2015 年のデビュー以来、着実に勝利を重ね、2018年は世界ランク1位にも立ったジャスティン・トーマス。そのキレのいいスウィングと300ヤードを超す飛距離の秘密を、プロコーチ・中井学が分析する。
画像: ジャスティン・トーマス 米国出身。25 歳。9 勝(メジャー1勝)。2016~17年シーズンは5勝で年間王者、18年は最年少で世界ランク1位。2019年も平均ストローク1位、賞金ランク8位と絶好調(3/12時点)

ジャスティン・トーマス
米国出身。25 歳。9 勝(メジャー1勝)。2016~17年シーズンは5勝で年間王者、18年は最年少で世界ランク1位。2019年も平均ストローク1位、賞金ランク8位と絶好調(3/12時点)

左股関節が強烈に柔らかい

注目したいのは、ダウンスウィングで右足を大きく蹴って、右かかとがめくれる動きです。通常、右かかとの上がりが早く、右ひざが前に出ると、上体が浮きやすくなります。

画像: 右足を蹴って右かかとが浮くが、上体が起きない

右足を蹴って右かかとが浮くが、上体が起きない

その結果、シャフトが寝て、下からあおるような動きになりやすいのですが、トーマスにはそれが一切ありません。

ダウン(❷)からフォロー(❺)まで、前傾角度が完璧にキープされているのです。これは、左股関節が強烈に柔らかい証拠。

常人にはマネのできないワザですが、これによって腰の高速ターンを可能にしています。

後方からのスウィングを見ると、インパクト直前(❹)には、完全に左のお尻が見えています。つまり、この時点で上半身と下半身には90度近い捻転差ができているわけです。

飛ばし屋として知られるトーマス、この驚くべき「超高速ヒップターン」による捻転差が飛距離の源と言えるでしょう。

インパクト前に左脚が伸び切って、ヘッドを走らせる

次は正面アングルのスウィングから、ダウンの左脚に注目してみましょう。

インパクト直前の写真を見ると、右ひざが曲がり、右かかとが大きく浮いた状態で、左脚が完全に伸び切っているのがわかると思います。

これは、左サイドでカウンターを作っている証拠。左脚を伸ばして、左脚が流れたり回ったりする動きを制御する(左脚をつっかえ棒のように使う)ことで、ヘッドを走らせているのです。

日本にはこのタイプは少ないのですが、石川遼選手などは、これに近い動きをしています。

これに対して、R・マキロイやR・ファウラーなどは、右サイドでカウンターを作るタイプと言えます。右脚を粘り強く使い、ダウンで右かかとの上がりを抑えることで右足とクラブを引っ張り合わせ、ヘッドを走らせているのです。

トーマスも、インパクト以降は右足とクラブが引っ張り合うように使います。ただマキロイやファウラーたちとは、引っ張り合いが始まるタイミングが違うのだと考えてください。ちなみに、左サイドでカウンターを作るタイプは、左脚が斜めに伸びた状態でインパクトを迎えるのが特徴。

画像: マキロイは右サイドでカウンターを作る代表

マキロイは右サイドでカウンターを作る代表

右サイドでカウンターを作るタイプは、右足がベタ足、もしくは、ベタ足に近く、左脚が垂直に近い状態でインパクトするのが特徴ですので、そのあたりに注目して、他の選手のスウィングを見てみるのも面白いのではないでしょうか。

解説/中井学プロ

画像: インパクト前に左脚が伸び切って、ヘッドを走らせる

週刊GD2019年4月2日号より

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