ゴルフコースことはじめ
文芸評論家を経て、ゴルフジャーナリストとしても活躍した田野辺薫氏。ゴルフコースの目利きとして全国のコースを取材し、週刊ゴルフダイジェストで「ゴルフの歴史を歩こう」を連載（2005~2013年）。それを一冊にまとめた「美しい日本のゴルフコース」から多くの人に名コース誕生の歴史を知ってもらおうと再編集公開しています。
ときは昭和40年、生活は石油、ガスが主役。筑波町長の宮本信三は、10年後の町をどうするか、試案の挙句「ゴルフ場を造ってレジャーで賑わいを」と考えた。
昼は、筑波山を仰いでゴルフ、夜は筑波山観光の旅館で旅情を楽しむ。キャディなど雇用促進、お土産など産物も売れる。
税収も増える。宮本町長は、地元出身のNHK専務理事・赤城正武（後に全日本テレビサービス社長）と協議した。
赤城正武が、旧制水戸高校（現、茨城大）出身だったことから、後に理事長となる江戸英雄、川崎千春ら同校出身の財界人が協力「旧制水戸高校出身者でゴルフ場を造ろう」と協力の輪が広がった。
温州みかんと米が
栽培されていた土地
昭和46年11月、資本金2000万円でつくばね開発㈱設立。初代社長・赤城正武。
12月には用地23万坪を取得、共有地の3分の1を占めた。ゴルフ場敷地の標高は200〜250㍍、筑波山の南斜面で温州みかんと米の栽培で知られていた温暖な土地だった。
昭和47年3月着工。ゴルフ場設計は森次郎、監修はその叔父の福井八十八。福井は、プロゴルファー第1号、福井覚治一族の出身、生涯24コースを残したゴルフ場設計家として活躍した。
なかでも、つくばねカントリークラブは、周南カントリー倶楽部( 山口県周南市・昭和41年開場)と並んで彼の代表作と評された。
8番ホール／530㍎／パー5 フェアウェイは右傾斜。2打目、3打目と打ち上げていくタフなホール
7番ホール／400㍎／パー4 打ち上げで、左右OBがなく思い切り攻められるが、左のガードバンカーの先は一段低くなっているので要注意。グリーンは奥から順目
6番ホール／341㍎／パー4 少し打ち下ろしの短いホール。ティショットはフェアウェイ右寄り狙い
16番ホール／276㍎／パー4 打ち上げホール。短いので打ち込みし注意
「似ているのは関西の芦屋カンツリー倶楽部だろうか。麓を中心に扇型に広がる地形は、他に類がない理想的な地形である」と、ゴルフ場を設計した福井は語った。
ゴルフ会員は都内在住者が圧倒的だった
福井はクラブハウスに寝泊まりしてコース造りに熱中したという。
完成は、昭和49年2月。会員募集は1次70万円、90万円、120万円で、合計1439名を集めた。
昭和52年開通予定の常磐高速道が工事中だった、その開通を見越して東京都内の会員が圧倒的。地元の筑波町民のゴルフに対する認識はまだ浅く、キャディ募集は、菓子折り片手に農家を口説いて回った、という笑えない話が残っている。
つくばねカントリークラブ
茨城県つくば市神郡2726
☎029-886-0224
開場日:昭和49年2月11日
コース:18H／6433Y／P72
設計:森 次郎、福井八十八
公式ホームページ
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