メジャーチャンプ渋野日向子を育てた青木翔に“コーチング”のこだわりを語ってもらう本連載。ゴルフだけでなく、仕事や育児に頑張っている人に読んでもらいたい。今週の通勤GDは「笑顔のレシピVol.22」。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【青木翔】
あおきしょう。1983年3月28日生まれ、福岡県出身。大学を卒業後、プロを目指すも27歳のときに指導者の道を志す。2012年に自身のアカデミー「ASGA」を設立。渋野日向子をはじめ、数々のツアープロや全国トップレベルのアマチュアゴルファーの育成に努めている

前回のお話

まずは長所を
伝える

初めて見る選手や、自分でコーチをしていない選手のスウィングを見るとき、まず目につくのは欠点の部分です。これはスポーツの動作に限ったことではありません。「悪いところ」というのは得てして目立つものです。

子育てをしていてもいたずらは目につきやすいし、仕事でも部下のミスはすぐに気づくはずです。派手なファインプレーは別として、ちゃんとできている部分というのは、不幸にもあまり目立たないものなのです。

僕のようなコーチや上司のように、チェックしたり指導する人は、欠点や短所を見つけるのが役目。動きや取り組み方を見て、「ここが足りてないな」とか、「あの部分が今一つできてない」などに気づくのは、粗さがしではなく大切な能力。

でも相手に伝えるときにはその欠点から伝えるのはNGです。僕は、あの動きやクセが無くなったら絶対伸びるという明確な場合でも、まずは短所ではなくプラスの長所から伝えます。

画像: まずは長所を 伝える

それはへこんでいる部分を引っ張り出すより、ちょっと出ている部分をビヨーンと伸ばすほうがラクで時間もかからず、そして何よりも本人が楽しめるから。時間やモチベーションが限られているなかで、効率よく成長していくためには、短所の穴埋めはコスパが悪い。

もちろん人の能力なのでそんな単純に事は運びませんが、どんなプロ意識の高い選手でも短所を埋める練習より、長所を伸ばす練習のほうが積極的に取り組めるのは間違いありません。

そして長所を伸ばし選手が成長できると、コーチとの間に信頼関係が生まれる。これを積み重ねていき、あるタイミングで短所の改善に取り組む。そうすれば彼らは苦手なことも主体的に動いてくれるようになります。

目の前で起きたミスは、条件反射的に指摘をしてしまうものです。でもそれをグッとこらえて、意識的に長所を探して伝えてください。いい部分にまで目が行くようになると、自然と自分の周りにもそんな人が集まっきてくれたりもします。

TEXT/SHOTANOW

PHOTO/ARAKISHIN

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