クラフトクラブが支持される理由
上級者の間で人気が高まっているのが、工房などで手に入る〝クラフトクラブドライバー〟。その理由は……。
平野 大手メーカーのドライバーは『球の上がりやすさ』や『初速』、『低スピン』といった飛びの3要素を高める最新技術が詰まっています。しかし、シャフトを含めたクラブとして売っているので、あくまで「メーカーが想定するユーザーにとっての最大飛距離」と考える上級者が多いのではないでしょうか。
平野 つまり、ヘッドやシャフトの組み合わせ次第で大手メーカーより飛ばせるクラブができると考えているのだと思います。また、時代の流れか、他人と同じモノでは満足できないゴルファーが増えてきています。そういったゴルファーたちが自分に合うクラブ、自分だけのクラブを探した結果、クラフトクラブに目をつけ、人気になっているのだと思います。
ソールのトウ側がカーボン マックスソウル「M558」
クラブデザインを仕事にして半世紀の豊島慶輔氏が手掛けた最新ドライバー。定評のある顔の良さはそのままに、ソール部トウ側のカーボン素材採用による重心設計や、特殊加工のフェースミーリングなどのこだわり技術を搭載。今昔のいいところが融合した秀作だ。
フェース面の中心を拡大
【マックスソウル】M558
ヘッド体積/450cc
ロフト角/9度、9.5度、10.5度、11.5度
ライ角/59度
ヘッド素材/(フェース)DAT55、(ボディ)8-1チタン&カーボン
ヘッド価格/6万4800円
☎046-854-8821
【試打インプレ】重心距離が短く、操作性が高く、強い球が出る
重心がネックに近いのでヘッドの返りがよく、つかまりがいいですね。打感は柔らかく、低スピンで中弾道の強い球が打てます。アベレージならハイロフトのモデルがオススメです。(平野)
クラフト系ドライバー初のカーボンクラウン GTD「GT455 plus」
クラフトドライバーでは初の「カーボンクラウン」を採用し、低スピンと初速アップを狙ったモデル。ヘッドはディープバック形状なのに、弾き系ではなく球がフェースに喰いついてコントロールできるイメージを持たせる打感。上級者好みに仕上がっている。
【GTD】GT455 plus
ヘッド体積/438cc
ロフト角/10.5度(±1度)
ライ角/58度(±1度)
ヘッド素材/(フェース)ZA008 チタン、(ボディ)6-4 チタン&カーボンクラウン
ヘッド価格/7万200円
☎042-843-8072
【試打インプレ】ディープフェースでフェードヒッターに合う
構えたときの顔がいいですね。打感が柔らかく低スピンで飛ぶ感じは大手に負けない。フェースのヒール側がディープなのでフェードヒッターが気持ちよく振れます。(平野)
エアロフォルムでHSアップ。バルド「コンペチオーネ568ストロングラック460」
振り抜きやすさを徹底して考えたエアロフォルムボディにより、空気抵抗を軽減、その結果ヘッドスピードが上がるというコンセプト。レーザーミーリングを施したフェースがボールをしっかりととらえスピン量が安定する。見るからに飛びそうな、振り切れるドライバーだ。
【バルド】コンペチオーネ568ストロングラック460
ヘッド体積/460cc
ロフト角/8.5~11度
ライ角/59度
ヘッド素材/(フェース)DAT55G精密鍛造カップフェース、(ボディ)8-1-1Ti精密鋳造
ヘッド価格/7万200円
問☎079-269-8572
【試打インプレ】低スピンで飛ぶ。力強い外観で「いかにも飛びそう」
ヘッドの作りが丁寧で、ソールをみるとまさに「飛びそうだな」と思わせてくれます。打ってみると低スピンの力強い球が出て、アゲンストなど悪条件でもしっかり結果を残せそう。(平野)
ロフトとフェースの向きを別々に調整可能 DOCUS「リローデッド」
通常、ロフト角9.5度を10.5度に寝かせると、フェースアングルは自然と閉じるので“顔”が変わってしまうものだが、この「リローデッド」はなんとフェースアングルまで調整することができる。
【DOCUS】リローデッド
ヘッド体積/445cc
ロフト角/10度、11度、12度
ライ角/61度
ヘッド素材/(フェース)DAT55チタンカップフェース、(ボディ)6-4チタン
クラブ価格/7万5600円
問☎0280-23-4099
【試打インプレ】安定したやさしさで平均飛距離を伸ばす
少し前のプロギアを彷彿させる顔で、打ってみると飛ぶ。クラフトドライバーにしては純正シャフトがあり、このヘッドとのバランスがよくて振りやすい。安定したスピン量で1発の飛びよりも平均飛距離が上がるタイプのドライバーです。(平野)
ソールに3つの素材。ヒールを重く、トウを軽く。ムジーク「エクスパイア XR」
ソールのヒール側を重いステンレスにしたことで強度が上がりヒールでの当たり負けをなくし、トウ側に軽いABS樹脂を配置することでトウダウンしにくく再現性が高い。慣性モーメントが小さく、ボールがつかまって飛ばせる。
【ムジーク】エクスパイア XR
ヘッド体積/460cc
ロフト/9.5~13.5度
ライ角/62度
ヘッド素材/(フェース)DAT51チタンフェース、(ボディ)6-4チタン&ABS樹脂&SUS340
ヘッド価格/6万8040円
問☎03-5980-8562
【試打インプレ】球のつかまりがとても良く、初速も速い
ヘッドが軽く感じられてしっかり振れ、初速が速く球のつかまりが良い。振ったら振った分だけ飛ぶと思わせてくれる。ただドローヒッターが使うとつかまりすぎるので注意。(平野)
特殊合金カップフェースと凹凸クラウン ルーツゴルフ「ザ・ルーツ ジン」
特殊合金のスーパーアーメット鋼の性能を引き出すカップフェース構造だけでなく、クラウンの厚みを蛇腹のようにすることで、インパクト時にたわみやすく、球をしっかり弾く構造にし、初速アップを図っている。
【ルーツゴルフ】ザ・ルーツ ジン
ヘッド体積/445cc
ロフト角/10.5度、11.5度
ライ角/60.5度
ヘッド素材/(フェース)スーパーア―メット鋼、(ボディ)Ti811チタン
クラブ価格/8万9640円
問☎075-583-3330
【試打インプレ】シャローフェースで球が上がりやすい。打点ミスにも強い
やや四角い顔で慣性モーメントの高さがうかがえます。また、シャローフェースなので球は上がりやすい構造です。打ち込むよりも払い打つタイプの人に合っていると思います。(平野)
とんがった性能がそのままフォルムに。まさに機能美
ここまで見てきたようにクラフト系ドライバーは、オリジナリティの高さが魅力。特殊な素材を見つけたり、斬新なデザインを生んだりするのは、造り手の経験やこだわりによるところが大きく、その結晶として、見た目にも斬新なヘッドが生まれる。
平野 ターゲットが明確なだけに、各クラフトメーカーは素材やデザインにこだわりをもって、クラブを製作している。たとえば「ルーツは素材」、「ムジークはつかまりを重視したデザイン」というようにそれがはまる人がいるのはわかりますね。
万人受けを追わない、覚悟を決めたいさぎよさがクラフトクラブのいいところだろう。
PHOTO/Akira Kato
週刊GD2019年4月9日号より