年会費の値上げは、売却きっかけの一因
会員権を購入して、年会費を払っているわけですから、メンバーシップである以上、会員が優先(優遇)されるべき、という考えに異論はないでしょう。米国のメンバーシップは、「プライベートコース」の意味合いが強く、非会員がプレーする場合は、ビジターではなく、あくまでメンバーのゲストになります。ゴルフ場内でのゲストの行動や責任もメンバーが負うことになります。年会費は100万円~300万円(それ以上のゴルフ場も…)と、日本とは比べものにならないほど高額になっています。
年会費にはメンバーのプレーフィが含まれることが多く、クラブハウスの飲食代も限度額を設け、組み込まれていることがあります。米国の会員制ゴルフ場は、メンバーの年会費でクラブ運営がなされているため、ビジターという概念はなく、非会員はあくまでメンバーゲストとなり、プライベートクラブとして厳格に運営されているところが多いようです。
日本にも「ゲストのマナー、エチケットまで責任を負う」会員制ゴルフ場はあります。そういった声は、ビジターではなかなかプレーできない社団系もしくは高額会員権のコースからよく聞こえてきます。
社団系や高額会員権ゴルフ場の年会費は、ここにきて値上がっているように思います。一般的なゴルフ場が3万円だった時代で、5万円~8万円だった年会費は10万円~15万円に値上がっています。ちなみに高額会員権で有名な小金井の年会費は30万円になります。
会員権「譲渡不可」の社団系ゴルフ場は、市場流通がないため相場は立ちませんが、向こうを張る高額会員権のゴルフ場は以前に比べ相場を下げる動きが見られます。これはメンバーの高齢化によって、退会する方が増えているのも要因のひとつになります。「もうゴルフをやらなくなったから、会員権を譲りたい…」と売却を考えられる方が増えているからです。
年会費は、プレーをしなくても、会員である以上かかる費用になります。「(会員権相場は)安くなってしまったが、持っていても年会費がかかる…」。相続がなければ、安くても売って、これ以上の持ち出しはしたくないと考えます。売却のため会員権は市場に出され、買い手は「少しでも安く」と考えます。年会費が高いために、買い手がつかなければ、相場はさらに下がってしまいます。
年会費と相場は、ゴルフ場の中身、運営とは違った一面で推移することもあります。
ゴルフ場の中身は変わらないのに、年会費を値上げ
ゴルフ場の収入は、メンバーからの年会費、メンバーフィ、ビジター(ゲスト)フィ、レストラン、売店の売り上げ、会員権の名変料を主な収入源とします。メンバー重視でビジターを制限するゴルフ場ほど、ビジターフィ収入が減るので、メンバーへの負担は大きくなります。コースの管理コストの高騰などを理由に、これまで3万円だった年会費を5万円に上げるゴルフ場も増えています。
年会費を上げずにビジターを多く入れて収入を増やせば、メンバーメリットは削られてしまうので、既存のメンバーは値上げを渋々でも飲むしかないわけです。もし、どうしても飲むのが嫌なら、退会という選択になってしまいます。
会員数は18ホールのゴルフ場で1800名(1ホール100名)が適正と言われてきました。1500名なら「やや少なめ」、1000名なら「少なめ」、2000名は「やや多め」となります。メンバーの数が少なければ、スタートは取りやすくなり、ご利用の自由度は上がります。
会員数1800名のゴルフ場の年会費は長いこと、3万円台が相場でした(ここにきて5万円台に値上げするゴルフ場が増えています)。
では、1800名の会員制ゴルフ場とは一般的にどんなゴルフ場か…。
●予約日に電話をすれば、「組単位」で予約が取れる
●メンバータイムがあり、1人での予約を受け付けてくれる。
●予約が取れなくても、キャンセル待ちでほぼ希望日にプレーできる。
●クラブ競技のエントリーは、スムーズにできる。
ビジターのプレーは、平日はメンバーの紹介、土日祝はメンバーの紹介または同伴を守っているゴルフ場であれば、会員数1800名で、上記のような使い方が可能になるでしょう。ゴルフ場の経営姿勢で、ネット予約やビジターの受け入れ数によって、ご利用の自由度が制限されてきます。
では、会員数1000名で年会費10万円~のゴルフ場はどうでしょう…。
●平日はもちろん、土日祝日、いつでも(組単位)予約ができる。
●メンバーならいつ行っても、組み合わせでプレーできる「メンバータイム」「メンバー枠」がある。
●希望すればお昼休憩を挟まずスループレーもできる(込み具合によるが…)。
●クラブ競技は予約をしなくても参加することができる。
ビジターのプレーを制限し、メンバー重視の運営がされているゴルフ場は、上記のように自由度はアップします。「名門」と呼ばれるゴルフ場は、メンバーの予約は必要なく、全日「到着順」としているところもあります。
年会費の高いゴルフ場ほど、ビジターのプレーを制限し、メンバーを優遇する運営がなされている(はずです…)。そういった運営がなされているゴルフ場は、メンバー価値が高いので、相場を大きく下げることはありません。一方で、高額年会費に対して、相場が安いゴルフ場は、何らかの不具合(不満)が生じ、「売り優勢」となっていると考えていいでしょう。
年会費10万円は「ステータス」を買ったと思えば安い?
ゴルフ場 | 所在 | 年会費 | 相場 | 名変 |
---|---|---|---|---|
ザ・サイプレス | 兵庫 | 18 | 相談 | 100 |
西宮 | 兵庫 | 15 | 500 | 300 |
宝塚 | 兵庫 | 15 | 相談 | 300 |
奈良国際 | 奈良 | 12 | 700 | 302 |
万壽 | 奈良 | 8.4 | 20 | 60 |
ABC | 兵庫 | 8 | 520 | 150 |
芦屋 | 兵庫 | 7.2 | 400 | 200 |
花屋敷 | 兵庫 | 7.2 | 相談 | 50 |
美奈木 | 兵庫 | 7.2 | 35 | 100 |
六甲国際 | 兵庫 | 7.2 | 340 | 100 |
泉ヶ丘 | 大阪 | 7.2 | 420 | 100 |
枚方 | 大阪 | 7.2 | 300 | 150 |
関西の高額年会費のコースをランキングにしてみました。トップはザ・サイプレスの18万円。2位が西宮と宝塚の15万円で、奈良国際の12万円までの4コース(売買可能)が10万円超となります。
兵庫県では、ABC(預託金制8万円/株主制6万円)、芦屋、花屋敷、美奈木、六甲国際が72000円となっています。大阪府は泉ヶ丘、枚方が72000円になります(※いずれも税別)。高額年会費を徴収するだけあって、いずれも、名の知れたステータス性の高いゴルフ場ばかりです。
一方、3万円以下の「良心的な」年会費設定のゴルフ場をご紹介しましょう。
ゴルフ場 | 所在 | 年会費 | 相場 | 名変 |
---|---|---|---|---|
光丘 | 大阪 | 2.4 | 70 | 40 |
美加ノ原 | 京都 | 2.4 | 20 | 20 |
新大阪 | 大阪 | 3 | 15 | 20 |
亀岡 | 京都 | 3 | 40 | 30 |
加茂 | 京都 | 3 | 23.8 | 募集 |
瑞穂 | 京都 | 3 | 150 | 50 |
タラオ | 滋賀 | 3 | 200 | 30 |
甲賀 | 滋賀 | 3 | 55 | 40 |
関西の年会費の平均は5万円台になるでしょう。3万円台なら割安、5万円台でも高く感じなくなってしまいました。3万円台以下のゴルフ場は、(最近は落ち着いてきていますが…)減ってきています。奈良の新奈良、兵庫の大神戸、明石は年会費「無料」となっています。経営は3コースとも新日本観光(株)です。
原則ですが、年会費未納でも会員権の売買は可能ですが、完納でない会員権は新名義に名義変更ができないことがありますので売却時、購入時にご注意ください。
これも原則ですが、ゴルフ場から年会費を請求され、払われない場合は未納年会費が溜められていくゴルフ場がほとんどです。年会費を払わないメンバーはプレーを断られることもあるので、ご注意ください。
【「年会費」いくらまでならオッケー? 3万円は「良心的」、5万円は「仕方ない?」。関西「高額、低額」年会費ランキング】に関する詳細は、会員権取引57年のゴルフダイジェスト社会員権サービス部関西にお気軽にお問合せください。
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