松田鈴英
1998年生まれ。身長167センチ、体重45キロ。「鈴英」と書いて「れい」と読む。細身ながらドライビングディスタンス255ヤードでトップに立つ(2019/5/12時点)
インサイドループのドロースウィング
まず❷を見ると、フェースアングルが背骨と平行になっているのがわかります。これはフェースローテーションを使わず、体で上げている証拠。(井上透)
また、❷でヘッドが手元よりも少し外に上がり、❹でクラブが立ったトップに収まっているのは、腕のローテーションと手首のコッキングを抑えている証拠です。
このアップライトなバックスウィングから、クラブを後ろに倒し、インサイドにループさせて下ろし
てくるのが、松田プロの最大の特徴と言えます。
通常、これだけインサイドからフラットに下ろすとフェースが開きやすいのですが、松田プロは、左手首を内側に締めて(手のひら側に折って)フェースを閉じ、右へのミスを防いでいます。
全体的な印象で言えば、ループ軌道を上手にコントロールした、フラット&インサイドアタックの、ドローボールスウィングと言えるでしょう。
フットワークでエネルギーを生む
飛ばし屋として知られる松田プロですが、一発の長打よりも平均飛距離を重視したスウィングコン
セプトが垣間見えます。
手首のコッキングと腕のローテーションを抑えたコンパクトなトップ、タメを抑えたダウンスウィ
ングなどは方向性を重視する意志の表れ。
「それ以外のところでエネルギーを生み出しているので、これ以上アクセルを踏み込む必要がない」「それでも十分な飛距離が得られる」ということなのでしょう。
では、彼女はどこでエネルギーを生み出しているのか?
注目したいのはフットワークです。トップからダウンにかけて沈み込んでいるのは、地面を踏んで力をためている証拠。そこからインパクトにかけて左脚を伸展させることで、下半身のエネルギーをクラブへと伝えているのです。
この脚力をクラブスピードへと変換させる上手さが、松田プロの飛距離の源と言えるでしょう。通常、長身・細身の女子選手が高速でスウィングすると、上半身の筋力が足りずに振り遅れやすくなります。
手が体の正面から外れない松田プロのバックスウィング
しかし、松田プロは、手首のコッキングや腕のローテーションを抑えることで克服し、大きなスウィングアークを実現して、その長所(手足の長さ)を生かしているのです
週刊GD2019年5月21日号より