空力と寛容性を考えたヘッド
今日のドライバーは「大きな慣性モーメントに速いボール初速、それに…」と、基本性能から多くのことが求められている。
しかし、ルールで決められた大きさの中ですべてをやるのは、設計上かなり難しい。寛容性を持たせるために重心の位置を深くすればスピン量が増えてしまうし、スウィング中の抵抗が大きいからと、空力に特化してしまうと、重心のバランスは崩れる。
ヘッド内部であちらを立てれば、こちらが立たない状況が起きてしまう。
「SIM」とは「Shape In Motion」の略。
こだわり抜いたヘッド形状がいまのドライバーにおけるこの悩ましい問題を解決している。
ソールの後方を張り出させ、そこに重心を配した新しい「イナーシャジェネレーター」は、重量を最後方に集中させて最適角度に傾けたことで、寛容性をキープしたまま空力性能が向上。
ハーフウェイダウンからインパクトまでヘッドが減速することなくインパクトを迎えられるようになった。ヘッドスピードがそのままボールに伝わり、いままでより初速が上がり飛ぶ仕組み。
可変ウェート付き「SIM」、可変ナシ「SIM MAX」の2モデル
それぞれのモデルを見てみると、弾道調整の有無から、
M5→SIM
M6→SIM MAX
だと言えるだろう。
SIM
M5の後継モデルとなる「SIM」は、ソールトウ側にはカーボン、ヒール側にチタンを採用。そしてウェートはトウ側とヒール側にスライドするだけに変更され、弾道調整と自分に合わせるカスタマイズがとてもシンプルになった。
SIM MAX
M6の後継モデルとなる「SIM MAX」は、マルチマテリアル構造と新しいイナーシャジェネレーターで、よりやさしく遠くまで飛ばせるヘッドに仕上がった。ヘッド形状もプロ、上級者が好む形に生まれ変わった。
純正シャフトで初めて「TENSEI」を装着
従来モデルの機能も、もちろん装備
ボール初速を上げる
「貫通型スピードポケット」と「スピードインジェクション」
有効打点エリアのボール初速を向上させる構造に加え、いったんルール適合外の反発を持つフェースを作り、最終的にルール適合に調整するというスピードインジェクションももちろん搭載。
方向性を安定させる
ツイストフェース
計算されたわずかなフェースのねじれにより、トウの上側やヒールの下側に打点を外した場合でもボールが曲がりにくく、フェアウェイにボールが残ってくれる。
2020年は「SIM」の年になる?
テストした「みんなのゴルフダイジェスト」の中村修プロは言う。「新しい『イナーシャジェネレーター』によってヘッドスピードの向上と、高慣性モーメントによる寛容性と低深重心という相反する要素を実現。さらにこれまでも定評のある『ツイストフェース』で方向性を、『スピードインジェクション』でボール初速向上が可能になります。3つの相乗効果で大きく進化したドライバーになりました」
みんなのゴルフダイジェスト
中村修プロの試打動画はこちら
その性能の高さは、2020年のアメリカPGAツアー初戦となった「セントリートーナメント オブ チャンピオンズ」でダスティン・ジョンソンをはじめ、テーラーメイドの契約選手の手に「SIM」、「SIM MAX」が握られていたことでもわかるだろう。
2020年もテーラーメイドがドライバーブームの先頭を走っていくことに間違いなさそうだ。
週刊ゴルフダイジェスト2020年1月28日号より
歴代 名器のヘッドデータが比較できる、テーラーメイド ドライバー図鑑はこちら
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