小平・今平・金谷のプレーを分析
小平選手は練習ラウンドのとき、つかまらない球が出ていたのが気になりましたが、試合に入ると上手く調整していました。その辺りはさすがです。ただ、飛距離は置いていかれていました。マスターズやほかのメジャーも含めたフィールドで考えた場合、きついのかなと感じました。(吉田)
しかし、小平選手はドライバーを含め、全部が上手い選手です。PGAツアーで優勝もしていますから、すべてにおいてレベルが高いことは言うまでもありません。そのなかで、もっと上位にいくためには、何かひとつズバ抜けたものが必要だと思います。
「噛み合えばもっとできると思っている」(小平)
小平智 データ
FWキープ率 60.71%(56位)
パーオン率 63.89%(37位)
平均パット数 1.67( 52位)
(※予選2日間)
PGAツアーの経験を重ね、アプローチのバリエーションは非常に豊富です。私はアイアンの精度を上げることが近道だと思います。いかにバーディチャンスを増やせるか。ここを伸ばすことで、さらなる活躍が期待できるはずです。
体格の大きくないルーク・ドナルドがPGAツアーで活躍できたのは、飛距離の部分を補うショット力があったからです。小平選手もルークのような選手になれると思います。
【吉田Check】ショット力はピカイチ。世界でも通用する
小平選手のショット力は高い。この長所をさらに世界レベルまで伸ばすことでドライバーの飛距離を補えると思います。さらに磨きをかけてほしいですね。
予選通過と予選落ち、飛距離平均10ヤード以上の差
今平選手は、今回は経験不足が出たのかなと感じました。練習ラウンドを見ていたら調子はよさそうでしたし、実際本人も調子はいいと言っていました。ただ、練習と試合ではまるで違ったようです。いくら練習ラウンドを重ねても、本番での経験がないので、コースへの対応力という面で苦しかったと思います。
技術はあるはずなのにそれが出せないのは、経験の蓄積がないからにほかなりません。技術的な話をすると、2日目にドライバーが振れなくなっていました。
マスターズ予選2日間のドライビングディスタンス
予選通過/297.1Y 予選落ち/286.1Y
今平選手本人も「置きにいった」と表現していましたが、フェアウェイキープを意識するあまり、本来の思い切りの良さが消えていました。課題は「振っても曲がらない」スウィングを身につけることだと思います。
一緒に回っていたケビン・キスナーも大きくありませんが、PGAツアーで優勝している選手です。彼を見ていると、かなり振っています。振っても曲がらないスウィングをしているのです。これは、普段からそのように戦っているからできることだと思います。
今平選手にも、キスナーのように、振っても曲がらないスウィングを目指してほしいです。今平選手の強みは何ごとにも動じない部分。初出場とは思えない落ち着きぶりはさすがでした。今回は、単純に経験が足りなかったのかなと思いました。
【吉田Check】置きにいくショットが目立った
初日に飛ばしにいって曲げていたので、2日目は方向性を重視していました。しかし、フェアウェイをキープできても2打目がシビアになってしまったので結果的には裏目に出ました。振っても曲がらない選手を目指してほしいです。
金谷拓実選手は、実戦向きのプレーヤー
最後に金谷選手ですが、今平選手と同様、経験不足の面は否めません。とはいえ、アマチュアでマスターズに出場すること自体すごいことですし、予選も通過してしまうわけですから、これは本当にすごいことです。
スウィングとしてはまだまだ未完成ですが、私がイメージしていたよりもショットがとても上手い選手でした。実戦向きの選手で、「ゴルフが上手い」という印象を受けました。
FWキープ率 トップ5(予選2日間)
1位 ベルンハルト・ランガー89.29%
2位 金谷拓実、アンドリュー・ランドリー、アレックス・ノレン、ラリー・マイズ、イアン・ウーズナム 85.71%
今後は、スウィングはもちろんですが、ピンチになったときの対応力や、絶対に外してはいけない場所のジャッジなどを学んでいってほしいと思います。
今回の出場で「オーガスタは気が抜けるホールがひとつもない」ことを実感したと思います。これを今後に生かしていってほしですね。
週刊GD2019年4月30日号より
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