2019年の4人のメジャー覇者のスウィング、プロコーチ井上透が振り返る。
画像1: 【勝者のスウィング】タイガー、ケプカ、ウッドランド、S・ローリー。2019メジャーチャンピオンのスウィングを井上透コーチが分析

【タイガー・ウッズ】2019マスターズ制覇
75年生まれ。43歳。2018年に5年ぶりツアー優勝、今季14年ぶり5度目のマスターズを制した

【ブルックス・ケプカ】2019全米プロ優勝
90年生まれ。3年で4度メジャー優勝、メジャーに強さを見せる。メジャー以外は興味ないと言い切る29歳

【ゲーリー・ウッドランド】2019全米オープン優勝
84年生まれ。35歳。ツアー4勝。抜群の運動神経で幼いころから様々な競技で才能発揮。圧倒的な飛距離

【シェーン・ローリー】2019全英オープン優勝
87年アイルランド生まれ。32歳。PGA2勝。ヨーロピアンツアー5勝。68年ぶりアイルランド開催の全英で優勝

今のタイガーの体使いはいたってナチュラル

タイガーは若いころに比べてフットワークと左サイドのへの踏み込みが抑えられ、トップからその場で体を回転させているのがわかります。体の開きを抑え、体の正面でボールを捉えるオーソドックスなインパクトといえるでしょう。

画像: 体の正面でボールを捉え、右かかとの上りが遅くなった

体の正面でボールを捉え、右かかとの上りが遅くなった

左へのミスを防ぐケプカのスウィング

これに対して、ケプカは左へ曲げない工夫が随所に見られます。左手首を手のひら側に折り、フェースを閉じて使うのが彼の最大の特徴。ただ、そのままだと左のミスが怖いので、左わきを開け、腰の回転をシャープに使って、フェースを被るのを防いでいるのです。

画像: フォローまで左わきは開けたまま、体を開いてボールを捉える

フォローまで左わきは開けたまま、体を開いてボールを捉える

手元が浮かないウッドランド

ウッドランドは、手元を低く抑え込んだインパクトが秀逸。下半身は地面反力を意識した今どきの動きをしていますが、これはあとで詳しく説明したいと思います。

画像: 手元がとても低い位置を通りインパクト

手元がとても低い位置を通りインパクト

ローリーは、バックスウィングで、ややフェースをオープン方向に使い、そこから滑らかにフェースを閉じて球を包み込んでいます。往年の名選手、I・ウーズナムを思わせる動きが印象的です。

画像: ボールを包み込むようにインパクト

ボールを包み込むようにインパクト

自然なタイガー、変則のケプカ

今季前半のタイガーは、リズム、テンポ、バランスが安定し、全体を通してスムーズに振り切れてい
ました。動きで言えば、昔よりもバンプ動作(ダウンで腰を左にスライドさせる動き)による左への踏み込みが抑えられ、その場で回転するようになったことが特徴的と言えます。

その結果、体とスウィングをコントロールしやすくなり、出力を効率よく出せるようになりました。いい意味でクセがなくなり、ナチュラルな動きになったと言えるでしょう。

これに対して、非常に独特な動きをしているのがケプカです。彼の場合、体をかなりタテに回転させるのが特徴で、横回転が少ないぶんトップにおける肩の回転量はそれほど大きくありません(上半
身と下半身の捻転差はかなりある)。

さらに、トップで左手首を手のひら側に折ることで、フェースをかなり閉じて使っています。このように肩の回転量が少なく、アップライトでシャットなスウィングをしていると強いフックが出やすいのですが、彼は左わきを開けてそれを防いでいます。

基本的に、ダウンで左わきを締めると左腕が回旋し、球がつかまりやすくなります。ケプカは、これを避けるためにダウンからフォローにかけて、意図的に左わきを開けて使い、フェースを低く長くスクェアに保っているのです。

強烈なタメで飛距離を稼ぐ

左への踏み込みを抑えつつ、左脚の伸展と、右ひざの伸ばしを積極的に使ってダウンスウィングし、その場で体を大きく回転させることで地面からの反力をスピードに変える。

これは、近年多くのプレーヤーが取り組んでいるフットワークですが、ウッドランドもこれを積極的に取り入れていることがわかります。

さらに、驚くべきはダウンにおける手首のタメです。基本的に、クラブを寝かせて下ろすタイプほど、正面から見たときに、手首のタメは大きく見えます。ところが、彼はかなりクラブを立てて下ろします。にもかかわらず、これだけのタメが作れるのは尋常ではありません。

このフットワークと手首のタメだけを見ても、「飛ばないはずがない」スウィングだとわかるのです。

左ひじを柔らかく。フックさせないローボールの完成型

最後に、強風の全英オープンを制したローリーのローボールショットを見てみましょう。注目は、インパクト直後の左ひじです。通常、低い球を打とうとすると、フェースがシャットになって、引っかけやすくなります。

そこでフェースを少し開いて構えるなどの工夫をするプレーヤーが多いのですが、ローリーはバックスウィングでフェースをオープンに使いつつ、インパクトゾーンで左ひじを曲げて使うことで、これを防いでいます。

これだけを見ても、彼が相当なテクニシャンであることがわかります。強風のリンクスで鍛えられた、ローボールの完成形と言えるでしょう。

週刊GD2019年8月20・27日号より

【解説】井上透
いのうえとおる。プロコーチ。東大ゴルフ部監督。日本におけるプロコーチの草分け的存在。現在、成田美寿々、穴井詩、川岸史香らのコーチを務める。

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