「苦手意識」を持つことは、「百害あって一利なし」と伊澤利光プロ。通勤GD「イザワの法則」Vol.21は「逃げるという選択肢をどれだけ排除できるか」です。
【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
伊澤利光プロ
1968年生まれ。プロも憧れる美しいスウィングの持ち主。2001年、03と2度賞金王に輝き、2001年マスターズで4位入賞。都内の大崎と碑文谷に「伊澤ゴルフアカデミー東京」を開校。
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GD まず最初に、日本ツアーとPGAツアーでは、何がどう違うのでしょうか。
伊澤 具体的でわかりやすい話で言うと、4番アイアンとか、3番のユーティリティとか、そういう長いクラブでどこまでピンを狙っていくか、というところが決定的に違いますね。
GD 世界レベルでは、長いクラブでもピンを狙っていくと。
伊澤 何の迷いもなく(笑)。米ツアーでは、長いパー3でも、カップがすごく厳しいところに切られます。向こうのプレーヤーは、「安全に」グリーンのセンターを狙うなんて人は、まあ、いませんから。そもそも、グリーンが大きくてアンジュレーションも強いから、カップから遠い場所に乗せると、逆にピンチという側面もありますしね。
GD 距離的にはロングアイアンを使う場面でも、状況的にはロングアイアンじゃグリーンに止められないケースもある?
伊澤 そういうことが多いですね。それでも、みんなピンに向かって打っていくんですよ。リーダーズボードの上のほうにいる選手がそうなんだから、下の選手は逃げ回ってる場合じゃない。当然、グリーンに止まらずに、こぼれてしまうことも多いんですが、その時はその時で、どうやってパーをセーブするかという風に、切り替えてプレーするんですね。強い選手というのは、なかなかボギーを打たないんです。タイガーの全盛期は、アプローチもうまかったけど、パーパットを入れる確率が半端なかったでしょ?
GD 確かに、そうですね。つまり、難しい状況でも、あえて狙っていく勇気と、それが上手くいかなかったときにリカバリーできる技術が必要だと。
伊澤 さらに大事なのは、ピンを狙って打っていくという選択肢が、いつでも、優先順位の一番上にあるかどうか、ですね。PGAツアーの連中は、それ以外の選択肢が、はなっからないですけど(笑)。
伊澤 私がアメリカでプレーしていた時も、グリーンが横長にだだっ広くて、ピンはいちばん奥の、狭くて奥行きのないところにあって、「これ狙うの? 逃げるの?」ってこっちが思っている横で、同伴競技者のアメリカ人選手は、キャディとピン方向だけ見て何やら相談しているということがよくありました。
伊澤 英語がわからなくても、ピンから遠いほうは一切、指さしたりしないから、わかりますよね。私は、どちらかというと体が勝手にピン方向に向いちゃうタイプなんですが、その時だけは、「自分が最初(オナー)じゃなくてよかった」と思っちゃいましたね(笑)。
伊澤 でも、彼らはそうやっていつでもピンを狙っていくから、ショットの精度も高くなるのであって、日本だとロングアイアンを使う機会がまず少ないし、使う場面では「ここパーでいいか」というメンタリティになっていることが多いんです。ここが大きな差ですね。
【通勤GD・今日のポイント】ドライバーのヘッド軌道は「少しアッパー」
イザワの法則/決して上げようとしないこと
長い番手を打つ際に、いちばんやってはいけにことは、ボールを上げようとすること。ロフトが上向きになってしまうので、弾道の強さ、飛距離ともに損なわれてしまう。
イザワの法則/スウィングの途中にたまたまボールがある感覚
ロングアイアンや、長いユーティリティを練習するときには、失敗しても成功しても、最後まで振り切ることを意識する。ボールを「打つ」感覚はむしろ不要。
イザワの法則/長いクラブは遠心力に逆らわないこと
長いクラブは、その長さゆえにヘッドに遠心力が強く働く。つまり、遠心力を「邪魔しない」ことが、長いクラブを打ちこなすコツ。無駄な力みは大敵だ。
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