6月16日で50歳を迎えるフィル・ミケルソン。30年近くツアーの第一線で活躍しているレジェンド
の、ゴルフ人生と変わらぬスウィングを、大のミケルソン好きを公言するプロゴルファー、永井延
宏が解説する。

フィル・ミケルソン
1970 年6 月16 日生まれ。アメリカ出身。アリゾナ州立大学時代の1991年にプロの試合、ノーザンテレコムで優勝を果たす。翌年プロ転向、ツアー44勝を挙げている“最強のレフティ”。メジャーはマスターズが3回(04年、06年、10年)全米プロが1回(05年)、全英オープンが1回(13年)の計5勝

波乱万丈のゴルフ人生を振り返る

アマチュアでプロの試合に勝ち、鳴物入りでプロの世界へ。しかし、メジャー優勝に届かない日々……。そんな、ミケルソンのゴルフ人生は波乱万丈に満ちている!

【ミケルソンのゴルフ人生①】

「1歳の頃からクラブを握る」

父親のスウィングを鏡のようにしてゴルフを覚えたため、右利きだが左打ちになったのは有名な話。生後18カ月でクラブを握った。インタビューで「1歳を過ぎたころ、ゴルフ好きな父親が自宅の裏庭にピッチショットとバンカーショットのできる練習グリーンを作った。そこで遊んでいたよ」と回顧。ミケルソンの華麗なアプロ−チは1歳のころから磨かれている。

画像1: 【フィル・ミケルソン】30年間ずっと全盛期。そしてまもなく50歳の“変えない”強さとは

【ミケルソンのゴルフ人生②】

「アマチュア時代にプロの試合で優勝」

1990 年、アリゾナ州立大学時代に全米アマ優勝、さらに翌年、米ツアーノーザンテレコムでアマチュア優勝を果たす。米ゴルフ界のスーパースター候補として騒がれ、92年にプロ転向。プロ初
優勝は93年のビュイック招待。

画像: 89 年の日米大学対抗戦で来日後、90 年代前半には日本ツアーにも出場。写真は93年カシオワールドオープン

89 年の日米大学対抗戦で来日後、90 年代前半には日本ツアーにも出場。写真は93年カシオワールドオープン

【ミケルソンのゴルフ人生③】

「全米オープンシルバーコレクター」

現在まで過去6度、全米オープンで2位(99 年、02 年、04 年、06 年、09 年、13年)。他のメジャーは制しているが、いまだに全米オープンだけ優勝がない。今では、全米オープンの時期になると「ミケルソングランドスラムなるか?」と必ず取り上げられるようになっている。

画像: 99 年の全米オープンでは、いまは亡きペイン・スチュワートと死闘を演じたが優勝には届かなかった

99 年の全米オープンでは、いまは亡きペイン・スチュワートと死闘を演じたが優勝には届かなかった

【ミケルソンのゴルフ人生④】

「初メジャー制覇はマスターズ」

プロ入りから12年後の04年のマスターズ。それまで米ツアーで20勝以上を挙げ、生涯シードも獲得していながらメジャーには縁がなかった。そんなミケルソンの姿をファンは“無冠のグッドプレーヤー” と批判するようになっていたが、この優勝で“無冠” の2文字を返上した

画像: 前年優勝のマイク・ウィアーからグリーンジャケットを受け取る。レフティからレフティのグリージャケット受け渡しとなり、オーガスタは左打ちが有利とされる“レフティ神話”が生まれた

前年優勝のマイク・ウィアーからグリーンジャケットを受け取る。レフティからレフティのグリージャケット受け渡しとなり、オーガスタは左打ちが有利とされる“レフティ神話”が生まれた

【ミケルソンのゴルフ人生④】

“二刀流” でマスターズ2勝目

06年のマスターズで2勝目を挙げた。そのとき、ドロー用、フェード用のドライバーを入れてオーガスタを攻略。「7番、10番、13番といったコントロールが必要なところではフェードで攻め、距離が必要なところではドロー系のボールが出るドライバーを使う」と話した

画像: 2本の1wで戦った

2本の1wで戦った

【ミケルソンのゴルフ人生⑥】

家族のためにメジャー欠場

17年の全米オープンを欠場したミケルソン。理由は、娘アマンダさんの高校の卒業式に出席するため。キャリアグランドスラムがかかった全米オープンよりも、娘の晴れ舞台を優先する家族愛あふれるプレーヤー

画像2: 【フィル・ミケルソン】30年間ずっと全盛期。そしてまもなく50歳の“変えない”強さとは

【ミケルソンのゴルフ人生⑥】

世界ランク1位になったことがない

ツアー通算44勝(うちメジャー5勝)を挙げているにもかかわらず、世界ランク1位に立ったことがない。それは同じ時代にタイガー・ウッズがいたことが大きく影響している。それでも、93年から昨年まで(1353週)、世界ランク50位以内をキープしていた鉄人

画像3: 【フィル・ミケルソン】30年間ずっと全盛期。そしてまもなく50歳の“変えない”強さとは

大型ヘッドも
苦にしない

今も昔もこれほどまでにスウィングが変わらない選手は珍しいです。そのなかでも一番の特徴は、やはり「フェースローテーションを積極的に使い、ヘッドを走らせて飛ばす」ところでしょう。

ローテーションを抑え、体の回転で打つスウィングが主流のなか、このように打てるのは、リストワークが超人的に上手いからです。

2004年34歳

彼のようなタイプのスウィングは、ダウンでグリップエンドがボールを指して下りてきます。すると、やや上からクラブが下りてくるので、フェースは開く方向に力が働きます。重心距離が長い今の
クラブでは、それを戻すことはなかなか難しい。

2019年49歳

しかし、ミケルソンはリストが強く、スクェアに戻す能力に長けているため、今のクラブでも対応できるのです。

この“球さばき”の上手さは、幼少期からウェッジでいろんな球を打って遊んでいたということとも関係しているはずです。クラブを自分の腕のように扱う、それはたとえクラブが変わったとしても、ミケルソンにはまったく関係のないことなのでしょう。

週刊GD6月23日号より

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