どんな場面でも
しっかりと“左に出す”
2015年くらいの調子がいい時は、飛距離が出ることが自分の最大のメリットであって、多少球が曲がったとしても、ラフでも短い番手で打てるのだからと、気にすることも無かったし、それが自
分の持ち味だとも思っていました。
それが変わってきたのは、やっぱり、「世界」を見据えたゴルフをしようと思うようになってからだったと思います。
初めて出場した14年の全米女子オープンの会場はパインハーストだったのですが、うねりの強いグリーンに対して打つショットが、狙いから2~3㍎でもずれたらグリーンからこぼれ、次に30㍎のアプローチが残ってしまいます。
そういう経験をしてからは、いまの自分のショットでは世界では通用しない、もっと真っすぐ球を飛ばさないといけないんだと思うようになったんです。
飛んで曲がらない球を打ちたいと思うようになると、自分の持ち味だった大きなスウィングアーク
とか思い切りのよさというものがなくなっていきました。次第に小さなスウィングになってしまい、
球がすごく曲がり出すようになってしまったんです。
そうなると、ボールにちゃんと当てることとか、フェアウェイの幅の中にショットを収めることに意識がいってしまい、一連のスムーズな流れで球を打つことも出来ていない状態でした。
フェードの曲がり幅もあまりにも大きくなっていきましたし、つかまえたいので無意識に球を中に入れ、バックスウィングでクラブをインサイドに引いて、手だけでヒョイと上げて打っていたような状態でした。右にも左にも飛んでいきましたね。
2017年からキャディをしてもらっている川口淳さんが、研修生時代の仲間である中島規雅コーチに声を掛けてくれたんです。去年のアースモンダミンカップから正式にコーチについてもらい、フェードの基礎から教えていただきました。
緊張した場面でも、しっかりと球を左に出せるように練習してきたことが本番で生き、ちょうど1年後に、優勝という結果が出せたんですよ。
“アース” で注意していた
ポイントは3つ
渡邉が、中島コーチと取り組んできたポイントは3つ。1つ目は上体を突っ込まないこと。突っ込むと手が前に出てプッシュスライスが出るのでそれを抑え、ヘッドを走らせることが目的だった。2つ目はクラブをアウトサイドに上げること。
2019年改造前
以前はインサイドに上げて無理矢理カットに下ろしてフェードを打っていたのをそれをアウトに上げることで肩の回りすぎを抑え、オーバースウィングが収まって、ダウンスウィングでは肩の縦回転でクラブが下りてくるようになった。
2019年改造後のスウィング
3つ目はフェースを返さず振り抜くことで、強すぎたリストターンを抑え、思い描いた強いフェードが打てるようになった。
中島コーチは「インパクトの形が大きく変わりました。以前は頭が左サイドに流れていましたが、いまは肩が縦回転になったことで頭が突っ込まずに残りやすくなりました。インパクトの時のフェース面もしっかりキープ出来ているので、左に振り抜いても安定した曲がり幅のフェードが打てるので
す」と言う。
パワーフェードと共に、強い渡邉彩香が戻ってきた。
PHOTO / Hiroaki Arihara
週刊GD7月21日号より
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