知るほどにゴルフが上達するという「クラブの仕組み」。これまで2回にわたりドライバーの「ライ角」と「重心距離」を取り上げてきたが、最終回は「アイアン形状」について。流れに一貫性のあるクラブセットが組めるようになること必至。
画像: 【解説/喜多和生】 クラブデザイナー。ミズノ時代、中島常幸、鈴木規夫、岡本綾子らトッププロのクラブを手掛け90年にクラブ工房「ジョイメニィー」を設立。

【解説/喜多和生】
クラブデザイナー。ミズノ時代、中島常幸、鈴木規夫、岡本綾子らトッププロのクラブを手掛け90年にクラブ工房「ジョイメニィー」を設立。

アイアンヘッドの秘密「8番を境に形状が変わる」

最後にアイアンについて喜多氏に聞いてみたところ、アイアンヘッドには、ゴルファーにあまり知られていない秘密があるという。

喜多 アイアンのヘッドは、7Iまでと8I以下で形状が変わります。具体的に言うと、7Iまでは「直線」をベースにしたシャープな顔つきが特徴ですが、8Iからその顔つきに「丸み」が出てくるのです。これはクラブの用途が変わるからなのです。

画像: アイアンヘッドの秘密「8番を境に形状が変わる」

上級者やゴルフ歴の長い人はご存知だろうが、その理由についてまで理解している人は少ない、と喜多氏。

喜多 7Iまでは“フルショット”を想定しているのです。ですから直線がベースで作られており、フェースをスクェアにセットしやすい=構えやすいように設計されています。

喜多 一方、8I以下はフルショットももちろん想定していますが、“コントロールショット”を重視した形状に変わります。つまりフェースを少し開いてカットに打ったりする時に違和感がないよう、形を丸くしているのです。要は8I、9I 、PWになるにつれ、ウェッジの形状に近づいていくわけです。

画像: 8Iや9Iのフェースを開いて使うケースは少ないかもしれないが、丸みのある形状だからこそ、フェースを開いて構えても違和感がない

8Iや9Iのフェースを開いて使うケースは少ないかもしれないが、丸みのある形状だからこそ、フェースを開いて構えても違和感がない

8Iも9Iもフルショットしか打たないゴルファーは多い。だが実は、ウェッジのようにフェースを開いて高さを出したり、飛距離を抑えたり、スピンを入れたりといった、コントロールショットができる設計になっているのだ。

ウッド、アイアンといった単体だけでなく、14本のクラブをトータルで理解することも重要だと喜多氏は言う。

喜多 整った14本のクラブセッティングには必ず“流れ”があります。クラブの長さは『長い→短い』、クラブの重さは『軽い→重い』、ロフトは『小さい→大きい』、ライ角は『フラット→アップライト』とフロー(階段)させるべきです。それが振り心地の統一や飛距離の打ち分けにつながります。

画像: 14本のクラブの流れはいろいろあるが、重さ、長さ、ロフト角、ライ角は最低限押さえておきたい。ここで流れが狂うと無理なスウィングが必要になり、スウィング自体を壊す原因にもなる

14本のクラブの流れはいろいろあるが、重さ、長さ、ロフト角、ライ角は最低限押さえておきたい。ここで流れが狂うと無理なスウィングが必要になり、スウィング自体を壊す原因にもなる

喜多 14本のなかに“異質”なクラブがあると、そこだけスウィングを変える必要があり、結果として全体のスウィングに悪影響を及ぼします。上達するうえでもクラブを理解することが大切なのです。

クラブ選びのポイント①
アイアンはウッドより、つかまりやすい

画像: アイアンはシャフト軸より後方にフェース面があることで球がとらえやすくなっている。右に行きやすいロングアイアンほどグースの度合いは大きくなるのが一般的

アイアンはシャフト軸より後方にフェース面があることで球がとらえやすくなっている。右に行きやすいロングアイアンほどグースの度合いは大きくなるのが一般的

クラブ選びのポイント②
ライ角が合っているか確認する

ソールにテープを貼り、ゴム板などの上で素振りすれば簡単に分かる。真ん中に痕が残ればライ角は適正。トウやヒール寄りならライ角が合っていない証拠だ。全番手チェックしてみよう。

画像: ソールにテープを貼り、ゴム板などの上で素振りする。真ん中に痕が残ればライ角は適正。トウやヒール寄りならライ角が合っていない

ソールにテープを貼り、ゴム板などの上で素振りする。真ん中に痕が残ればライ角は適正。トウやヒール寄りならライ角が合っていない

クラブ選びのポイント③
バウンスは角度より高さが大事

画像: ウェッジのお助け機能であるバウンスは、10度や8度など角度で表記されるが、重要なのはバウンスの盛り上がりの「高さ」。高いほど跳ねやすいためバンカーでは有効だが、ライによっては高さが邪魔になることもある

ウェッジのお助け機能であるバウンスは、10度や8度など角度で表記されるが、重要なのはバウンスの盛り上がりの「高さ」。高いほど跳ねやすいためバンカーでは有効だが、ライによっては高さが邪魔になることもある

クラブ選びのポイント④
パターはヘッド形状より総重量をチェック

画像: ヘッド形状ばかり注目しがちだが、実は総重量がカギ。グリーンの高速化で手首の動きを抑えたストロークが主流だが、それには総重量500g以上が合っている

ヘッド形状ばかり注目しがちだが、実は総重量がカギ。グリーンの高速化で手首の動きを抑えたストロークが主流だが、それには総重量500g以上が合っている

週刊GD2019年4月23日号より

最新のレッスン・ギア・プロ情報をチェック↓

This article is a sponsored article by
''.