コロナ時代のマナーを守る
自分で判断、行動し、最善の策を考える
まずはお医者さんゴルファーたちに、ご自身の現状や感染防止のガイドラインを聞くと、皆さん「正 しく怖がりしっかり対策」を日々 実践、ゴルフを楽しんでいる。
「ゴルフは『 3 密(密閉・密集・ 密接)』には当たらないと思うので、 手洗い、マスク、ソーシャルディスタンスに気を付けていればそんなに神経質になる必要はない。ただ、風呂はやめたほうが無難。国民全体が抗体を持つようになるあと2、3年はコロナと共生することになるでしょう」(田中満さん・内科医・ 69歳・茨木CC・HC14 )
「ゴルフは肉体的、精神的に唯一の健康法。医者として注意するのは『3密』回避や消毒などコロナ 時代のマナーを守ること。インフルエンザと同じで撲滅できない。ワクチンが完成するまで共生して いくしかないです」(宮本繁方さん・消化器内科医・70歳・千葉CC・HC9)
「感染対策の基本は『自己責任、自己防衛』。ゴルフは屋外スポーツですから自己防衛すれば安全であり、 自分の身を守るのは自己責任です。
①手でものを触ったらマメに洗う、手をアルコール消毒する
②常日頃から目、鼻、口を手で触らない習慣を身につける
③ソーシャルディスタンスを上手くとる、は徹底し たい。そして自分で判断、行動し、 ダメなら最善の策を考え直す。ゴルフに通じます」(斎藤信一郎さん・眼科医・49 歳・日光CC・ HC0)
最近、ゴルファーのために1つ のガイドラインを書面化した日本ゴルフ協会・山中博史専務理事はこう語る。
「R&Aなどが指針を出してきましたが、実際にどういうローカルルールを作ったらいいのか、各ゴルフ場の競技委員や支配人、競技団体、小さな競技の主催者などから質問が多く、やはりローカルルールの文言の参考例を具体的に示そうと。またこれを出した5月18日は(全国的)規制緩和が近づいており、月例など競技を再開したいという加盟倶楽部も増えてくるだろう、そろそろ時期かと考えました。もっと早く出す案もありましたが、自粛要請があるなかで競技再開を促すような誤解を生じる心配があり、このタイミングになりました」
競技ゴルファーでなくとも、一 度目を通しておきたいものだ。
「皆さんのゴルフがいわゆるレクリエーションなのか、あるいは競技なのかで適用の仕方も変わる。今回出した『規則修正の指針』はあくまで1つの指針。ガチガチの競技であればやはり、ホールアウトや旗竿の扱い方などは従来の規則に基づくことになるでしょう」
スループレー・2サム・マッチプレー
スタイル、変えてみてもいいんじゃない?
ゴルフ場コンサルタントの菊地英樹氏(エナジー代表)によると、 コロナ禍での客足は、均すと半分くらいになったという。
「途中クローズして7割減になっているところも。入場者だけでなく客単価の減少はレストランを閉 めたりセルフプレーのみで営業し ているのが理由。ただゴルフ場は頑張ってしっかり対策をとって営業している業種の1つだと思います。自粛要請の対象でもなく、クラスターも出ていませんから」
この状況下、前年並みかそれ以上集客があるコースもあるという。
「すぐに対策を取りづらい高級コ ースや、自粛ムードが強い都心のお客さんが多いコースは厳しい。対してこれでもかという対策をとっているコースほどお客さんは入っています。いち早くスループレー にしてクラブハウスを使わせない など。やはり安心できますよね」
もちろん客単価は下がっているが、これも含めて、以前より菊地氏が警告している「2020年問題」をコロナ騒動が加速させると話す。
「団塊世代の全員が後期高齢者世代に入る25年に向かいマーケット規模が縮小する。来場者が減るといろいろなことが変わってきます。 稼働率が下がるとゴルファーは自由にプレーできる欧米スタイルにどんどん近づいていくんです」
「2サムプレーやスループレーの増加、割増料金もなし。キャディ不足もありセルフ化が進み、スル ープレーが増えるとレストランもカジュアル化していく。『おひとり様ゴルフ』はネット上の企画で組み合わせをして行っていますし。オンライン予約や事前決済も増える でしょうし、グリーン上だけにいる“パターキャディ”なども出てくるかもしれません」
これって、今コースが行っているコロナ対策なのでは?
「はい。コロナ対策が省力化運営の極みになっているともいえます。 環境の変化にシンプルに合わせない限りゴルフ場は生き残れない。ダ ーウィンの進化論と一緒です。でもこの状況はゴルファーにとっても、シンプルにゴルフを楽しむ観点からみれば明らかに進化です。プレー回数も増やせますし。私は以前よりスループレー推進派ですが、 今の状況はよいきっかけになるはず。ゴルフのいろいろな楽しみ方をゴルファーが知るのは長い目で見ればゴルフ場にもよいことです。ちなみに今、ド ライブスルーチェックインやHP表彰式など、これからの安全安心なコンペスタイルを提案する冊子 を準備しています。どんな状況も楽しむことですよね」
記者も先日、近所のコースに夫婦で早朝スループレーに出かけた。爽やかな空気のなか、3時間程度 でサクッと終了。テレワークであればなお、そこから家で仕事もできる。マッチプレーもやってみると緊張感が増して面白い。
前出、JGAの山中氏は語る。
「私自身は、コロナ禍で一番大切なのは人にうつさないことだと思います。熱っぽいなど感染を疑う症状があれば出かけないのがマナ ー、エチケット。ゴルフは『人に迷惑をかけない』『人に配慮すること』が第一原則。守れない人はゴルフしてはいけないというのが規則集の最初にも書いてある。ルー ルよりも大切なものですよね。そして、人にうつさない観点からも マッチプレーを(HPで)紹介しています。マッチプレーは基本1対1ですが、2対2でもできる。ホ ールアウトしなくてもいいしプレ ーも早くなる。それだけで感染のリスクは低くなります。日本ではストロークプレーしか知らない人が多いので、マッチプレーやステーブルフォード、フォアサムなどいろいろなゴルフの楽しみ方を知ってほしい。こういうときだからこそ新たな楽しみ方を訴求するのは我々の役割の1つでもあると思います。USGAではフォアボー ル選手権も行っていますし、ことあるごとにご提案はしていきたいですね」
ボクらの"レクリエーションゴルフ"にも使いたい「ルールの指針」
●スタート/スタート地点(ティーイングエリア)にはスタートする組だけが集まるようにプレーヤーに要請する
●バンカーレーキ等/「バンカーレーキの代わりとして足やクラブを使用してならすことができる(バンカーに関するすべての他の規則は修正されず適用される)」(バンカーが常時荒れた状態となり、影響を及ぼすと考 えた場合は「プリファードライ」の規則も適用可)、「コース上のすべての 人工物は動かせない障害物とする」
●ホールアウトする/「ホールから30cm以内に止まった球は次のストロークでホールに入ったものとみなす」
●行動規範「新型コロナウイルス感染症対策のための要請」/・倶楽部ハウス内での予防対策事項の順守・ラウンド中、旗竿に触れることの禁止・ラ ウンド中、可能な限りソーシャルディスタンス(約2m)を保つこと・ラ ウンド中、大きな声を出す等、感染する可能性のある行動をしないこと・ 体調不良を少しでも感じたら、コース上のすべての人のために競技を棄権し、倶楽部担当者に申し出ること・ウイルス感染の状況は常に変化することを理解し、その他委員会の要請には随時従うこと
*JGA「新型コロナウイルス感染症予防対策としてのゴルフ規則修正の指針」(5月28日現在)より一部抜粋
週刊ゴルフダイジェスト2020年6月16日号より
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