ラインを読むには“仮想カップ”を創造することが欠かせない、というほしや先生。しかし、仮想カップを設定してもそこに打ち出せなければ、カップインはあり得ない。狙ったラインに打ち出すために必要なことって何ですか?

【通勤GD】
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画像: 【星谷孝幸先生】 自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた ほしや先生オフィシャルサイト

【星谷孝幸先生】
自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた
ほしや先生オフィシャルサイト

仮想カップが遠いほど方向性は狂いやすい

私は常々、パットで最も大切なのは“距離感”だと説いています。同じ5メートルのパットであっても、打つ強さによってカップまでのラインは無数に変化します。

ですから、ラインを読むときにはジャストタッチでいくのか、あるいは、30センチオーバーさせるのか、または1パットを狙うのか、確実に2パットで行くのかを明確にきめる必要があります。

カップを見て、傾斜を見て、仮想カップを決めたら、どのくらいの強さで打てばそのラインを通るのかを“しっかり”イメージします。次に上りならオーバーさせる距離感の素振りを繰り返し、下りなら手前に止めるぐらいの感覚の素振りをして体に染み込ませます。

狙った距離を正確に打つこと、まずはここを身にるけることが大切なのです。では、仮に打つ強さとラインが決まったとして、次に大切なのが狙った方向に打ち出せるか、という“方向性”です。仮想カップを想定し、そこに集中して打っていくことが大切です。

仮想カップに正確に打ち出すには、そのずっと手前、ボールに極めて近いところに目標を設定します。距離にしてボールの3センチ先。そこを見ながらストロークすることで、仮想カップからずれにくくなります。

遠くの目標より近くの目標! 3センチ先を見ながら打とう

画像: 遠くの目標より近くの目標! 3センチ先を見ながら打とう

例えば5センチ幅のゲートが3センチ先にあるのと50センチにあるのとでは、そこを通す確率は天と地ほどの差がある。仮想カップに対して距離感とラインを創造するが、方向性に関しては3センチ先の目印が頼り。常にそこを見ながらストロークすることで方向性が整ってくる。

「ヘッドアップ」ではなく「ルックアップ」なら方向が狂わない

方向性が悪い人は、ストロークにも問題がある場合が多い。方向性が悪い人の多くは、打った後すぐに頭が上がり(ヘッドアップ)、右肩がボールを追いかけるように体が開きます。これではクラブがインサイドに抜けて引っかけたり、それを嫌がって押し出したりします。

サイドスピンもかかって転がりも悪くなる。では、インパクト以降も下を向いたままでいればいいのかというとこれもボールの転がりが情報として蓄積されないので好ましくない。

私がおすすめしたいのは、ヘッドアップではなく“ルックアップ”です。以前ルックアップするとボールの転がるさまを見続けられるので、そのたびに情報が蓄積され、ラインの読みの精度が上がる、という話をしました。

画像: 左)ルックアップ、右)ヘッドアップ。ルックアップは肩が縦に動き、ヘッドがまっすぐ出るのに対し、ヘッドアップは肩が開きヘッドがインに。方向性を磨くにはルックアップ

左)ルックアップ、右)ヘッドアップ。ルックアップは肩が縦に動き、ヘッドがまっすぐ出るのに対し、ヘッドアップは肩が開きヘッドがインに。方向性を磨くにはルックアップ

ルックアップすると、左肩が縦に跳ね上がるように動き、完全な縦の“振り子”運動になるというメリットがあります。ボールの3センチ先を見ながら、仮想カップ目がけて「あそこまで打つぞ」という感じでルックアップしてみてください。

パターヘッドは真っすぐ進み、フォローも大きくなるので、方向性は格段に良くなります。この振り子の動きを取り入れるのにもう一つ大事なこととして、“体重移動”があります。振り子というのは言うまでもなく、重力があることで初めて起こる動きです。

「縦の振り子で打つ」と言って、いくら手でその動きを作ろうとしても、それでは一定のリズムで振ることは不可能。手の感覚は日替わりですが、重力は一年中変わらないのですから、それを取り入れることが方向性も距離感も安定する大きな要因です。

テークバックでヘッドの動きとともに体重も右に移動、インパクトに向かっては、今度は右ひざを左に寄せるようにして体重を移していきます。このとき、手で振ろうとか肩を回転させようといったことは不要で、ひざを動かすことで自然と肩も手もパターヘッドも連動して動いてきます。

ルックアップと体重移動、一見正確なストロークと対極にあるように思えるかもしれませんが、これこそが常に一定に振れる“振り子”のストロークには欠かせない動きなのです。

【通勤GD/今日のひとこと】方向性が悪い人はルックアップで打ってみよう

【科学の広場】パッティングでも「間」を取ることが大切だ

リズムが一定だと距離の打ち分けも正確になります。そのリズムは普通に歩行するリズムが基本。人によって多少異なりますが、1歩は約0.7秒です。テークバックで0.7秒、切り返しで0.2秒の「間」、ダウン~フォローの0.7秒を足すと1.6秒。このリズムで振るとストロークが安定してくるでしょう。

画像: 0秒→0.7秒→0.2秒→0.7秒=1.6秒”

0秒→0.7秒→0.2秒→0.7秒=1.6秒”

パットでは切り返しで方向が逆転する瞬間にヘッド速度はゼロになる。切り返しで0.2秒程度「間」を置くと更に安定して左右に重力が移動し、体重の乗ったインパクトができます。

【即効ドリル】3センチ先のティを見ながらストローク

練習グリーンやパターマットで3センチ先を見る意識を強める練習をしておきましょう。実際にボールの3センチ先に低めのティを立て、そこを払うようにストローク。これそ繰り返すことで、ターゲットに対する意識が強くなり、フォローの大きなストロークが身につきます。

画像: 3センチ先のティをさらに30センチ先にもティを立て、そこまでパターヘッドがまっすぐに動いているかどうかを確認。このドリルを繰り返すことで方向性が格段にアップ

3センチ先のティをさらに30センチ先にもティを立て、そこまでパターヘッドがまっすぐに動いているかどうかを確認。このドリルを繰り返すことで方向性が格段にアップ

Illust/Shigehisa Kitatani

月刊GDより

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画像: 「ヘッドアップ」ではなく「ルックアップ」なら方向が狂わない

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