【ライン出しの打点位置】
「下から2本目」で打っています!
GD ピンまで120㍎、プロみたいにカッコいいライン出しショットについて教えてください。
小林 ライン出しショットを打つ際に、大切なのは打点位置です。僕はライン出しショットで低い球を打ちたいので、スコアラインの下から2本目で打つ感覚をもっています。ちなみにフルショットの場合は、スコアラインの下から4~5本目に当たる感覚です。
低い球を打つときは下から2本目
フルショットは下から4~5本目
GD わずかな差に感じますが、どう変わるのですか?
小林 一番の違いは球の高さで、フルショットに比べてボールの高さが半分くらい低くなります。低くて強い球が打てるというわけです。また、下から2本目に当てようとすると、自然と入射角が鋭角になります。そのため、スピン量が多くなり低い球でも止まりやすくなります。
GD なるほど。プロはどのようなときに使うことが多いですか?
小林 風が強いときや、どうしても曲げたくないときですね。ただ、振り幅がややコンパクトになるため、当然飛距離は落ちます。そのため、クラブはひとつ大きい番手を持ってください。
ライン出しショットのアドレス
小林 ボールは一個ぶん右足寄りに置きますが、手の位置は変えないので、通常のショットよりも少しだけハンドファーストになります。さらに、体重を左に乗せやすくするために左つま先を少し開きます。まずはこのアドレスを作りましょう!
【ポイント①】ややハンドファースト
【ポイント②】指2本ぶん短く握る
【ポイント③】左つま先を少し開く
【ポイント④】真ん中より1個ぶん右に置く
【使いどき①】風が強いとき
「球が低くなるぶん、強い球になるのでアゲンストなどでも風の影響を受けずに飛んでくれます」
【使いどき②】グリーン両サイドにハザードがあるとき
「振り幅が小さくなり、球のコントロールもしやすいので、グリーン両サイドにハザードがあるときにも有効です」
ライン出しショット
ダウンスウィングは左小指から
小林 スコアラインの下から2本目に当てる、というのは簡単に言えば"上から打つ”ということです。まずは上から打つ方法を教えましょう。
GD ちょっと待ってください。上から打つと、スピン量は増えませんか?
小林 もちろん打点位置が高ければ、スピン量が増えて球が吹き上がってしまいます。ですが、スコアラインの下から2本目で打っているので球が低くなりスピン量が抑えられます。上から打つことで適正なスピン量になるんです。
GD なるほど。では、どうしたら上から打てるようになりますか?
小林 ダウンスウィングで左手の小指から下ろすイメージで振りましょう。すると、手首の角度が変わりにくいので、ハンドファーストでインパクトを迎えられるんです。ライン出しでは、リリースが早くなりヘッドが手元を追い越す動きは絶対にNG。すくい打ちや引っかけの原因になります。
【ライン出しショット①】
左手小指が下を向く
ダウンで左手の小指側からに下ろしてこれると、手首の角度がキープしやすくなり、ハンドファーストでインパクトできる。リリースが早くなると、小指側から下りず入射角がゆるやかになってしまう。
【ライン出しショット②】
ダウンで左に体重を乗せる
切り返しで左足に体重を乗せることで、上から入りやすい形ができる。右足に体重が残ったままだと、すくい打ちになり低く強い球は打てない。左足つま先を少し開いてアドレスしているため、左足に体重を乗せやすい。極端に左に体重を乗せて、突っ込むくらいの気持ちで。
【ライン出しショット③】
軌道のイメージはアウトサイドイン
アウトサイドインの軌道イメージを持つと、クラブが上から入りやすくなる。ライン出しは球が低くなるが、カット軌道に近づくことでスピン量が増えて球が止まりやすくなる。
【小林プロのライン出し】体重が左に乗るから上から打ち込める!
注意 ヘッドが手元を追い越すのはNG
ヘッドが手元を追い越すのは、手首の角度がほどけフェースが返っている証拠。ハンドファーストをキープした状態でインパクトをむかえたい。アウトサイドイン軌道でフェースが返ると、引っかけのミスが出る。
【ライン出しショット】
フォローで左わきを開ける
GD ライン出しはフォローの形が特徴的だと思うのですが、あれにはどういう意図があるのでしょうか?
小林 フルショットのときのようにフェースターンをしないのがライン出しの特徴です。そのために、左わきを開けたままフォローをとることが大事です。左わきを開けると、ピン方向に真っすぐフェースを出していけるんです。
GD 左わきを開けておくことで、手首の返りが抑えられるんですね。
小林 もうひとつ、左手の甲の向きも注意してください。とにかく、フェースはフィニッシュまで返さないという意識が大切です。インパクト以降、左手の甲が空を向くように振ってください。そうすることで、フェースがスクェアのままインパクトしやすくなります。
【ライン出しショットのフォロー①】
左わきは開いたまま
左わきを開けたまま動かすことで、フェースがピン方向に真っすぐ動かしやすくなる。手首のローテーションが抑えられるので、引っかけのミスが減る。
【ライン出しショットのフォロー②】
左手の甲を空に向ける
フォローで左手の甲を空に向けたまま動かすことで、フェース面の向きがキープできる。この意識を持つことで、インパクトでも手首を返す動きが抑えられるので、スクェアにボールとらえられる。
【ライン出しショットのフォロー③】
上半身と下半身を同時に回転
インパクト以降、腕、お腹、ひざはすべて一緒に動かす意識で振る。上と下が同調することで、ピンに真っすぐフェースを向けていける。下半身が止まると、腕だけのスウィングになり手首が返りやすくなる。
【ドリル】その場で「ボール放り投げ」
ライン出しのアドレスを作り、そこからボールを飛ばす。真っすぐ飛べば、フォローでフェースが返らずに、ピンに向かって出せている証拠。手首を返してボールを飛ばそうとすると、左に飛ぶ。
【ライン出しショット】
最後に右手を“ひと押し”で完成
小林 ライン出しショットは、フルショットのときよりも、押し込む意識が大切なんです。僕は右手のひらをピンに向かって押すイメージです。
GD 押すとどんなメリットがあるのですか?
小林 ライン出しは、振り幅がコンパクトになるぶん、飛距離が落ち、同時に球の勢いも落ちてしまいます。押す意識を持つとスウィングスピードが速くなり、コンパクトなスウィングでも強い球が打てるんです。また、右手のひらをピンに向けて押すことで手首が返りにくくなり、フェースをスクェアに保つことにもつながりますよ。
【右手のひらで押せると①】
スウィングスピードが加速する*
ライン出しショットは、振り幅が小さくなるぶん飛距離が落ち、勢いも弱まる。押す意識があると、スウィングスピードが速くなり、ボールにパワーを伝えられるので強い球になる。
【右手のひらで押せると②】
左手甲がピンを向く
左手の甲がピン方向を向くため、フォローで真っすぐフェースが出しやすくなる。
PHOTO/Hiroaki Arihara
週刊GD2020年3月31日号より
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