PGAツアー猛者のレプリカドライバー、HS50m/sのプロと、HS45m/sのフィッターが試打検証
検証方法は、
①選手仕様と同モデルを入手
選手たちが使用しているのと同じモデルのシャフトを米国から取り寄せる。
②長さやスペックをできるだけ再現
ロフトやシャフトの重量・フレックス、長さなどを調べ、可能な限り再現。
③横田プロ、小倉氏が試打検証
打ち手の視点から徹底分析。
【試打】横田英治プロ
江連忠の理論を継承し、ツアー経験に基づく独自のメソッドを組み合わせた指導で定評がある。ETGSエグゼクティブインストラクター
【試打】小倉勇人
クラブに対するディープな視点と的確なコメントに定評があり。千葉のユニオンゴルフ店店長であり、クラブフィッターも務める。5下シングルの技量を持つ、目利きクラフトマン
1本目 タイガー・ウッズ
「M5&ディアマナD+ホワイト70TX」
コントロールできて飛び方が"一辺倒"
シャフトは日本未発売のタイガーが好む"白マナ系"。「クラブが短くて硬いので、球が絶対に左に行きません。いろいろな球が出ないし、ミスしても"一辺倒"だから不安なく振れます」(横田)
「私にとっては"棒"のよう。余計なことを一切しません。ヘッド速度があれば自分で操作できますし、力んでも弾道が変わらないでしょう」(小倉)
【試打結果】
「タイガーは自分で弾道を作ってコースを攻めたいプレーヤー。状況に応じて球の高さやドロー・フェード、スピン量などを操るために、余計なことをせずコントロールしやすいクラブになっています」(横田)
2本目 ジャスティン・ローズ
「TW747 460&VIZARD FD7X」
やや上がるけれど、つかまりすぎない
「手元しっかり系ですが、7Xのわりにしなりを感じます。芯を外しても振動を吸収してサイドスピンが減ります」(小倉)
「シャフトはガチガチじゃなくてしなりはあるし、ヘッドはシャローバックで球が浮いて、思いのほかやさしい。でも左にはいきません」(横田)
【試打結果】
3本目 フィル・ミケルソン
「ローグ・サブゼロ&HARDUS T1100 65 6.5」
パワーヒッターが振り抜ける、叩ける
「シャフトは硬くても、しなるポイントが自分に合うからか振るとハードに感じなくて高弾道に。ヘッドはアップライトでつかまります」(横田)
「ハリが強いシャフトで、パワーがないとスピンが入らず、球が浮きません。でも曲がりは抑えられます」(小倉)
【試打結果】
4本目 ジャスティン・トーマス
「TS3&ディアマナBF60TX」
上と左のミスを消し、振り負けないクラブ
「そこまで硬い印象はないし、余計なしなりを感じない。トーマスの回転スウィングに合う感じです。クラブが短くて一気に振り切れます」(横田)
「しっかりしたシャフトとヘッドで、スピンを抑えて球が逃げていく"低スピン&右プッシュ"が出ます」(小倉)
【試打結果】
5本目 リッキー・ファウラー
「KING F9スピードバック&ツアーAD IZ7X」
鋭く振り切れて、ラインが出せる
「ミスヒットに強い"長い・深い"重心のヘッドを、自分のタイミングでシャープに振り切るために、クラブを短くしているのだと思います」(小倉)
「シャフトのしなりを感じるし、球が高くて散らばらず、やさしいです。ストレートな球でコントロールできる」(横田)
【試打結果】
6本目 セルヒオ・ガルシア
「エピックFLASHサブゼロ&TENSEI CKブルー80TX」
しっかりタメを作っても戻ってくるシャフト特性
「ワッグルするとシャフトがかなり硬いけれど、打つと意外につかまります」(横田)
「シャフトは手元が重くてしっかり。自分の技量で操作したいのでしょう」(小倉)
【試打結果】
7本目 アダム・スコット
「TS3&ツアーAD DI8X」
振り子のイメージで重さを球にぶつける
「ロフトがあるだけに、弾道が高いですね。振っていてシャフトのしっかり感はありますが、スペックのわりに重くは感じません」(横田)
「クラブの重さを生かして、大きなスウィングアークでシンプルに打てます。しかも左のミスを消している」(小倉)
【試打結果】
8本目 ローリー・マキロイ
「M5&TENSEI CKホワイト70TX」
マキロイだから打てる、世界最高レベルのハードスペック
「ヘッドをポンと置くと顔が開いているし、シャフトは手元が重くてハード。球がつかまりすぎない仕様ですね。私のヘッド速度とパワーでは速く振れないし、スピンが入らずドロップしそうです」(小倉)
「シャフトは硬くて、ヘッドはロフトが立ってフェースが右向き。マキロイは左に行かないクラブをも求めているのでしょう。このように同じ球しか出ないクラブはプロにとって心強いです」(横田)
【試打結果】
【結論】ハードなだけじゃない。トッププロは振り方にマッチしたシャフトを選んでいる。
横田 レプリカドラは「ただ硬い」、「ただ重い」ではなく、それぞれのスウィングに合うシャフトとスペックでした。
小倉 そうですね。やはりその人に合う仕様とタイミングが取りやすいシャフトでなければ、当てることはできても飛ばなくなってしまいます。
横田 トッププロのようにオンプレーンで振れば、スウィング中に感じるクラブの重さは変わりません。であればシャフトが重いほうが、大きなエネルギーを伝えられるんです。
月刊GD2019年6月号より
次回②では、シャフトの性能にフォーカスして、運命のシャフトの見つけ方を解説します。
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