今週の通勤GDは「迷ったとき、ユハラに帰れ!」。今回のテーマは足の使い方。飛はしには「ジャンプアップが欠かせない」と湯原信光。往年の名手から若手のプロまで、ほとんどが跳ぶ力を活かして飛ばしているとも。ジャンプして飛はすためのコツを聞いた。

前回第14話のお話

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【湯原信光プロ】
ツアー7勝、シニアツアー1勝の日本を代表するショットメーカー。とくにアイアンショットの切れ味は、右に出るものはないと言われた。現在は東京国際大学ゴルフ部の監督も務め、後進の指導にも力を注いでいる。

力を垂直に、真上に使う

GD  よく「足で打つ」と言いますよね。場合によっては「手をまったく使わない」とも。

湯原 手を使わないは、ちょっと大げさな表現ですね。でも、足で打つのは、私が小さいときもそうでしたが、子供たちが飛ばそうとしているときに、ごく普通にやっていますよ。力を垂直に、真上に使うんです。

GD  カを垂直に、真上に使うとは……?

湯原 私の小さいころの写真を見ると、両かかとが浮いてインパクトしています。当時の重いクラブを持って、それをビューンと加速させようとすると、かかとがバーンと上がるものなんです。全身を使ってなるべく速くクラブを振ろうとすれば、自然とそうなるものです。

画像: 1970年、別冊ゴルフダイジェスト10月10日号に掲載された、中学1年の湯原少年。両足が大地を蹴り、左ひざをピンと伸ばして飛ばしている

1970年、別冊ゴルフダイジェスト10月10日号に掲載された、中学1年の湯原少年。両足が大地を蹴り、左ひざをピンと伸ばして飛ばしている

GD  いわゆるジャンプアップですか?

ジャンプアップで飛ばす

湯原 そう、ジャンプアップです。大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)を使って両足で地面を蹴ると、体が上にいこうとします。同時に、手が下りてくる。上にいく力と下にいく力とでクラブを加速させるわけです。

GD  体は上にいく、クラブは下にいく。ある種の作用と反作用のようなものですか。

湯原 ジャンプする直前のように足を強く踏むことで、地面から力がもらえるようになるんですよ。

湯原 たとえば、アルゼンチンの名手、アンヘル・カブレラのスウィングを思い出してください。ダウンスウィングに人ると、背中がもりもりと盛り上がつてきますよね。

湯原 足が地面を蹴って体が盛り上がっても、頭の高さは変わらないから、背中だけが盛り上がるように見えるんです。腕は反対に下へ向かっていき、そこに回転が加われば、クラブはものすごい勢いで加速をします。

GD  ジャンプして体が上に向かうとトップするんじゃないですか。

湯原 トップするほどジャンプはできませんよ。

GD  伸び上がってしまうような気もしますが。

湯原 アドレスで作った背骨の前傾角度を変えてしまったら、伸び上がりになってしまいます。そうならないために、目とボールの距離を変えないようにするのがポイントです。

GD  前傾角度を保つようにと考えるより、目とボールの距離を変えないというほうが、わかりやすいような気がします。

湯原 アドレスでわずかに曲げていたひざが、地面を蹴ると同時にピーンと伸びますけど、それで浮く体の高さは、それほど高くはなりません。そして、アドレスからトップまでゆとりを持たせていた左ひじが、やはりビューンと伸びますから、トップとかダフリの心配はないのです。

GD  小さな巨人と呼ばれたゲーリー・プレーヤーや、女子プロのナタリー・ガルビスなども、かなり大胆にジャンプしていますね。

画像: ゲーリー・プレーヤー

ゲーリー・プレーヤー

画像: ナタリー・ガルビス

ナタリー・ガルビス

湯原 プレーヤーがあの小さな体で、ジャック・ニクラスやアーノルド・パーマーと対抗してビッグ3の一角として活躍するには、ジャンプアップが必要だったのでしょう。私の印象では、ジャンプアップがもっとも目立ったのは、日本の女子ツアーでも活躍した飛ばし屋、ローラ・デービーズですね。

画像: ローラ・デービーズ

ローラ・デービーズ

GD  ジャンプする選手としない選手の違いは何ですか。

湯原 目立つかどうかの違いだけで、ジャンプする量の違いはあっても多かれ少なかれ、ほとんどのプロは、飛ばしたいときはかかとを浮かしてジャンプしています。 その現象がスパイクのなかで行われているので、外見上はわからないだけなんです。

現代にも通用するスウィング理論・湯原信光の初勝利の模様はこちら↓

ベタ足とジャンプアップでヘッドスヒードを使い分け

GD  しかし、スウィングはベタ足のほうがいい、という教えもありまよね。ジャンプアップとベタ足では正反対ですが……。

湯原 正確性を求めるなら、ベタ足でかかとが上がる量をセーブしたほうが有利だからです。ジャンプして思い切ってヘッドスピードを上げる状態を10として、6や4ぐらいでコントロールして打つときに両かかとが上がるのはナンセンスです。ヘッドスピードを出す必要はないですからね。でも、飛ばしたいなら、思い切ってジャンプしたほうが有利です。

GD  確かに、ベタ足で足の裏をベッタリと地面につけたままでは、体も回転しにくそうです。

湯原 だから使い分けをするわけです。ドライバーでジャンプが目立って飛距離が出る選手でも、SWを打つときは両かかととも上がりません。

GD  湯原プロは、それを子供時代に本能的にやっていたと。

湯原 重いクラブをビュンと素早く振らなきゃならないわけですから、自然とジャンプしていましたね。私だけじゃなくて、何とか飛距離を伸ばそうとしている子はみんなそうなっていました。ジュニアのころにはけっこう飛距離が出ていたのに、「ジャンプはダメ」と教えられて飛ばなくなった選手に、「もっと思い切ってジャンプしたら」とアドバイスしたこともありますよ。

湯原 飛ばしたいときは跳んで、コントロールするときはベタ足に変化させればいいんです。バックスウィングだって、大きくしたり、小さくしたり、必要に応じてコントロールするじゃないですか。それと同じですよ。

GD  ジャンプは足首やつま先でやるものでしょうか。

湯原 いや、使うのはももの前、大腿四頭筋です。そこをしつかり使うのがコツです。

GD  人間の体のなかでもっとも大きい筋肉と言われている部分ですね。ジャンプは、その大きい筋肉を有効に使う手段なんですね。

湯原 日本人は、どちらかというと、もも裏の筋肉を使いがち。だからかかと体重になりやすくて、ヘッピリ腰の状態でクラブを振ろうとしてしまうんですね。それでは前傾角度も浅くなってしまう。

湯原 もっと覆いかぶさるぐらいの感じで構えて、頭の位置というか、目とボールの距離を変えずに振れば、パワーが発揮できるはずです。タイガーもマキロイも前傾角度は日本人選手より深い。それが効率のいい運動エネルギーを生み出していると思います。

画像: ベタ足とジャンプアップでヘッドスヒードを使い分け

GD  まとめると、①大腿四頭筋でジャンプしながらインパクトへ向かい、②その反動で下に向かう腕が伸びてヘッドスピードが加速される。③そのとき前傾姿勢を保つために、目とボールの距離を変えない。これが実践できれば飛距離は伸びそうな気がしますね。

湯原 いや、気がするじゃなくて、実際に伸びますよ。自分の力に地面からのパワーがプラスされるんですからね。

GD  よく、足を使えと言われて、左ひざが飛球線方向にスライドしている人もいますが、それもやっぱり足を使っていることになるのでしょうか?

湯原 ジャック・ニクラスがそうやって打っていることがありましたね。あれは、いわゆる二ーアクションで、それが飛ばしの秘訣だと誤解して真似をしている人も多かった。でも、ニーアクションを使うのは、車で言えばショックアブソバーみたいなもので、衝撃を吸収して、飛ばさないための動きなんですよ。

画像: 二―アクションはまた違った動き

二―アクションはまた違った動き

GD  ニーアクションを使うと飛ばないんですか?

湯原 ひざを横にスライドさせると力のロスになりますからね。

GD  次回じっくりと聞かせてください

週刊GD2013年より

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画像: golfdigest-play.jp
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