免疫を高めたい? 体力をキープしたい?
すべてはバランスです(千枝子さん)
植杉乾蔵(けんぞう)&千枝子夫妻
熊本県在住。千枝子夫人は元看護師で健康講座の講師も務めるなど地域医療に貢献。健康維持のための「リハビリゴルフ」を推進するおしどり夫婦
日本中が自粛ムードに包まれ、ストレスがたまっている人、不安感を覚えている人も多いだろう。しかし、こんなときだからこそ“おうち時間”を楽しむチャンスとも考えられる。
まずは、病気にかかりにくくするための免疫アップ法を知りたいが……。
「これを食べれば、一気に免疫アップなんて食べ物はありませんよ」と千枝子さん。「何事もバランス。食事、睡眠、運動を3つの柱と考えて、どれも大切に。でもとくに大切なのが食事かもしれませんね」。
3つのバランスを大切に!
①食事
「これさえ食べれば大丈夫」はないが、日本人はタンパク質が不足しがち。意識して摂るようにしたい。
②睡眠
時間より質を重視。就寝1時間前にホットミルクを飲み、マスクを着用することで乾燥やホコリからのどを守る。
③運動
特別なことより、家事などで体を動かす習慣を。姿勢をシャキッとし、お腹をひっこめるだけでも運動になる
具体的には「日本人の食事のデータを見ると、タンパク質が不足しがちなので、意識的に摂る必要があると思います。タンパク質は筋肉を作るのに欠かせない栄養素。筋力が低下する私たち高齢者こそ、むしろ多く摂る必要があるのです」。
もちろん、タンパク質は肉だけでなく、魚や豆でも摂れるので、そちらもバランスよく。
積極的なタンパク質摂取のほかに気を使っていることとして
「糖分の摂り方と量は注意しています。わが家では、甘味料としてはハチミツを使っていますが、栄養成分は白砂糖より多いんです。ハチミツといえばパンに塗るイメージでしょうが、それだけでなく砂糖漬けや煮物といったまろやかさや照りを出す料理で活躍しますよ」。
植杉家では、ハチミツのなかでも「ミカン蜜」を愛用。味や香り、舌触りが抜群という。
「ラウンド時に常備するレモンのハチミツ漬け作りにもミカン蜜が活躍。ショウガ湯、レモン湯、紅茶に加えたりで、年間8キロほど消費するので皆さんに驚かれてしまいます(笑)」。
しかし、もともと「家事が苦手」と公言し「得意なのは手抜き料理。おいしいものは外食で」と言う千枝子さん。手の込んだ難しいメニューを作るのではなく“ちょっとの工夫”がキモだ。
「便利なのはミキサーですね。イリコをミキサーで顆粒状にしてみそ汁や鍋物に投入。これが出汁になります。噛みにくい海藻は、たとえば乾燥わかめを顆粒状にしてふりかけにしたり。これでカルシウムやビタミン、ミネラルが摂取できます」。
また「魚の干物を焼かずに素揚げすると、香ばしくておいしいし、1尾まるごと食べられてカルシウムがたっぷり摂れますよ。揚げると、においが出ないのもいいところ(笑)」。
さらに「季節の果物をおすそ分けでもらって余らせてしまうこと、ありませんか?そんなとき、うちではミキサーでペースト状にし小分け冷凍で保存するんです。そのままシャーベットとして食べてもいいし、ヨーグルトのトッピングにも。天然の甘みがあるから、ジャムのようにたっぷり砂糖を使わずにすみます」と、アイデアいっぱい。
とくに高齢者の食事は「量より質」。難しいワザよりもちょっとの工夫だ。千枝子さん直伝の“超絶簡単メニュー”を最後に紹介するのでぜひ参考に。
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食事・睡眠・運動習慣
日常生活を工夫すれば十分です(千枝子さん)
食生活のほか、運動、睡眠での工夫も聞いてみた。「まず、特別なことをしようと思わないこと」と千枝子さん。自粛生活で「ジムに通えない」「プールで泳げない」などと嘆くなかれ、日常生活はぜんぶ“運動”だ。
「掃除をしたり洗濯をしたりも全部運動ですし、そう思うとやる気も出ますよね」。外に出られないのなら「テレビを見ながらその場歩きでもいいんです。そのときは腕を曲げて大きく振り、ひざもなるべく上げる。あと、板の間より畳の部屋でやったほうがひざへの負担が少ないですよ」。
ただ、部屋でできる運動として、千枝子さんは「階段の上り下りはおすすめしません。ひざへの負担になって高齢者には危険です」と注意も。
また常々、千枝子さんが言うのが「体重落とすな、サイズ落とせ」。
これは食事を減らして体重を落とすのではなく、筋肉を増やしてスタイルアップしようということ。ならば腹筋運動でポッコリお腹を解消……と思いきや
「腹筋運動で腰を痛める高齢者は多いんです。だったら、お腹に力を入れるだけでもOK。水着を着ているときは、お腹をひっこめるでしょう。あの感じを、たとえばこの電話の間だけとか、トイレの行き帰りだけとか、短時間でもいいので、1日何回もやるんです」。
それならできそう!また、歩く際は大股をポイントに。
「ダラダラ歩きよりも大股でスッスッと速歩で」。そのほうが見た目もかっこいい!睡眠については、食と同じく「質」を重視。そのために、就寝1時間前のホットミルクが乾蔵さんの習慣。これがカルシウム補給と精神の安定につながるという。
また、寝る際はマスクをつける。「寝るときに口が開くと、のどが乾燥して風邪をひきやすくなることも……」。マスクは年中必需品だ
面倒くさがり屋記者がトライ!
千枝子さん直伝、包丁不要メニュー
最後に、ズボラを自認する記者が千枝子さん直伝の「包丁を使わないでできるメニュー」に挑戦ルポだ。
下の「即席スタミナみそ汁」と「納豆・あおさサンド」がそれ。
まず、みそ汁はお椀に直接具を入れ、熱湯を注ぐだけの即席スタイル。出汁をとらなくていいのが助かる。しかも、卵とかつお節、みそで、タンパク質がしっかり摂れる。
スタミナ即席みそ汁の作り方
汁椀などに卵、削りがつお、みそを入れて混ぜ、熱湯をそそぎ、かき混ぜる。好みで刻みネギ、しょうがなどを加えても。
「卵は半熟がいちばん消化にいいの」と千枝子さん。
ほどよい半熟にするため、卵は冷蔵庫から室温に戻し、湯で少し温めておくのがベターだが、ズボラ記者は最初から半熟の卵を購入した。
煮込まないのでみその風味があり、卵がまろやかでおいしい。そして、包丁不要はもちろん、鍋を洗わなくてすむのがいい!
次にサンドだが、記者は納豆のにおいが大の苦手。しかし、このサンドはあおさの香りでまったく気にならない。
納豆・あおさサンドの作り方
水で戻しておいたおあさを納豆パックに入れ、付属のたれを入れて混ぜ、パンにのせる。パンは焼いても焼かなくてもお好みで。あおさは納豆が緑色になるくらいたっぷり入れる。
あおさは、少し多すぎるかな?くらいでOK。納豆でタンパク質、あおさでビタミンをしっかり摂取。そして何より、おいしい。
人生で初めて納豆をちゃんと食べた記念日となった。
結論、料理のウデや特別な食材はなくても栄養は摂れる。ぜひチャレンジしてみて。
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週刊ゴルフダイジェスト2020年5月26日号より
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