一時は、J・ローズの後塵を拝するものの、米ツアー、欧州ツアーで2つの勝利を挙げ、再び世界ランク1位に返り咲いたD・ジョンソン。キレのあるアイアンショットを、プロコーチ・井上透が読み解く。

ダスティン・ジョンソン
ツアー屈指の飛距離を武器にツアー20 勝を積み重ね、現在世界ランク1位に立つ(2019年3月18 日現在)。今季も米ツアーと欧州ツアーで1勝ずつを挙げるなど絶好調

スライサーが真似るならここ!

①ストロンググリップ
左手甲を正面に向け、左手をかぶせて握る。

画像1: スライサーが真似るならここ!

②左手首の掌屈(シャットフェース)
左手首を手のひら側に折り、フェースをかぶせて使う。

画像2: スライサーが真似るならここ!

左右の傾きでスウィングする

まずは、正面から体の動きを見てみましょう。ここで特徴的なのは、体の回転というよりも、体を左右に傾ける動きを利用してスウィングしていることです。

左肩と左骨盤を上げて構え、バックスウィングに入ると同時に、右肩と右骨盤を上げていく。そして、トップからは体を右サイドに倒して、強烈なハンドファーストの状態でインパクトを迎えてい
るのがわかります。 

野球のホームランバッターのような斜め軸のインパクトが印象的ですが、これらの動きがあるから、強いハンドファーストで球をとらえても、体が突っ込むことがないのです。

アドレスで、少し右足に体重をかけ、ボールを左に置いた、ドライバー的なセットアップをしているのも、単純に球を上げようとしているというより、体の傾きを使った強いハンドファーストインパクトとの相性がよいのでしょう。

現在、PGAツアーでは、硬いグリーン、厳しいピンポジションに対して球をいかに止めるか、ということが選手たちの課題となっています。それができないといいスコアが出せないからです。

ツアーにおいてフェードが全盛となっているのもこのためで、ジョンソンも、持ち球をドローからフェードに変えてから成績が出るようになりました。彼のように、強烈にフェースをシャットに使って(ロフトを立てて)ドローを打つと、球が強くなりすぎる、飛びすぎるというデメリットがあります。

これを抑えるためにも、フェードボールに変える必要があったのでしょう。左手首を掌屈させて(手のひら側に折って)フェースをシャットに使う動きも、ダウンスウィングにおける上下の大きな捻転差も、本来はドローヒッターによく見られる動きです。

ジョンソンの場合、これら(ドローの要素)を残したままフェードを打っているため、そのスウィングには、球のつかまりを抑える努力が随所に見られます。

体をタテに使う(回転ではなく傾きを使う)、クラブを外に上げる、腰を大きく切って体を開いてインパクトする、フォローのフェースターンを抑えるなどは、すべて球のつかまりを抑える工夫。普通に振るとドロー軌道になりやすいので、一生懸命スライスを打とうとしているのです。

逆に言えば、スライサーの多くは自然にこれに近い体使いをしているわけですから、ダスティンのよ
うなストロンググリップとシャットフェースを採り入れることで、球のつかまりをアップさせるのはよい手だと思います。

彼ほど極端にする必要はありませんが、少しストロンググリップにして、左手首の掌屈を意識することで、長年悩んだスライスをパワーフェードに近づけられる可能性があるでしょう。

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画像: 左右の傾きでスウィングする

解説/井上 透

週刊GD2019年4月9日号より

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