに構えられるように修正することができます。
それが今回のテーマでもあるパターヘッドに書かれた“線”なのです。
ご存知の通り、ほとんどパターの上部には線が描かれています。いずれも目標に対して真っすぐ正確に構えるための工夫ですが、最近はこれが非常に多様化しています。一本線のもの、T字型に入ったもの、あるいは複数の線が描かれているもの、などなど。
線は1本より3本、方向性が良くなるぞ
左が3本線の例。センターとトウ側、ヒール側、3本のラインが目に入るので、それが帯となって正確に構えやすい
ヘッド上部の線が1本だとラインが描きにくく、錯覚によるゆがみも起こしやすい。一方、ヘッドに線が3本描かれていると、ラインを幅で想定しやすく、錯覚も起こしにくいので自信を持って構えられるようになります。
もちろん好き嫌いがありますから、一概にどれが狙い通りに構えやすい、とは言い切れません。しかし、傾向として目標に対して正確にフェース面をセットしやすいパターはあります。
それは、打ち出し方向に対して3本の線が描かれているものです。
人間の目というのは簡単に錯覚を起こしてしまうものです。パターの線が、“1本”だと、その線がどこを向いているのかが分かりにくくなりやすいのです。
しかし、フェースのセンターを基準にその左右と合わせて線が“3本”ひかれていると、目標に対して幅のある「帯」の線に対して構えられるので、目の錯覚やラインのゆがみが起こりにくくなります。
構えに不安がないとストロークもよくなる
3本線に合わせて白くペイントを施してあるパターです（下写真）。黒いヘッドとのコントラストが強調されて、ラインのイメージが出やすくありませんか。
“線”というより、2つの白い“四角形”がついているような感じで、目標に向けて構えやすい。ということはゴルファーに安心感を与えます。ボールをセットして構えて、いざ打とうとすると「正しく向いているかな」と不安になることがあると思います。
ボールと同じ幅で白いペイントが施され、狙い通りに構えやすい。また、白い部分の残像効果によって、ヘッドを正確に打ち出しやすい
3本の線を入って構えやすいうえに、半円状の線がテークバックをゆっくり引くことを想起させ、軌道もイメージできる
セットアップに不安がなければ、自信を持ってストロークできるので、インパクトが緩んだり、体が動いたりというミスも防げるという好循環が期待できます。
一方で、パットで緊張しやすい人にとっては、逆にシビアになりすぎてしまうことも。この面では賛否両論あるかもしれませんが、たかが“線”されど“線”。方向性に不安を持っているなら、パターの“線”を見直すだけで、入る確率がぐんと向上することも期待できます。
【通勤GD】スパットをボールの近くにみつけそこに合わせる
カップに向かってフェース面を合わせようとすると、目標が遠くなるため、正確に合わせにくくなる。方向性をよくするには、自分の近いところに目標（スパット）を設定し、そこに向かってフェース面、あるいはラインを合わせる。はるかに正確に打ち出すことができる。
【科学の広場】フェースが2度ずれると2メートルのパットは入らない
パッティングにおいて、フェース面のズレは致命的なミスにつながります。以下はフェース面のズレた角度と打つ距離を表にまとめたものです。
仮にフェースが2度開くと2メートルのパットでもカップを外してしまうことになります。だから、狙いに正確に合わせらるパターを選ぶことは、それだけ大切なのです。
フェースのズレと距離の関係
1メートルの距離であれば、5度フェースが開く（閉じる）とカップインは難しくなる。仮に同様に5度開いて5メートルパットを打てば、ズレは40センチ以上で、入らないだけでなく、次の1打も不安のあるパットを残すことになる。
【即効ドリル】
方向性を磨くためには、シャフト等の棒をヘッドの両サイドに置いてストロークする練習が効果的。シャフトを並行に置くことで、目の錯覚やゆがみを解消でき、目標にまっすぐ構えることが訓練できます。また、ストレートにストロークする練習にもなり、精度の高いパッティングを作っていけるので、方向性の乱れによってカップを外すミスを軽減することができます。
2本の平行な棒の間でフェース面のズレ、ストロークのゆがみ両方を解消していく。一石二鳥の練習法
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Illust／Shigehisa Kitatani
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