石川遼にはここ5年間ずっと抱え続けていたスウィングの悩みがあった。もがき続けどん底状態のところについに光が差してきた。ほぼ半年前の月刊ゴルフダイジェスト2019年2月号で、自らの技術についてこう語っていた。

今の球、なんで真っすぐ行ったんだ?

ゴルファーは常に自分のスウィングに悩み、そして正解を見つけるまで常に格闘し続ける。石川遼も同様に、自分のスウィングにもがき、長年苦悩の日々を送っていた。

── いったいどんな悩みを抱えていたんですか。

石川 実はここ5年間ぐらいずーっとプッシュアウトの癖に悩んでいたんです。最初に出始めたのは(日本で賞金王を獲った)2009年ぐらい。その後11年、12年にかけて、よりそのミスが出るようになってきました。プッシュアウトの原因を根本的に勘違いしていたんですよ。プッシュアウトの原因って、クラブが振り遅れるっていうじゃないですか。僕もそう思い込んでいて「振り遅れないようにするにはどうすればいいか」ってずっと考えていたんです。それで「リリースをいかに早くするか」を主眼においていつも練習していました。

── 確かに石川プロは「右足前でインパクトするイメージでヘッドを先にいかせたい」ということを、以前レッスン撮影したときに言っていましたよね。

石川 そうそう、まさにそうなんですよ。スライスが止まらないアマチュアの人には、そのレッスンでハマる人もいると思うんです。でも僕は元々ドライバーもアイアンもハンドファーストでダウンブロー気味に当てるタイプだったのに、ここ5年はヘッドが先にきて、シャフトが真っすぐの状態でインパクトしていました。それでも1日に1回か2回は必ず右プッシュがドカンと出ていたんです。

── 振り遅れていないのにプッシュが出ていたと。

石川 逆に振り早まっているから右に行っていた、というのが僕の結論です。振り早まることでクラブが上から入っていたんです。試しにクラブを振らないで体だけ先行させてみてください。クラブは絶対寝ますよね。寝るってことは下から入ります。下から入るとチーピンしか出ません。右にプッシュアウトする人はだいたいクラブが上から入ってフェースが開いた状態でインパクトしている。上から入るということはタメがなくて、タメがないと右に行く。振り早まっていた5年間はタメが少なかった。今はひとコマのタメが生まれたことで、むしろ左のミスが増えています。

石川遼2017年のスウィング(ツアー選手権)

石川遼2018年のスウィング(日本シリーズ)

石川 もともと3番ウッドが好きなんですけど、その感覚で打てるとなると世界が変わってくる。やっぱりコントロールしたいから、全部ハンドファーストで打ちたくなる。今はみんなハンドファーストでシャットフェースですよね。僕はそこについていけてなくて、けっこうトップでフェースがオープンだし、ハンドファースト当てられていないし……。

半年ほど前のインタビューで、本人が技術を語ったのはここまでだった。ドライバーの振り感を3Wに近づけるために、片山晋呉選手からのアドバイスで、ドライバーのネックに鉛を貼ったことが功奏しているとも語っていた。

その後、ケガによる離脱を乗り越え、日本プロゴルフで逆転優勝。ツアー優勝は3年ぶり。石川遼の試行錯誤が右肩上がりになり始めたことは間違いない。

石川遼2019年のスウィング(SMBCシンガポールオープン)

石川遼クラブセッティング(2019年日本プロ時点)
1W/エピック フラッシュ ドライバー トリプルダイヤモンド(9.5度・45インチ)
3W/XR16(13.5度)
2I/APEX PRO アイアン(18度)
3I/Xフォージド UTアイアン(21度)
4I-PW/APEX MB
50度/Xフォージドウェッジ
58度/マックダディ2ツアーグラインド
PT/オデッセイ プロトタイプ PT09ix
ボール/クロムソフトX

月刊GD2019年2月号より(記事末に一部加筆して掲載しています)

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