ピッチ&ランの
苦手になった理由
ベテランほど多い!ピッチ&ランの落とし穴!
「キャリーとランが1 対1 になる落とし所を見つけ、そこに落せば寄る」というのは正しいが、落とし所までキャリーさせる意識が強すぎるとミスを招く。
思い当たる人は要注意!
原因はだいたいコレ
「キャリー重視」がスウィングをゆるませる!
「あそこに落とす」というキャリーの意識が過剰になると、球を上げて運ぼうとか、ちゃんと当てなければという意識が生じやすい。
✖当てにいく
落とし所まで運ぶためにちゃんと当てなければという意識が働くと、手打ちになってゆるんだり距離感が狂いやすい
✖上げにいく
球を上げて落とし所まで運ぼうと思うとインパクトでロフトを増やそうとしてダフったり球が浮きすぎてショートしやすい。
【考え方】
ピッチ&ランはランから考える
―― ピッチ&ランのアプローチはゴルフの基本だが、いつのころからか距離感が合わなくなったりミスが出たりして、苦手意識が生じているベテランゴルファーも少なくない。数多くのラウンドレッスンでアマチュアの実情を間近で見てきた小野寺誠プロは、知識が増えたがゆえの「考えすぎ」が基本を忘れさせているのではないかと指摘する。
小野寺 ピッチ&ランが苦手になったという人は、落とし所ばかり意識して転がすほうを疎かにしている傾向があります。たしかに落とし所を明確にイメージすることは大事ですが、落とし所ばかり気にすると当てにいったり球を上げる動きが強くなり、動きのスムーズさが損なわれやすいんです。
―― 小野寺プロは、ピッチ&ランを「キャリーさせた先から転がる」のではなく「転がして寄せる過程で球が浮く」というように、ランを出発点に考えることが大事だと話す。
小野寺 キャリー部分も、球を上に浮かす必要はありません。PWで低く出し、落ちてからランで寄るイメージを明確にするとミスは減りますよ。
【基本中の基本】キャリーとランが1対1、15Yのピッチ&ラン
普段より2番手UP!
PW以上で“転がしの延長”で狙おう!
ピッチ&ランは、ボールを上でなく前に運ぶ感覚が大事。普段のアプローチより2番手上のクラブを使えば「上げよう」という意識は消える
【アドレス~打ち方】
右手のグリップは“小指と薬指”で握る!
―― ピッチ&ランはキャリーよりランの意識を強く持って打つことが大事だというが、打ち方は具体的にどうすればいいのだろうか。
小野寺 手首を使って球を上げにいく動きを排除し、右手首の角度を保ってハンドファーストにボールをとらえることがいちばん大事です。手首の動きや体重移動を使わずに、左肩を支点としたシンプルな振り子スウィングでボールを横からとらえましょう。
―― ハンドファーストに打つためには、アドレス時の右肩、手元、クラブヘッドでできる三角形の面積を保ったままスウィングすることがカギ。
小野寺 右手のグリップは小指と薬指主体で握りましょう。右手小指の付け根付近でグリップを横から押すイメージです。右親指や人差し指が主体になると手首がグラつきハンドファーストが崩れやすいので注意してください。
ピッチ&ランの構え
ボールの近くに立って左足体重をキープ
左足体重で立ちボールが右足かかとの前。するとヘッドは真ん中よりも右にきてハンドファーストになる。クラブを短く持ちボールに近く立って構えよう
【打ち方】
ハンドファーストでボールを横からとらえよう
ポイント①
右肩・手元・ヘッドの三角形をキープして振る
右手首の角度をキープし、右肩と手元、ヘッドでできる三角形を崩さずに肩の動きでスウィングするとハンドファーストを保てる。
ポイント②ヘッドはボールの真後ろに引く
ボールに近く立つぶん軌道はアップライトになるので、バックスウィングではヘッドをボールの真後ろに引くイメージ。
ポイント③左肩を支点とした振り子のスウィング
スウィングの支点は左肩。左肩からクラブヘッドまでが一直線な状態をキープして振り子のイメージでスウィングしよう。
【距離感】
振り幅はパターと同じでいい
―― ミスなくピッチ&ランで寄せるには、スウィング的には球を上げないようにハンドファーストに打つことがポイントだというが、距離感はどうやって作ればいいのだろうか。
小野寺 グリーン脇から10〜20Yくらいのピッチ&ランなら、振り幅はパターと同じでいいんです。パターで打ってカラー手前の芝に喰われる感じも含めて同じくらい。これは私の場合PWですが、アイアンセットのロフト設定や入射角のクセなどで個人差はあります。ですので、PWにこだわらずパターと同じ距離感で打てるクラブを見つけてピッチ&ランの基準クラブにするほうがシンプルでしょう。
―― 距離感を揃えるポイントはアドレス時よりも若干ハンドファーストが強くなるようにインパクトすること。
小野寺 左足体重を保って体重移動せずにスウィングできれば、意図的に手元を押し込んだりせず右手首角度を保つ意識でスウィングしても、クラブの重さで生じるタメで必ずロフトは立ちます。アドレスよりわずかでもハンドファーストにインパクトできれば、ロフトや打ち出し角が安定するので距離感も揃いますよ。
100%左足体重で打つ!
ポイント①
左足&右手で素振りをする
インパクトでロフトを立てるには左足体重のままスウィングすることが重要。左足1本で立って右手1本でクラブを持って素振りをするとこの感覚がつかめる。
ポイント②
体の左サイドでクラブを扱う
左足体重で立って手元を体の中心よりも左にセットして振る感覚。手元はあまり動かさずヘッドが円を描くように動かす感覚だ。
ポイント③
右手の小指側で持ったボールを投げるイメージ
距離感は右手の小指側で持ったボールをアンダースローで投げるときのように、右手のひらを押し込んで距離感をイメージする。
ピッチ&ラン再入門ドリル
【ドリル①】フォローだけでボールを押して転がす
ハンドファーストにボールを押す感覚は、右手1本でクラブを持ちフォローだけでボールを転がす練習をすると養われる。
【ドリル②】
棒の手前に1バウンドさせてから狙う
距離感を磨くには、キャリーを抑えた練習が効果的。カラー付近に棒などを置きその手前に1バウンドさせて寄せる練習をしよう。
Photo/Hiroyuki Okazawa
月刊ゴルフダイジェスト6月号より
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