フェアウェイウッドがうまく打てず、ロングアイアンも難しすぎるというゴルファーのセッティングに必須となったユーティリティ。このUT、いろいろな種類があり、どんなタイプを選べばいいのかが悩みどころだが、使いこなせればこれほど重宝するクラブはない。「シャットに上げるのが基本」と話す永井延宏プロに、打ちこなし方を教えてもらった。
画像: 【解説】永井延宏コーチ ながいのぶひろ。1969年生まれ、埼玉県出身。国内外のスウィング理論だけでなく、クラブにも精通。広範な知識をもとに、多くのアマチュアを指導する

【解説】永井延宏コーチ
ながいのぶひろ。1969年生まれ、埼玉県出身。国内外のスウィング理論だけでなく、クラブにも精通。広範な知識をもとに、多くのアマチュアを指導する

ショートウッドよりもフェースが返りにくい

やさしいはずのUTなのに上手く打てないと感じているアマチュアは多いはず。

永井 そもそもUTは、ストロングロフト化で難しくなってしまったロングアイアンの代替として、プロユースで開発されたクラブです。プロのヘッドスピード(以下HS)だと、ショートウッドではスピン量が増えすぎ、ボールもつかまりすぎてしまうので、UTが生まれたわけです。

画像: 「テークバックでシャフトが地面と平行になった時点でも、フェースをボールに向けておくぐらいの意識が必要。後方から見たときに、フェースと体の前傾角度が揃っていればOKです」

「テークバックでシャフトが地面と平行になった時点でも、フェースをボールに向けておくぐらいの意識が必要。後方から見たときに、フェースと体の前傾角度が揃っていればOKです」

永井 ショートウッドに比べ、フェースがターンしにくいため、UTはフェースの開閉を抑えたスウィングが必要です。テークバックの始動では、体の正面からクラブが外れないように、ヘッドではなく体から先に動かして、シャットフェース(閉じたまま)に上げていくのがポイントです。

UTを上手く打つには動き出しが肝心

ロングアイアンよりやさしいが、ショートウッドより難しいUT。上手く打ちこなすポイントはテークバックの始動にあると永井プロ。

永井 いったんフェースが開いてしまうと、スクェアに戻すのが難しい。特に、動き出しでフェースが開かないように注意です。

【体から動く】

永井 フェースを閉じたままテークバックしたいので、ヘッドをアドレスの位置に残したまま、体重を右に移す動きからスタート。体の動きが先行して、それにクラブがついてくるイメージです。

画像1: UTを上手く打つには動き出しが肝心

【ヘッドから始動はNG】

永井 テークバックの始動でヘッドから先に動くと、クラブが体の正面から外れ、フェースは開いて上がってしまう。UTでボールがつかまらずに、右へのミスが出やすい人は注意しましょう。

画像2: UTを上手く打つには動き出しが肝心

グリップの真ん中を意識すればプレーンどおりに振れる

UTが上手く打ちこなせない。特に、ボールの手前をダフりやすいというアマチュアの声をよく聞くが、その原因はどこにあるのだろう。

永井 アイアンよりも長いUTは、ダウンスウィングで手元が上がってヘッドが下がる、トウダウンが起こりやすいんです。ダフリのミスが出やすい人はもちろん、ヘッドのトウ側が下がるとフェースは開くので、右に飛び出すミスも出やすい。こういう傾向のある人は、インパクトでトウダウンしている可能性が大です。

トウダウンを防ぐには、どこに支点を意識して振るかがポイントだという。

永井 グリップエンドを支点に振る意識だと、ダウンで手元が浮いてトウダウンしやすくなります。グリップの真ん中からシャフトの境目あたりを支点にする意識で振れば、手元が浮かなくなるので、トウダウンを防げます。

画像: 「グリップの真ん中からシャフトとの境目あたりに支点を意識。ダウンでヘッドが下がる動きが抑えられて、ダフリを防げます」

「グリップの真ん中からシャフトとの境目あたりに支点を意識。ダウンでヘッドが下がる動きが抑えられて、ダフリを防げます」

画像: 「グリップエンドを支点にすると、ダウンスウィングでヘッドが下がるため、手元が浮いてしまい、トウダウンしやすくなります」

「グリップエンドを支点にすると、ダウンスウィングでヘッドが下がるため、手元が浮いてしまい、トウダウンしやすくなります」

スプリットハンド素振りでクラブの動きを確認

永井 ダウンでヘッドが下がり、クラブが寝て下りてくるのがダフリの原因。UTはアイアンよりもクラブが寝やすいので、それを防ぐ工夫が必要。グリップの真ん中からシャフトとの境目を支点に振る感覚をつかむには、スプリットハンド素振りのドリルが効果的。右手を支点にグリップエンドとヘッドの向きを入れ替えるイメージです。

画像: まずはスプリットハンドで振ってみてください

まずはスプリットハンドで振ってみてください

永井 左手はグリップエンドぎりぎり、右手はシャフトの境目あたりで、両手を離して握り(写真左)、左手は下げ、右手を上げるようにして、クラブが地面と平行になるようにテークバックします(写真中)。バックスウィングからトップまでも、同じように右手を支点にして、クラブを上げます(写真右)。

画像1: スプリットハンド素振りでクラブの動きを確認

永井 ダウンからインパクトに戻すときも、右手に支点を意識します。グリップエンドは体を向き(写真左)、左手でグリップエンドを目標と反対に向けるイメージで、ヘッドを先行させていきます(写真中)。そして、グリップエンドを目標に向けるイメージで、左ひじをたたんでフィニッシュまで振り抜いていきます(写真右)。

画像2: スプリットハンド素振りでクラブの動きを確認

自分に合うUTの選び方

「ザ UT」とも言えるオールマイティな3本

永井 テーラーメイドやピンなど、人気が高い海外ブランドのドライバーと同じシリーズのモデルは、UTの王道といえるでしょう。一般的なヘッドスピードがあって、ロングやミドルアイアンが厳しくなってきた人向きです。

画像1: 自分に合うUTの選び方

つかまり重視の人にはグースタイプがおススメ

永井 ヘッドスピードがあまり速くなくて、UTだとボールがつかまりにくいという人は、リーディングエッジがシャフトの延長よりも左(目標側)に出ていない、グースタイプのUTを選ぶといいでしょう。

画像2: 自分に合うUTの選び方

上級者は小ぶりヘッドが叩いていける

永井 インパクトが安定した上級者でヘッドスピードが速く、UTでも球筋や弾道を操りたいという人は、ヘッドが小ぶりで操作性の高いモデルがおススメ。タイトリストのUTはその代表モデル。

画像3: 自分に合うUTの選び方

FWとUTとアイアンで球筋はどう違う?

ウッドは1W・3W・5Wの3本で、アイアンは5Iか6Iからというのが、一般アマチュア男性の基本的なクラブセッティングだろう。その間を埋めるのがUTになるが、同じロフトでもFWやアイアンとは、ボールの飛び方が違う。

永井 いちばん高さが出て、スピン量も多いのがFWですね。UTは弾道がもっとも低く、ややライナー系の弾道になりました。アイアンはその中間といった感じ。ボールが上がって、スピンが多いほうが、グリーンでは止まりますが、風の影響を受けやすくなる。

画像: FWとUTとアイアンで球筋はどう違う?

【23度 FWの特徴】
長いので振りにくくなりますが、投影面積が大きくて安心感があり、ボールを上げやすいのが最大の利点。スピン量が多いのでグリーンにボールを止めやすくなります。

【23度 UTの特徴】
アイアンより長く、FWより短いのがUT。FWよりも弾道を低く抑えられるので、目標に対してラインを出しやすいのが特徴。キャリーとランで距離を稼げます。

【23度 IRONの特徴】
シャフトがいちばん短く、ヘッドが小さいのが特徴です。短いので振りやすさはありますが、このロフトだと必要な高さを出すには、ヘッドスピードが必要です。

永井 UTは高く上がりすぎないので、ラインを出してコントロールしやすいのが利点。170〜200ヤードを打つクラブに何を求めるのか。UTにはFW型とアイアン型もあるので、スタイルに合わせて選ぶのも方法のひとつです。

画像: 永井プロに同じロフトの3タイプを打ち比べてもらい、弾道計測器でデータを測定。「ヘッドスピードが速くない人だと、UTよりもアイアンのほうが弾道が低くなります

永井プロに同じロフトの3タイプを打ち比べてもらい、弾道計測器でデータを測定。「ヘッドスピードが速くない人だと、UTよりもアイアンのほうが弾道が低くなります

セッティングに同ロフトを2本入れてもいいと思う

永井 170~200ヤードの距離を打つUTは、飛距離を稼ぐだけでなく、状況によってはグリーンに止めることも求められます。たとえば、同じロフトで球を上げやすいフェアウェイウッドと、弾道を抑えてコントロールできるUTの2本をセッティングに入れることで、いろいろな状況に対応することができます。コース攻略の幅が広がりますよ。

画像: セッティングに同ロフトを2本入れてもいいと思う

UTを極める②女子プロに打ち方を学ぶに続く

TEXT/Toshiyuki Funayama、PHOTO/Shinji Osawa、Yasuo Masuda

週刊GD2019年10月1日号より

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