【解説/吉田洋一郎プロ】
D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探求・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家、スウィングコーディネーター。
「地面反力」とは?
「地面反力」は「床反力」等と呼ばれる力のことで、近年ゴルフメディアのレッスンやスウィング解説でも取り上げられることが増え、今のゴルフ界で注目されるパワーの生み方のひとつです。
地面反力とはその言葉の通り、「地面から跳ね返ってくる力」のことです。足を踏み込んで地面に対してかけた力の反力が「地面反力」です。これは物理学では当たり前の理論で、「作用・反作用の法則」で説明されます。
たとえば、キャスターつきの椅子に座った状態で目の前の壁を押すと、椅子は後ろに下がっていきます。これは、手で押した「作用」に対して、壁からの「反作用」が働いて起こる現象です。これを地面に置き換えて捉えたものが「地面反力」です。
ゴルフスウィングは、クラブをスムーズに速く振ることでボールを効率よく飛ばすことを目指すため、この「反力」を上手く使うことが非常に重要な意味を持つわけです。
地面反力を使ってスウィングしているダスティン・ジョンソン
「筋」の力に「反力」が伴ったとき、最大ヘッドスピードが生まれる
また、「地面反力」は体の回転運動を加速させるうえで重要な役割を果たします。
具体的にはダウンスウィングからインパクトにかけて、回転軸=体の重心よりも左側(正面から見て右側、重心よりも目標寄り)に、「地面反力」による上向きの力を加えるのです。回転する物体の端を押して、その回転を後押しするイメージです。
これによって回転運動は加速され、ヘッドスピードが上がって飛距離が伸びるのです。ゴルファーは「筋」の力(内力)を使って、自分の体を意識的に動かそうとしますが、「筋」の力だけでは大きなヘッドスピードを生み出すことはできません。
「筋」の力に伴って大きな「地面反力」が働いたときにだけ、ヘッドスピードは最大になります。これは、「内力」だけでは全身を加速することができないからです。「内力」によって体のある部分が加速されると、体のほかの部分は減速されてしまうのです。
「外力=反力」が働けば、より大きな加速を得られることができ、しかも減速を抑えることもできます。スウィングの回転運動は、自分の筋力=「内力」がメインエンジンになりますが、それには限界があるんです。
「内力」による回転に地面からの反力=「外力」を使うことでプラスアルファの力を生み出し、回転が加速し、ヘッドスピードをアップさせるのです。
地面反力は体にやさしい
「地面反力」について聞きかじった人には、その第一印象から、「上下方向」の力がスウィングの精度を損なうとか、大きな力を受け止めるためにケガしやすいなどと指摘する人がいますが、いずれも的外れです。
もし、ゴルフスウィングが地面に対して垂直な軸周りに、水平面上でしか回転しないのであれば(野球のスウィングの様に)上下の動きによるメリットはないかもしれません。しかし、ゴルフスウィングは地面に垂直な軸周りの回転ではありません。
「前後軸」周りの回転も多く含んでいます。そのため、大きな「地面反力」(多くが地面に対して垂直な力)が「前後軸」周りの回転に大きな影響を与えるのです。
また、「地面反力」は体(足)に対して加わるため、体を伝わっていきます。どこかに行ってしまうことはありません。
同じ速さのヘッドスピードを生み出すことを考えたとき、「地面反力」がないときは、「筋(内力)」のみによってより大きな力を発揮しなくてはなりません。つまり、大きな「地面反力」が加えられていないと、「筋」にとっては、スウィングすることがより大変だということです。大変だということはケガの可能性が高まるわけです。
後編は「軸」についてお話しします。(吉田)
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