ぶっ飛びFW、流行ってるよな。昔の3Wくらい飛ぶ5Wもあるけど、ヘッド速度がある程度必要なのも事実。もっとやさしく打てるFWを作ってくれって依頼が来たよ。今週の通勤GDは「頑固おやじのクラブ工房Vol.32」

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: 悩んでねぇで 相談に来なっ! 江戸っ子クラブ職人 頑固おやじその道35年、東京下町のゴルフ工房店主。厳しくも愛があって常連客に慕われる。好きな言葉は「鉄は熱いうちに打て」

悩んでねぇで
相談に来なっ!
江戸っ子クラブ職人 頑固おやじその道35年、東京下町のゴルフ工房店主。厳しくも愛があって常連客に慕われる。好きな言葉は「鉄は熱いうちに打て」

前回のお話し

Q、止まるFWにチューンナップしてほしい

ブッ飛び系の5番ウッドを購入。でも、ランが出すぎてグリーンオーバ—が増えて…。非力なので、やはりグリーンで止まるFWがいいと実感。なんとか安く直してくれませんか? (64歳・HC10・自営業)

中古ヘッドを使えば
超リーズナブル

「オヤジよ、ちょっと相談に乗ってくれよ。コイツ、チビでガリだけど、ウッドと小技がバツグンで、昨年までシングルだったのに、ウッドを替えたらハンディが増えちやってさ……」

このオーナー、オイラの友達なんだが、口の悪さはオイラ以上なんだな(笑)。

「オーナーが言うとおり、私は非力なので、昨年5番ウッドを流行りのブッ飛び系に買い替えたんです。もっとラクに飛ばせると思ったんですが、ランが多くなって、グリーンオーバーのミスが増えて
しまって……。180㍎ちょっとぐらいは、かなり自信を持って狙えていたのに 」

非力で上手いタイプは“運んで、寄せてナンボ”のコースマネジメントで勝負しているはず。180
~190㍎はグリーンオンといかなくても、寄せやすいところに運べることができなくなると、スコ
ア作りは難しいわな。

「やはり私には飛びよりも、止まるウッドのほうが必要だなと……。何か、安くチューンできる
方法があると助かるんですが」

「まあ、買い替えるにしても、最近のは強弾道設計だらけだからな。シャフトもヘッドも中古で良けりゃ、5千円で組んでやるよ」

これにはオーナーもビックリ。

「そんなに安いなら、オレにも1本、作ってくれよ!」だと(笑)。

画像: 中古ヘッドを使えば 超リーズナブル

20世紀のメタルなら
“止まる”弾道になる

中古ヘッドといっても、ここ数年のものじゃない。30年ぐらい前のタルクがいい。え? どこのがいいのかって?

たくさんあるけど、ひとつずつ説明するからな。まず、ペンシルネックのホーゼル。少し曲げたり、
シャフトの挿し方でフェース向きを調整できる。ヘッドサイズも適度に小振りでウリザネ顔。だから最近のユーティリティに近い。

それに、フェースの肉厚があり、重心が深すぎず、低すぎない。ロフトがあっても左に行きにくく、打球が上がりやすく、スピン鼠も適度に確保できる。

スピンが増えすぎるってのは、ないな。特に最近のボールは低スピン設計だから。でも、そうそう手に人らない……はずだったんだが、実はこの練習場に行った用事ってのが、古い試打クラブの処分。

お客さんの忘れ物とか捨てていったものとかも混じってるらしいが、もう中古でも売れないから、捨てるって話を聞いて、引き取りに来たんだ。その中にあったね、往年の名器。マルマンの『コンダクターLX」の4番と、テーラーメイド「ツアーバーナー』のロフト17度。

どちらかをチューンすれば、この常連さんにピッタリのものを作れる。

「ヘッドはオレがタダで出したんだから、もう少しフンパツするから、高いシャフトをつけたら? 飛んで止まる、なんてできる?」

オーナー、欲張りだな(笑)。

「地面の球を打つFWはアイアンと同じで、シャフトは鈍いぐらいがいい。振り方の加減で反応が変
わるような、高性能の“仕事をする”シャフトは合わないんだ。だから、プロはドライバーと違うシャフトを選ぶことが多い。ヘッドの性能を素直に生かせればいいから、中古シャフトの先端を落とし
たもので十分。グリップ、ソケット、接着剤、加工の手間で5千円。文句ねぇだろ?」

まあ、ここまで古いクラブは中古ショップでもなかなか手に入らないだろうけど、自宅の物置に転
がってるようなら引っぱり出してみな。最近のボールを“止める”には、本当に優秀だから。

月刊GDより(2015)(イラスト/コーチはじめ)

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