【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【陳清波】
昭和6年生まれの88歳。ワールドカップ11回連続、マスターズ6回連続出場など60年代に大活躍。「陳清波のモダンゴルフ」で多くの陳清波ファンを生み出し、日本のゴルフ界をリードしてきたレジェンド
前回のお話し
ダウンブローではない、本当は「ダウン&ブロー」だ
陳清波 ダウンスウィングで左にスライドすると、スタンスの真ん中にあったボールが、右寄りにあったのと同じことになってしまう。
陳清波 (だから)ブローを身につけないといけない。ダウンスウィングの途中から、左手を体に引きつけます。すると腰のキレも手伝ってフェースが回り、ボールがフェースに乗ったいいショットになるんだね。
しかし実は、本人はこの動きをあまり語らない。
陳清波 バックスウィングで右ひじを曲げればフェースは開くんだ。それを閉じていく動きが必要だけど、それは、実際に球を打ってとらえ方(ダウン&ブロー)を学んでほしい。
ベン・ホーガンの躍動感に目を奪われた
そんな語りになるのは、自身がベン・ホーガンを間近に見てスウィング作りをした経験に基づいている。最初にハッとしたのは、ダウンスウィングで目標方向に動く様だった。
右に腰を動かしてバックスウィング、左に腰を動かしてインパクト。ベン・ホーガンの流儀を採り入れた陳清波は「右足の外側に体重がかかっていいんですよ」と言う。
「右足の内側で受け止めて……」と躍起になるアマチュアゴルファーには驚きのアドバイスでは…。
陳清波 その場で打てと教わったが、世界のトッププロ、ベン・ホーガンを見て、動いて打つべきと知ったんだ。同様の鋭い球を打ちたいと思い、短いアイアンで練習をしました。
だからこそ下の写真のように、手が体に引きつけられたインパクト姿に収まる。
熱心な方なら、陳プロの「フェースを返す」という表現を聞いたことがあるだろう。それは(切り返しの)右肩から(フォロースルーの)左肩までのヘッド軌道全体で行われている。
実際、陳清波は、「(切り返しからフォロースルーまで)その全部がインパクト」と語る、深すぎる感性の持ち主である。下の写真のようなシャフトのブレが、その最初のアクションだ。
陳清波 ベン・ホーガンのインパクトは速かった。手首のスナップの強さで一気に行く。球がフェースにくっついて、フォローで飛び出していくようでした。
手を体に引きつけながら、手首のスナップで球を一気に行く
「ベン・ホーガンを見て、動いて打つべきと知った。短いアイアンで練習をしました」。その中で、陳清波はホーガンに通じるハンドワークを覚えた。だからこそ上の写真のように、手が体に引きつけられたインパクト姿に収まる。
ホーガンは、今も世界の教科書。ボディターン発想なども、アレンジでしかない、と話す。
大胆フットワーク+このハンドワーク(森守洋プロ)
ダウンスウィングからインパクトにかけての手の動きは、非常に大事。一種、手繰りこむように引きつけていますね。ジョーダン・スピースなどほぼ同じ動きで、彼が左ひじを引くのは、この手繰りこみをしやすかったからとも考えられます。
ツアープロは無意識にこの動きを使っています。アマチュアが知らない技術ですね。
たまに不調の選手を見ると、ていねいに“フェースを真っ直ぐ”使おうとしすぎるあまり、この動作が消えていることがある。球を打って覚えなさいという陳プロの意見は、まさに的を射た話です。あのフットワークとハンドワーク、本当に凄い。
20年前に初めてお目にかかったとき、これが糸を引くように飛ぶってやつ? これが世界の技術なのか? と、震えるような感動を覚えました。まさに球を操る技術なのだと思います。
森守洋プロ
高校でゴルフを始め、1995年に渡米、サンディエゴで4年間ゴルフを学ぶ。帰国後、陳清波プロと出会い、陳先生のゴルフに感銘を受ける。2002年よりレッスン活動を開始、現在は複数のツアープロのコーチを務める。
1960年代、陳清波は「極東のベン・ホーガン」と称され、世界レベルのボールストライカーとして認められた。
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月刊GD2020年1月号より