強い脚力があっても、それを飛ばしに生かすには正しい方向への踏み込みが不可欠だとクォン教授は言うその理由とは? 今週の通勤GDはDr.クォンの反力打法 Vol.45
【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家
前回のお話し
吉田 昨日は、畑岡奈紗選手のような強い脚力を生かすには、左足の「3方向へのプッシュ」が大事だというお話がありました。
クォン 3方向というのは、①下方向、②飛球線方向、③正面方向の3つだ。
吉田 でも、同時に3つの方向にプッシュすることはできませんよね。
クォン もちろん。これは地面をプッシュしたときの矢印の方向が、真下ではなく斜めになっていて、それが飛球線方向と正面方向に傾いている、ということだよ。
吉田 つまり切り返しで左足を踏み込むときに、真下ではなく飛球線側とつま先側に踏み込んでいくということですね。
クォン そういうこと。その矢印を分解すると、下方向、飛球線方向、正面方向の3つの成分に分けられるというわけだ。
吉田 3つの方向ヘの力は、それぞれどのような役割を持っているのでしょう?
クォン まず下方向へのプッシュは、上方向への地面反力を生み出す。これは正面から見た体の回転を促す力となる。
吉田 「前後軸」の回転でしたね。
クォン では飛球線方向へのプッシュでは、どういう力が生まれるかな?
吉田 自分から見て左側に踏み込んでいくわけですから、その反力は右方向になりますね。
クォン そう。右方向への力ということは、左に動こうとしている体を止める方向の力が働くということだね。
吉田 ダウンスウィングの左へのスウェイを抑える役割ということですね。
クォン 体が右に傾きやすくなって、自然とビハインド・ザ・ボールになるという効果もある。
吉田 では正面方向へのプッシュは?
クォン 左のつま先の方向に踏み込むということは……。
吉田 かかと方向への反力が生じるから……あ、これは垂直軸の回転につながりますね。
クォン そう。コマのような垂直の軸を中心とした回転力を生む。このときに右足をかかと側に踏み込むと、さらに強い回転力が生み出されるんだ。
吉田 これが、昨日お話しいただいた″良質な”地面反力ですね。
クォン そのとおり。どんなに脚力が強くても、プッシュの方向を間違えてしまったら何の意味もないということだね。
週刊GDより
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