タイガーの代名詞だった「両手で入るアドレス」。それが近年変わってきているというのは、常に飛ばしのヒントを探し続ける武市悦宏。タイガーをはじめ、トッププロのショット前のルーティンには、狙いが隠されていた。

タイガーを見るとどれも正解だった……

両手に加え、片手でもアドレスを作るようになっている。えっ!? ショット前は「常に同じ動きをする」というのがルーティン作りの鉄則じゃ……。毎回の形を変えてまでやりたかったタイガーの狙いとは?

画像: タイガー・ウッズのルーティン

タイガー・ウッズのルーティン

ルーティンには
選手の狙いが表れる

アドレスでクラブをセットするとき右手で入る人が多数派ですが、2000年初頭、両手でアドレスを作るタイガーを見て、当時、多くの人がその真似をしたものです。でも、ここ数年タイガーをチェックしていると、ショットごとに違うことに気づきました。

おそらく球筋のイメージやライ、そしてロケーション、ひょっとしたら調子によって、あえて変えているのでしょう。いや、絶対そのはずです! ルーティンでの歩幅をそろえる練習をするプロがいるほど、ショットへの影響が大きいものですから、間違いないでしょう、多分……(笑)。

ただし、タイガーのどのルーティンにも共通するのは、クラブをセットする時は、すでに両手になっていること。つまり基本は両手、そして何かしらの変化を持たせたいときに、片手でアドレスに向かっているのです。

【右手】ドライバーの変更でルーティンも変わった?

右手から入ることで、左へ振り抜きやすいという武市だが、クラブに造詣が深いプロらしくこんな指摘も。

武市 今使っているSIMは、以前のテーラーM6よりも重心が深くつかまりやすい。そこで。右手の力加減を強くして、ほんのりカット気味に振る意図があるのかも。

【左手】ダフリのリスクを減らすため、フェース面の角度をなるべく変えずに振りたい

フェアウェイバンカーで見せた、左手パターン。

武市 ここで避けたいのは、ダフリ気味のインパクト。左手から入れば体が開きにくく、ヘッドが手前に落ちるのを避けられます。目線が下がり低弾道になりますが、ダフリという最悪のミスは回避できます。

【両手】両手のグリッププレッシャーが変わらず振り切れる

こちらが見慣れた両手ルーティン。

武市 どちらの手も意識しない状況、つまり飛距離優先でドーンと飛ばしたいティーショットや、アイアンならフルショットの距離を打つ場面では両手で入るはず。両グリップともに、ゆるまずにしっかり振り切ることができる。

手の役割によって
どちらで持つか決まる

ルーティンの際、状況に応じてタイガーのようにクラブを持つ手を変えるのはごく少数派。ほとんどのプロはどちらの手でクラブを持ちセットアップに向かうか決まっています。

ラームのような右手派は、フェース面を目標に向けてセットしたいタイプ。フェース面の向きで打ち出したい方向の見当がつくでしょう。

一方、少数ですがアダム·スコットのような左手派は、左肩の向きで方向を作っていくタイプです。こちらは体の向きに注目すると選手の狙いが見えてくるかもしれません。

難セッティングとなる全米オープン。プロたちは打つ前のルーティンから、コース攻略のため緻密な準備をしています。そこにも注目すると、より一層ゴルフ観戦を楽しめるでしょう。

【右手タイプのジョン・ラーム】
フェースの“面”で
方向性を 出している

武市 フェースの“面”を意識してターゲットに合わせるタイプは、右手でセットする選手が多い。ボールと目標の間にスパット(目印)を設定していたりすると、右手の方が合わせやすい。ラームが下を向いているのも、いい目印を見つけたのかも。

【左手タイプのアダム・スコット】
方向確認から
クラブと腕を一体に

武市 左手甲とフェース面はリンクすると本人が言うとおり、左ひじからヘッドまで連動しているようなルーティン。後方からフェース面を目標に向けて、初心者のようですが、それほど強く左サイドを意識していると考えられますね。

【両手タイプのダスティン・ジョンソン】
手と体を“超”一体化
したいイメージが強い

長い手足を武器にした、パワフルなゴルフが持ち味のダスティン·ジョンソン。

武市 細かく手先でコントロールするより、どちらの手にも余計な力を入れたくないのでしょう。素振りから握り替えないところを見ると、よほど手の意識をなくし体と一体化させたいのかもしれません。

【左右入れ替えタイプの松山英樹】
左手の感覚を消さずに
セットする役割分散型

非常に感性が繊細かつ強いのではという武市。

武市 まず左手でクラブの重さや握る強さを確認。ヘッドを地面につけるとその感覚が消えてしまうので、空中で右手と入れ替えて右手でボールにセット。意図してやっていないと思いますが、考えれば考えるほど、彼はとんでもなく感性が鋭くて大切にしてるんじゃないかなって思います、たぶんだけど(笑)

【解説】武市悦宏プロ
1976年生まれ。独自に編み出した「ツイスト打法」により1年で100ヤード飛距離がアップした小柄な飛ばし屋。2013レッスン・オブ・ザ・イヤー

PHOTO/Tadashi Anezaki、JJ・Tanabe

週刊GD9月29日号より

武市プロのリモートゴルフアカデミー開催します! 飛距離アップした方集まれ~

画像: wg-takechievent-1st.peatix.com
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画像: weekly-golfdigest.peatix.com
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