「お前には負けるから何卒いってくれと思ったら気が楽です」今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第六十四話。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

前回のお話し

奥田 スウィングの主役は誰かと聞かれたら、普通は誰もが「自分」と答える。つまり、クラブを振ってる人間様が一番偉いと。でも、ほんまに偉いのはクラブ。クラブヘッドといい換えてもええけど、とにかく一番はクラブで人間は二番。

高松 二番いうか最下位やな。自分なんてスウィングではどうでもいい存在。ほったらかしにしとったらええの。

奥田 横に僕らのスウィング写真が並んでますけど、これはすべてクラブと人間の主従関係だけははっきりつけて振ってるんです。とにかくクラブにいい仕事してもらおうとしか思ってない。

高松 ゴルフは道具をどうやって使うかのスポーツ。だから自分がどう動くかなんて関係ないの。

奥田 クラブをどう動かすかですわね。それやのに腕がどう、腰がどうって体の話ばっかりになる。人間様が一番偉いという思考やから。

高松 それもそうやし、体の話にしたほうが分かりやすいからな。でも、クラブをこう振るために体をこうするいうんは、ほんまは分かりやすいようでややこしい。クラブをこう振りたいなら、ただクラブをそう動かそうとするほうがええね。

画像: ゴルフ全体でいえば、偉い順は左から、旗、ボール、クラブ、人間。なんにしろクラブと人間の主従関係だけは変わらないのだ

ゴルフ全体でいえば、偉い順は左から、旗、ボール、クラブ、人間。なんにしろクラブと人間の主従関係だけは変わらないのだ

奥田 それで体はただクラブにつられて動くだけでね。でもまあ、そんなことも考えんと、構えたらクラブに向かって「もうお前には負けるから、何卒いってくれ」と思ってテークバックに入ればいい。そしたらメチャメチャ気が楽です。

高松 ただクラブが大事やいうことを、クラブを大切に扱うことと誤解するもんも多い。オレのサンド見たら、誰もそうは思わんやろうけど。

奥田 ボロボロですからね。

高松 オレのいう大事さは、絶対変わらない愛。あれこれと構いはしないけど、絶対的なもの。

奥田 愛ですか? 愛ってこの連載で初めて出たんちゃいます?

高松 出ちゃった?

奥田 愛だの恋だのオレは嫌いやって、先生から十何年前に聞きましたけど、その辺は変わったんですか? 愛だの信じるだの歌ってる歌手の気が知れんって、僕はなんでそんな悲しいこというんやろと思ってましたけど。

高松 今の話に沿っていうたら、愛みたいなもんいうことやがな。それよりスウィングではクラブが一番やけど、ゴルフで一番偉いのは旗。そして二番がボール。三番がクラブで、人間が四番やな。

奥田 たしかにゴルフで旗がなかったら誰もいかれへん。だから一番ですわね。

高松 山が見えてないのに、山には上れんし、すごろくでもゴールがなかったら、なんぼ暇でも誰もせえへん。

奥田 でも先生、ボールは二番ですか。

高松 ボールはオレたちの代わりに空を自在に飛んでくれる鳥。そこがゴルフの醍醜味やからボールは二番や。

奥田 そういう意味ではそうですね。でも、スウィングではボールよりクラブが上です。ボールを大事に思うと、ちゃんと当てたいからボールをよく見る、みたいな発想になりますから注意してください。ボールなんてじっとしとるんやから、そこまで大事にせんでええ。ほーっと見とくくらいでちょうどです。

2015年月刊GDより

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