自分に「ぴったりのシャフトが見つかれば、もっと飛ばせるし、もっとゴルフが楽しくなる」とギアの識者たちは言う。「ならば、見つけようじゃないか」。ということでPGAツアーのトッププロの使用ドライバーを同じスペックで作り、プロがどのような意図で選んだのかを検証。その結果、見えてきたシャフト選びのキモを公開。

PGAツアー猛者のレプリカドライバー、HS50m/sのプロと、HS45m/sのフィッターが試打検証

画像: レプリカドライバーでシャフト選択の意図を探ったのは、ご覧の8名(左上から時計回りにタイガー・ウッズ、ジャスティン・ローズ、フィル・ミケルソン、ジャスティン・トーマス、ローリー・マキロイ、アダム・スコット、セルヒオ・ガルシア、リッキー・ファウラー)

レプリカドライバーでシャフト選択の意図を探ったのは、ご覧の8名(左上から時計回りにタイガー・ウッズ、ジャスティン・ローズ、フィル・ミケルソン、ジャスティン・トーマス、ローリー・マキロイ、アダム・スコット、セルヒオ・ガルシア、リッキー・ファウラー)

検証方法は、

①選手仕様と同モデルを入手
選手たちが使用しているのと同じモデルのシャフトを米国から取り寄せる。

②長さやスペックをできるだけ再現
ロフトやシャフトの重量・フレックス、長さなどを調べ、可能な限り再現。

③横田プロ、小倉氏が試打検証
打ち手の視点から徹底分析。

【試打】横田英治プロ
江連忠の理論を継承し、ツアー経験に基づく独自のメソッドを組み合わせた指導で定評がある。ETGSエグゼクティブインストラクター

【試打】小倉勇人
クラブに対するディープな視点と的確なコメントに定評があり。千葉のユニオンゴルフ店店長であり、クラブフィッターも務める。5下シングルの技量を持つ、目利きクラフトマン

1本目 タイガー・ウッズ
「M5&ディアマナD+ホワイト70TX」

画像: ロフトは9度、シャフトは44.5インチ、ウェート位置は短め・深め

ロフトは9度、シャフトは44.5インチ、ウェート位置は短め・深め

コントロールできて飛び方が"一辺倒"
シャフトは日本未発売のタイガーが好む"白マナ系"。「クラブが短くて硬いので、球が絶対に左に行きません。いろいろな球が出ないし、ミスしても"一辺倒"だから不安なく振れます」(横田)

「私にとっては"棒"のよう。余計なことを一切しません。ヘッド速度があれば自分で操作できますし、力んでも弾道が変わらないでしょう」(小倉)

【試打結果】

画像: インパクトロフトが立って初速は出るが、打ち出し角とスピン量は低かった

インパクトロフトが立って初速は出るが、打ち出し角とスピン量は低かった

「タイガーは自分で弾道を作ってコースを攻めたいプレーヤー。状況に応じて球の高さやドロー・フェード、スピン量などを操るために、余計なことをせずコントロールしやすいクラブになっています」(横田)

画像: 「シャフトが助けてくれたり、仕事をする気配はまったくありません」(横田)

「シャフトが助けてくれたり、仕事をする気配はまったくありません」(横田)

2本目 ジャスティン・ローズ
「TW747 460&VIZARD FD7X」

画像: ロフト:9.5度、シャフト:45.25インチ、重いウェートを前に浅重心

ロフト:9.5度、シャフト:45.25インチ、重いウェートを前に浅重心

やや上がるけれど、つかまりすぎない
「手元しっかり系ですが、7Xのわりにしなりを感じます。芯を外しても振動を吸収してサイドスピンが減ります」(小倉)

「シャフトはガチガチじゃなくてしなりはあるし、ヘッドはシャローバックで球が浮いて、思いのほかやさしい。でも左にはいきません」(横田)

【試打結果】

画像: ツアースペックのわりに打ち出しが高めで、スピン量は適正に抑えられた

ツアースペックのわりに打ち出しが高めで、スピン量は適正に抑えられた

画像: 「ローズは、力感のないスウィングで自分は静かに動いてクラブに仕事をさせています」(横田)

「ローズは、力感のないスウィングで自分は静かに動いてクラブに仕事をさせています」(横田)

3本目 フィル・ミケルソン
「ローグ・サブゼロ&HARDUS T1100 65 6.5」

画像: ロフト:9度、シャフト:45.5インチ、ライ角はドローポジション

ロフト:9度、シャフト:45.5インチ、ライ角はドローポジション

パワーヒッターが振り抜ける、叩ける
「シャフトは硬くても、しなるポイントが自分に合うからか振るとハードに感じなくて高弾道に。ヘッドはアップライトでつかまります」(横田)

「ハリが強いシャフトで、パワーがないとスピンが入らず、球が浮きません。でも曲がりは抑えられます」(小倉)

【試打結果】

画像: 横田プロはキャリーを伸ばし、小倉氏はスピン不足に。弾道の違いが顕著に表れた

横田プロはキャリーを伸ばし、小倉氏はスピン不足に。弾道の違いが顕著に表れた

画像: 「タメが深くても速く戻せるシャフトとアップライトなヘッドでつかまります」(横田)

「タメが深くても速く戻せるシャフトとアップライトなヘッドでつかまります」(横田)

4本目 ジャスティン・トーマス
「TS3&ディアマナBF60TX」

画像: ロフト:9.5度、シャフト:44.5インチ、ライ角設定はB1ポジション

ロフト:9.5度、シャフト:44.5インチ、ライ角設定はB1ポジション

上と左のミスを消し、振り負けないクラブ
「そこまで硬い印象はないし、余計なしなりを感じない。トーマスの回転スウィングに合う感じです。クラブが短くて一気に振り切れます」(横田)

「しっかりしたシャフトとヘッドで、スピンを抑えて球が逃げていく"低スピン&右プッシュ"が出ます」(小倉)

【試打結果】

画像: 2人とも高初速が出たが、HSがかなり速くないとスピンが入りきらないだろう

2人とも高初速が出たが、HSがかなり速くないとスピンが入りきらないだろう

画像: 「ジャンプ打法の高速回転についてくる""短く・硬い"クラブですね」(横田)

「ジャンプ打法の高速回転についてくる""短く・硬い"クラブですね」(横田)

5本目 リッキー・ファウラー
「KING F9スピードバック&ツアーAD IZ7X」

画像: ロフトは10.5度 シャフトはX。ファウラーの短め43.5インチ仕様

ロフトは10.5度 シャフトはX。ファウラーの短め43.5インチ仕様

鋭く振り切れて、ラインが出せる
「ミスヒットに強い"長い・深い"重心のヘッドを、自分のタイミングでシャープに振り切るために、クラブを短くしているのだと思います」(小倉)

「シャフトのしなりを感じるし、球が高くて散らばらず、やさしいです。ストレートな球でコントロールできる」(横田)

【試打結果】

画像: 他のモデルと比べてスピンが入った安定弾道となり飛距離を稼いだ

他のモデルと比べてスピンが入った安定弾道となり飛距離を稼いだ

画像: 「右サイドでさばきながら、高速のヒップターンについてくる短いクラブです」(横田)

「右サイドでさばきながら、高速のヒップターンについてくる短いクラブです」(横田)

6本目 セルヒオ・ガルシア
「エピックFLASHサブゼロ&TENSEI CKブルー80TX」

画像: ロフト:9.5度、シャフト:44.0インチ、ウエートはドローポジション

ロフト:9.5度、シャフト:44.0インチ、ウエートはドローポジション

しっかりタメを作っても戻ってくるシャフト特性
「ワッグルするとシャフトがかなり硬いけれど、打つと意外につかまります」(横田)

「シャフトは手元が重くてしっかり。自分の技量で操作したいのでしょう」(小倉)

【試打結果】

画像: 横田プロはドローで飛ばしたが、小倉氏は球の高さとスピン量を出し切れず

横田プロはドローで飛ばしたが、小倉氏は球の高さとスピン量を出し切れず

画像: 「強くタメてから戻すため、短くて手元が硬いシャフトと返しやすいヘッドを選んでいるのだと思います」(横田)

「強くタメてから戻すため、短くて手元が硬いシャフトと返しやすいヘッドを選んでいるのだと思います」(横田)

7本目 アダム・スコット
「TS3&ツアーAD DI8X」

画像: ロフト:10.5度、シャフト:45.0インチ、ライ角はA2ポジション

ロフト:10.5度、シャフト:45.0インチ、ライ角はA2ポジション

振り子のイメージで重さを球にぶつける
「ロフトがあるだけに、弾道が高いですね。振っていてシャフトのしっかり感はありますが、スペックのわりに重くは感じません」(横田)

「クラブの重さを生かして、大きなスウィングアークでシンプルに打てます。しかも左のミスを消している」(小倉)

【試打結果】

画像: ロフトが大きめなこともあって、ハードなクラブのわりに打ち出しは高め

ロフトが大きめなこともあって、ハードなクラブのわりに打ち出しは高め

画像: 「入射角がゆるやかなスウィンガーに合うオーソドックスなクラブです」(横田)

「入射角がゆるやかなスウィンガーに合うオーソドックスなクラブです」(横田)

8本目 ローリー・マキロイ
「M5&TENSEI CKホワイト70TX」

画像: ロフト:8.0度、シャフト:45.0インチ、スライドウエートはつかまり&深め

ロフト:8.0度、シャフト:45.0インチ、スライドウエートはつかまり&深め

マキロイだから打てる、世界最高レベルのハードスペック
「ヘッドをポンと置くと顔が開いているし、シャフトは手元が重くてハード。球がつかまりすぎない仕様ですね。私のヘッド速度とパワーでは速く振れないし、スピンが入らずドロップしそうです」(小倉)

「シャフトは硬くて、ヘッドはロフトが立ってフェースが右向き。マキロイは左に行かないクラブをも求めているのでしょう。このように同じ球しか出ないクラブはプロにとって心強いです」(横田)

【試打結果】

画像: 2人ともスピン量がかなり抑えられ、右には出るが左に行くボールは皆無

2人ともスピン量がかなり抑えられ、右には出るが左に行くボールは皆無

画像: 「グッと力強く振りにいっても耐えられる、最もハードな仕様のドライバーです」

「グッと力強く振りにいっても耐えられる、最もハードな仕様のドライバーです」

【結論】ハードなだけじゃない。トッププロは振り方にマッチしたシャフトを選んでいる。

横田 レプリカドラは「ただ硬い」、「ただ重い」ではなく、それぞれのスウィングに合うシャフトとスペックでした。

小倉 そうですね。やはりその人に合う仕様とタイミングが取りやすいシャフトでなければ、当てることはできても飛ばなくなってしまいます。

横田 トッププロのようにオンプレーンで振れば、スウィング中に感じるクラブの重さは変わりません。であればシャフトが重いほうが、大きなエネルギーを伝えられるんです。

画像: シャフトの特性によって、スピン量や球の高さが目に見えて変わりました(横田)

シャフトの特性によって、スピン量や球の高さが目に見えて変わりました(横田)

画像: スペックが私にはハードすぎて、当たるには当たりますが、全然飛びません(笑)(小倉)

スペックが私にはハードすぎて、当たるには当たりますが、全然飛びません(笑)(小倉)

月刊GD2019年6月号より

次回②では、シャフトの性能にフォーカスして、運命のシャフトの見つけ方を解説します。

最新のギア・レッスン・プロ情報をチェック↓

This article is a sponsored article by
''.