打ち方はともかく、「ラインをどう読んでいいのかわからない」というゴルファーは多い。ラインを読み切り、プロのようにカップにスルスルと寄っていくパットを打つには、どうすればいいのか。この“永遠のテーマ”にほしや先生が迫った。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: 【星谷孝幸先生】 自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた ほしや先生オフィシャルサイト

【星谷孝幸先生】
自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた
ほしや先生オフィシャルサイト

ボールの転がる様を想像する癖をつける

いくら転がりのいいパットが打てても、ラインが読めなければカップインはなかなか難しい。正しい、“打ち方”と“ライン読み”ができてこそ、真のパット上手への道が開けるのです。

私は科学者ですからラインの読み方を“理論化”しようとしますが、残念ながらラインを読むための明確な公式というものは存在しません。

しかし、いくつかの基本を押さえておくことで、ライン読みの精度は大きく変わることも事実。では説明していきましょう。

ラインを読む、ということは言い換えれば自分でラインを“創造”すること。

それこそボール速度によって入るラインは無限です。その中で、どういうラインを自ら創り、その通りに打てるかが“入る(寄る)”かどうかに関わってきます。ラインを想像するには「6つの基本」があります。

ライン創造の6つの基本
①傾斜の方向と角度を見る
②練習グリーンで8方向の曲がりをチェック
③仮想カップを創造する
④転がる時間をイメージする
⑤打ち出し速度を決める
⑥ボールスピードと減速の仕方を思い描く

①傾斜の方向と角度を把握。どっちに傾斜しているのか、どのくらいのきつさなのかを見ること。私の調査では、カップ周りで3度の傾斜はかなりの急傾斜であることがわかりました。ちなみに10フィートのグリーンで4度の傾斜があったらボールは止まりません。カップ周りでは多くはせいぜい2度以内の傾斜です。

②練習グリーンで1~2メートルの距離を360度いろんな方向から打って曲がり方を把握しておく。③仮想カップを決めるために、④転がる時間と⑤打ち出しの速度をイメージします。カップまでどう転がるのか、上りなら打ち出しスピードが速くてもカップ間際でブレーキがかかりますし、下りなら打ち出しからトロトロと行きたい。

そういう“スピード”と“時間”をイメージすることが方向性と距離感をつくります。さらに、⑥打ち出し速度がどう減速するのかを思い描きます。特に大切なのが、③④⑤のポイント。このイメージ力をつけるには、ラウンド経験を積むしかないのですが、とは言え、それを意識するかしないかでは、結果が大きく変わることも事実なのです。

転がる時間をイメージすると狙う“ライン”が決まる

画像: ライン読みに欠かせないのが、転がる時間のイメージ。実際に図る必要はないが、打った後徐々に減速していくボールの動きを思い描こう。どのラインを通すのがいいかが見えてくる

ライン読みに欠かせないのが、転がる時間のイメージ。実際に図る必要はないが、打った後徐々に減速していくボールの動きを思い描こう。どのラインを通すのがいいかが見えてくる

グリーン上では「4番バッター」が有利

経験を積むことが大切といいましたが、そのために実践してほしいのは、転がるボールを“観察”することです。

パットに限らず、ゴルフ多くの“情報”を得ることが大切。ショットでは風やライの状況などを把握するか否かで結果は大きく変わりますよ。パットなら、どういうスピードでどう曲がったのかを蓄積していくことで、ライン読みの精度が上がります。

「カップは耳で聞け」という教えがあります。これはヘッドアップを戒めるゴルフの“格言”ですが、ことラインを読むためにはプラスにはなりません。ヘッドアップはまずいですが、顔だけを上げる“ルックアップ”は必要。

自分の打った球がどう転がり、どこで止まったのかをしっかり見ることが貴重な情報になります。また、自分だけでなく、一緒に回っている人のパットを見ることも大切です。私は常々「アプローチ上手はパット上手」と考えています。

なぜならアプローチがうまい人は、4人のうちで最後にパットするケースが多いので、それまでの3人のボールスピードや切れ具合を“学習”できる機会が増えるから。その分、ライン読みの精度が高くなるのです。

青木功プロは「人のパットを見ても参考になりゃしない」といったそうですが、確かに青木プロは上からコツンと打ち、バックスピンがかかるような球質なので、人とは違うためにそう言ったのでしょう。

それでもその“クセ”までも考慮してボールの転がりを見極められれば、入るラインが見える確率が高まるでしょう。

【通勤GD/今日のひとこと】ルックアップして転がりの情報をインプットする

【科学の広場】“45度”を境に曲がりは急に強くなる

ボールの曲がり方は重力と大いに関係があります。一番下のボールは傾斜2度のカップに対して、上りで60度の位置。ここからは重力によって曲げられる力は弱いので、切れ方は小さい。

下から2番目の30度の位置は重力が強くなるので、切れ方が大きい。

一番上の下りの45度一が切れ方が激しく、大きくカップを外す必要があります。

画像: 一番上のパットの仮想カップはかなりカップから遠い位置になる。大胆な読みと繊細なタッチが必要だ

一番上のパットの仮想カップはかなりカップから遠い位置になる。大胆な読みと繊細なタッチが必要だ

【即効ドリル】8方向から打って曲がりを観察しておく

朝の練習グリーンではカップ周り8方向、1メートル程度の距離を練習しておきたい。カップに入れることよりも、どういう曲がり方をして、カップを過ぎたらどう転がるのかを見ます。そのためには実際のカップを狙うより、ターゲットをおいてそこを狙うだけのほうがベターですね。

画像1: グリーン上では「4番バッター」が有利

Illust/Shigehisa Kitatani

月刊GDより

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画像2: グリーン上では「4番バッター」が有利

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