日本アマや日本ミッドアマなど全国規模のアマ競技ではなく、今回はその下「関東アンダーハンディキャップ選手権」の試合に突撃。競技ゴルフを楽しむゴルファーはどんなヘッドやシャフトが好みなのでしょう?

スクラッチプレーヤーやプラスハンディ、プロ予備軍の学生が集う「日本アマ」や「日本ミッドアマ」とは違い、一般アマが競技を楽しめる「関東アンダーハンディキャップ選手権」。その会場にお邪魔し、エンジョイ競技派のドライバーを調査。そのデータをギアに精通する伊丹大介プロに解説してもらった。

画像: 【解説】伊丹大介プロ 東北福祉大ゴルフ部出身。クラブやセッティングなどギアの知識も豊富、理論派ティーチングプロとして人気

【解説】伊丹大介プロ
東北福祉大ゴルフ部出身。クラブやセッティングなどギアの知識も豊富、理論派ティーチングプロとして人気

関東アンダーハンディキャップ選手権の2会場で100人調査

画像1: 関東アンダーハンディキャップ選手権の2会場で100人調査

関東アンダーハンディキャップ選手権は関東ゴルフ連盟が主催する競技で関東・新潟・長野・など各ブロックで予選が行われ、10月末に決勝を行う。

調査した100人はどんなゴルファー?

画像2: 関東アンダーハンディキャップ選手権の2会場で100人調査
画像3: 関東アンダーハンディキャップ選手権の2会場で100人調査

まずはドライバーのヘッド、どのモデルを使用していた?

画像1: まずはドライバーのヘッド、どのモデルを使用していた?

伊丹 平均ハンディキャップは15前後ですから、その技術レベルで考えると予想通りのヘッドが上位を占めています。性能面で言えば、まず"つかまりのよさ"を重視しています。1位の「キャロウェイ エピックスター」は重心距離が短め。つまり、つかまるヘッドなのです。

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伊丹 「ピンG410プラス」や「ゼクシオテン」もつかまりがいいです。ただ面白いのは2位に「テーラーメイド M2」が入っていることです。このモデルは重心距離が長め。つまり、つかまりがあまりよくないのです。それでも人気があるのは、飛距離性能の高さでしょう。中古市場でもいまだに高値が付く「M2」は反発性能が高く飛ぶドライバーとして有名です。

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伊丹 ハンディ15前後ならドライバーの平均飛距離は220ヤードくらいと予想できます。その飛距離が10ヤードでも伸びればセカンドの番手が変わりますから、スコアメークにも直結するはずです。

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上位4つを海外ブランドが占めているが、テーラーメイドのMシリーズの合計は17人。このテーラーメイドについて伊丹プロ。

伊丹 Mシリーズは奇数と偶数で特徴が分かれます。偶数モデル(M2・M4・M6)は重心距離がやや長めでヘッド重量は軽め。つかまりは少し劣るが、そのぶん飛距離が出るヘッドです。一方、奇数(M3・M5)モデルはヘッドが小ぶりで重心距離がやや短め、重量は少し重めです。こちらは操作性を重視したタイプで、ヘッドスピードがある程度速い人に合います。ですからM2、M4、M6を使う人は飛距離性能を重視したクラブ選びと言えるでしょう。

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人気のヘッド体積とロフトは?

画像: 市販モデルのほとんどが460ccであることを考えれば当然の結果といえる。

市販モデルのほとんどが460ccであることを考えれば当然の結果といえる。

画像: 半数が10.5度を使用しているのは、より球をつかまえたいという証拠といえる

半数が10.5度を使用しているのは、より球をつかまえたいという証拠といえる

伊丹 ヘッドサイズは当然の結果でしょう。ヘッドは大きければ大きいほどスウィートエリアも広くなります。ミート率を左右しますから、誰もが大きなヘッドを使うはずです。さらに構えたときの安心感などの影響もあります。これが日本ミッドアマなら少し変わるかもしれません。操作性を重視した小ぶりなヘッドが増えるでしょうね。

ヘッドが大きいと必然的に重心距離も長くなりやすい。ヘッドサイズはロフトとセットで考えるとゴルファーが求める性能が見えてくる、と伊丹プロ。

重心距離が長い大型ヘッドは「ロフト多め」が打ちやすい

伊丹 これらドライバーのロフト表示は、リアルロフトだと1度以上寝るはずです。つまり、9.5度なら10.5度、10.5度なら11.5度がリアルロフトになります。ロフトは角度が増えるほどボールがつかまりやすくなります。つまり、相反する性能をロフトでカバーしているのです。

伊丹 簡単に言うと、大型ヘッドは重心距離が長くなってつかまりが悪くなりますが、それをロフトを増やしてカバーするわけです。大型ヘッド&ロフト多めはボールをつかまえたい、ドローを打ちたい、飛距離を伸ばしたいという表れでもあるのです。

最近の純正シャフトはクオリティが驚くほど高い

画像: 1位の純正シャフト33人は全モデルの合計です。女子プロに人気のスピーダー装着率が高かった。モデルにより違いはあるが、基本的に先調子でシャフトが良く動くので球がつかまりやすく、ヘッドが走るのが人気の理由か

1位の純正シャフト33人は全モデルの合計です。女子プロに人気のスピーダー装着率が高かった。モデルにより違いはあるが、基本的に先調子でシャフトが良く動くので球がつかまりやすく、ヘッドが走るのが人気の理由か

使用シャフトを調べたところ、100人中33人のゴルファーが純正シャフトだった。この結果について。

伊丹 テーラーメイドやキャロウェイ、タイトリスト、ピンなど、海外ブランドの多くは純正シャフトに力を入れています。国内ブランドでは「ゼクシオ」もしかり。

伊丹 基本的にヘッドの性能を最大限引き出すために計算されて作り出されているのが純正シャフトです。つまりヘッドとの相性は抜群なのです。

伊丹 最近ではシャフト専門メーカーと組んで純正シャフトをラインアップしているモデルもありますから、驚くほどクオリティは高いのです。それ以上のシャフトを見つけるのが困難なくらい、いいシャフトが使われています。とくにハンディキャップ15前後のゴルファーにとっては、最も優れたシャフトと言えるでしょう。

実際、日本ミッドアマでドライバー調査をすると、純正シャフトを使う選手はほとんどいない。それが今回は3割以上の使用率となった。

画像: 最近の純正シャフトはクオリティが驚くほど高い

伊丹 クラブにおいてシャフトはとても重要です。飛距離にも操作性にもつながりますから、より自分に合ったリシャフトができれば、さらなるレベルアップも可能になります。一方で、リシャフトは自分の技量やクセ、目指す球筋など、スウィングを深く理解していなければなりません。当然、トップアマは自分自身を良くわかっていますから、細かい部分までテストすることができます。ですが、ハンディキャップ15前後のゴルファーであれば、なかなかそういう作業は難しいはず。であればヘッドとシャフトの相性がいい純正の中で選択していくのがベターです。

飛ばしたいけど、長さはそこそこ。それがアマチュアの本音?

100人のドライバー調査の最後は長さ、重さ、フレックス。データを分析した伊丹プロは、

画像1: 飛ばしたいけど、長さはそこそこ。それがアマチュアの本音?

伊丹 まずはフレックスですが、傾向として少し軟らかめです。これは平均年齢59歳で考えれば適切でしょう。しなり戻りが少なければ球は上がりませんし、つかまりも悪くなります。最近は計測器でテータを取れますから、自分に合ったフレックスがわかっているのでしょう。

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伊丹 総重量については平均304g。これは女子プロとほぼ同じです。ヘッドスピードもおそらく女子プロに近いはずです。38~42m/sくらいでしょう。これが日本アマクラスになると、310g以上になるはずです(HS45m/sは必要)

画像3: 飛ばしたいけど、長さはそこそこ。それがアマチュアの本音?

伊丹 このデータで最も注目すべきは長さです。今のドライバーは長くなりすぎています。これは販売戦略上ともいえますが、飛ぶクラブでないと売れないからです。反発係数やヘッド体積はルール上限のギリギリ。まだ余地があるのは長さだけですから(ルール上限は48インチ)。

伊丹 ただ今回のデータを見ると、今の標準は45.25インチですから、7割近い人がやや短めを選択しています。クラブを短くすれば当然ミート率は上がります。飛ばしたいけどミート率のために長さは抑える。そんなアマチュアの本音が見えてきます。

画像: 「競技は心技体のレベルを上げる最高の舞台です」(伊丹)

「競技は心技体のレベルを上げる最高の舞台です」(伊丹)

週刊GD2019年10月1日号より

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