伊勢原カントリークラブと中村寅吉プロ
1957年、日本で開催されたカナダ・カップ(現在のワールドカップ)で、小野光一とコンビを組み団体優勝。個人でも優勝を飾り、戦後復興期の日本に第一次ゴルフブームを巻き起こした人物といえば〝トラさん〟こと中村寅吉だ。
伊勢原カントリークラブは、そのレジェンドが、まるで我が家のように、こよなく愛したゴルフ場。元JLPGA会長の樋口久子プロを筆頭に、この伊勢原でトラさんの手ほどきを受けてゴルフの腕を磨き、プロの世界で活躍した選手が多くいる。
伊勢原カントリークラブ
令和元年クラブチャンピオン
福住卓(ふくずみたかし)さん/56歳
ゴルフ歴:37年
メンバー歴:22年
飛距離:230㍎
球筋:ドローボール
ベストスコア:69
都会に近いのに
秘境のゴルフ場
福住さんは平成30年と令和元年の2度、伊勢原カントリークラブのクラブ選手権を制覇したチャンピオンだ。
福住 バブル時代でラウンドしたくても予約が取れない。それで家から近い伊勢原カントリークラブのメンバーになったんです。最初に頂いたハンディキャップは20でした。
ゴルフ場は丘陵コースや林間コース、山岳コースなどがあるが、伊勢原カントリークラブはそのどれにも当てはまらない。あえて分類するなら秘境コースか。昔のゴルフアニメ『プロゴルファー猿』に出てきそうなコースなのだ。
福住 とにかく、強烈な打ち下ろしや打ち上げなど、アップダウンがきついので、ティーイングエリア以外はほとんど傾斜地からのショットになります。もともと傾斜地が苦手で、いまでも得意と言えるほどではないですが、なるべく、一番やさしい左足上がりのライから打てるように、 コースを攻めていきます。
2番・パー4・260Y
ティショットは6番アイアン
伊勢原の攻め方が2番ホールに詰まる
たとえば、アウト2番のパー4は260㍎と距離が短く、飛ばし屋ならドライバーでワンオンも狙えるホールだが…
福住 無理に攻めると大ケガをして、取り返しがつかなくなるのが、伊勢原カントリークラブの難しさなんです。2番はそれを象徴するようなホール。2打目がいちばん打ちやすいのは、ティから160ヤード地点の左足上がりのエリア。つま先上がりや下がりなどもなく、複合傾斜にならないので、ミスが出にくいんです。
傾斜地から打つときのコツを、福住さんに聞いてみると、
福住 やっぱり、無理をしないことですね。大振りは避けて、コンパクトなスウィングで、傾斜なりにクラブを振っていくことを心がけています。
左足上がりは、伊勢原カントリークラブのべスポジ
左足上がりのポイント!①
ややオープンでスタンスは広め
アドレスでは土台を安定させるためにスタンスを広めに構える。「フォローでクラブを振り抜くのに左足が邪魔になるのでややオープンスタンスにしています」(福住)
左足上がりのポイント!②
傾斜なりに構えてクラブを振り抜く
傾斜に逆らわず、斜面と平行に構えることでフォローまでクラブを振り抜いていくことができる。「大きめのクラブでコンパクトに振ることを心がけています」(福住)
厄介な左足下がりの打ち方
左足下がりのポイント!
左足上がりよりオープンに構え、フォローでヘッドをターゲットに向ける
打ち下ろしも多い伊勢原カントリークラブでは、左足下がりのライから打つことも多い。「しっかり振り抜きたいので、左足上がりのライよりもスタンスはオープンにします。右手首の角度をキープしたまま、フェースを返さず、フォローでヘッドをターゲットに向けています」(福住)
「スコア90はゴルフじゃないよ」
寅さんの言葉で本気になった
準決勝で逆転負け。その雪辱を果たした
福住 クラブ選手権に出るようになったのは、メンバーになって10年以上過ぎてからですね。シングルハンディをもらい、研修会にも入って、それから毎年、出場するようになりました。
メンバーになってしばらくは、スコア80~90台をウロウロするレベルだったとか。そんな福住さんを、「もっと上手くなりたい」とやる気にさせたのが、レジェンドのひと言だった。
福住 ある日、ラウンドが終わった後に、中村寅吉プロとコースですれ違ったんです。プロのお姿はコースでよく拝見していましたが、お話しをしたことはありませんでした。でも、そのときは『いくつで回った?』と突然、プロから聞かれたんです。
スコアは90台だったので、福住さんがそう答えると、
福住 プロに『スコア90はゴルフじゃないよ』って。その瞬間はあまり深く考えませんでしたが、何気ないプロの言葉が頭にずっと残っていて。それからたくさん練習もするようになりましたし、もっといいスコアで回れるようになりたいと思うようになりましたね
2年で90台から70切りの理由①
UTが最大の武器になった
傾斜地からでも飛距離が稼げるように
大振りするとミスになりやすいが、コンパクトに振ると距離がでない。「UTが使えるようになってスコアメークが楽になりました」
スコア90台はボギーとの戦いだ。ホールのパーと戦えるようになってはじめて、ゴルフの楽しさが分かる。
レジェンドは福住さんにそう伝えたかったのかもしれない。伊勢原カントリークラブでスコアをまとめるには何が必要なのか。クラチャンを獲るためのゴルフに必要なことを考え、腕を磨いた。
2年で90台から70切りの理由②
安定のドローを身につけた
ティはやや高め
福住さんの持ち球は風にも強いドロー。「ティアップを高くすることで、ゆるやかなアッパー軌道でボールをとらえられるし、つかまりやすくなるのでドローが打ちやすい」(福住)
2年で90台から70切りの理由③
アプローチも左足上がりから寄せる
ややオープンに構え、ボール位置で高さを変える
伊勢原カントリークラブのグリーンは傾斜が強くアプローチも難しい。
「基本のピッチ&ランでやさしく寄せます。ボールは少し左寄り、低く転がしたいときは右に置きます」
「受けグリーンが多いので奥からのアプローチは難しいです。外すならグリーン手前が鉄則ですね」
福住 最初のクラチャンを獲る前に、クラブ選手権の準決勝で終盤にリードしながら追いつかれ、エキストラホールで負けたんです。悔しい思いをして、絶対に勝ちたいと練習にもさらに身が入りました。2年後の決勝戦で、そのときに負けた相手と対戦して、初優勝することができました。
クラブ競技以外にも、神奈川県アマや関東シニアにも挑戦していて、そこでも好成績を出すのが、現在の目標だという。
福住 外の競技で一般のゴルフ場に行くと、広すぎてどこに打ったらいいか分からないのが悩み(笑)。傾斜地で困ることは、ほとんどないですけどね。
2年で90台から70切りの理由④
夏場も冬場も急傾斜もとにかく歩く
現在は乗用カートが導入されたが、「以前は夏場でも歩きでラウンドしていましたからね、自然と下半身が鍛えられたスウィングが安定しました」
2年で90台から70切りの理由⑤
2メートルのまっすぐラインでパット練習
2年で90台から70切りの理由⑥
練習場での打ち込みは週イチ
スコア90の頃はコースの練習場で練習していたが、今は「週に1回は藤沢ジャンボで打ち込みしています」と福住さん。100~200球を打つことでスウィングを維持している
2年で90台から70切りの理由⑦
年々衰える柔軟性を維持する
アマチュア競技でシニア入りして、まだ2年の福住さんだが、加齢による柔軟性の低下を防ぐ努力をしているという。「素振り用の軟らかいクラブはストレッチに効果的です」
伊勢原カントリークラブのクラブチャンピオン
福住さんの14本
1W:タイトリスト915D2
3&5W:タイトリスト915F
UT19度:タイトリストH1
UT23度:タイトリストH2
5I-PW:ミズノプロ518
52度:タイトリスト ボーケイSM4
56度:タイトリスト ボーケイSM7
PT:オデッセイOワークスRライン
伊勢原カントリークラブ
18H・5921Y・P72
神奈川県伊勢原市子易132
TEL.0463-95-3095
開場:昭和44年8月17日
設計:梅沢弘
公式ホームページはこちら
※福住さんにはボランティアとして登場していただきました。
月刊GD2020年4月号より
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