老舗ゴルフ場のカレーって、なんであんなにウマいのか? そんな調査を続けているうちに、大阪・神戸に"ゴルフ場カレー"のルーツを発見しました。100年近くにわたるその歴史を紐解きつつ、絶品カレーが食べられるゴルフ場を巡りました。

ゴルフ場カレー100年史を辿る旅、スタートは"鳴尾ゴルフ倶楽部"

画像: 神戸から車で1時間弱。「鳴尾」のカレーは神戸の名門ホテルの味を色濃く受け継いでいた

神戸から車で1時間弱。「鳴尾」のカレーは神戸の名門ホテルの味を色濃く受け継いでいた

98年前、神戸市街からほど近い魚崎町にあった「鳴尾ゴルフ倶楽部」は昭和5年に現在の地へと移った。「開場当初からカレーはメニューにあったようで、着任当初、前任からまず指示されたのが"鳴尾の味"を受け継ぐことでした」とは現料理長を務める吉田伸嗣さん。

前任の言う"鳴尾の味"とは、3~4世代にわたってメンバーたちの舌に刻まれてきた「味の記憶」。これを壊すことなく受け継ぐことに心血を注いだそうだ。

「大事なのは甘みと香りです。ひとつでも素材をごまかすと"これは違う"となるんですよ」(吉田料理長)

「カレーの味を追求する中で気づいたことがあります。私は以前、老舗のホテルにいたのですが、カレー作りの基本が同じでした。そもそも昔はお店も少なかったので、ルーツはひとつだったと思います」。

はたしてそのルーツとは? 鳴尾があった神戸市街に向かった。

神戸の老舗ホテルで"ゴルフ場カレー"の原点を発見

鳴尾ゴルフ倶楽部でカレーのルーツを語って頂いたとき、たびたび挙がったのが「オリエンタルホテル」。西洋料理の父として名高いルイ・ペギューが造ったホテルだ。

残念ながら125年後、阪神淡路震災で長い歴史に幕が閉じられたが、跡地にその名を冠したホテルが開業する際、目玉となったのが「カレー復活」だった。

画像: 現在のオリエンタルホテル

現在のオリエンタルホテル

「かつての味を語るとき、必ずと言ってもいいほど挙がったのが"独特な甘み"でした。」と、現オリエンタルホテル料理長・吉田秀人さん。

以前のレシピを復活させる中で、淡路島産の玉ねぎと神戸牛が、甘みのカギを握ることを知ったという。

画像: 重要だったのは甘み。「産地が違うと特有の深い甘みが出せないんですよ」(吉田料理長)

重要だったのは甘み。「産地が違うと特有の深い甘みが出せないんですよ」(吉田料理長)

ちなみに旧オリエンタルホテルは開業から10年後に、神戸ゴルフ倶楽部の創始者であるA・H・グルームへ所有権が渡っている。この地は降雪に弱く「通年ゴルフを楽しみたい」というメンバーたちの要望により「鳴尾」が造られた。

となれば、ルイ・ぺギューの味が受け継がれたことは容易に想像できる。おぼろげだったルーツが。ここでくっきりとつながった。

仏料理人たちが目指す「頂点」
ルイ・ぺギュー
数々の名門ホテルでレストランの基礎を作ったぺギュー。「昔からオリエンタルホテルで働けば超一流」と言われたそうです(吉田料理長)

幻のカレーの舞台となった「オリエンタルホテル」
旧オリエンタルホテルの跡地に開業したホテル。セレクトショップや廃ブランドが並ぶ商業複合ビルで、神戸を代表するシンボルでもある
兵庫県神戸市中央区京町25
TEL.078-326-1500

ゴルファーとともに作り上げてきた味

さらに近隣の老舗ゴルフ場へ行くと、いずれも一家言ありそうなご様子。オリジナルのレシピはとうに無くなっているものの、受け継がれる味を守り続けているそう。

「そうそう、これこれ! と喜ばれるのが一番嬉しいです。反面、うちのカレーじゃない! なんて言われたら……。私よりメンバーさんのほうがよっぽど長い間、食べてきているわけですからね」と口をそろえるのは、垂水ゴルフ倶楽部、大阪ゴルフクラブ、三田ゴルフクラブの各料理長。

1920年開場「垂水ゴルフ倶楽部」

画像: 垂水ゴルフ倶楽部のビーフカレー 1200円 7~8種の果物によるフルーティな味わいの後に辛さが追いかける

垂水ゴルフ倶楽部のビーフカレー 1200円 7~8種の果物によるフルーティな味わいの後に辛さが追いかける

画像: 昔の味を知っているメンバーさんと試食会を繰り返しました。辛味、フルーティーさにこだわっています。 垂水ゴルフ倶楽部・矢野隆志料理長

昔の味を知っているメンバーさんと試食会を繰り返しました。辛味、フルーティーさにこだわっています。
垂水ゴルフ倶楽部・矢野隆志料理長

1937年開場「大阪ゴルフクラブ」

画像: 大阪ゴルフクラブのビーフカレー 1111円 スパイシーさと味の奥行を追い求めた一皿

大阪ゴルフクラブのビーフカレー 1111円 スパイシーさと味の奥行を追い求めた一皿

画像: 辛いだけでなく、あっさりしずぎず、食べた後に余韻が残る味。変化球ではなく定番の味を追求しています 大阪ゴルフクラブ・吉田勝也料理長

辛いだけでなく、あっさりしずぎず、食べた後に余韻が残る味。変化球ではなく定番の味を追求しています
大阪ゴルフクラブ・吉田勝也料理長

1930年開場「三田ゴルフクラブ」

画像: 三田ゴルフクラブのビーフカレー 1080円 代々受け継がれたレシピを忠実に再現

三田ゴルフクラブのビーフカレー 1080円 代々受け継がれたレシピを忠実に再現

画像: 伝統のレシピを守りながら、厨房でブイヨンから作った自慢のカレーです 三田ゴルフクラブ・黒川元樹料理長

伝統のレシピを守りながら、厨房でブイヨンから作った自慢のカレーです
三田ゴルフクラブ・黒川元樹料理長

マニアから注目度急上昇
旧オリエンタルホテルの元料理人が作るカレー

画像: ゴルファーとともに作り上げてきた味

カレーとビーフシチューに特化した洋食屋。黒毛和牛がのったステーキカレーは絶品。

Sion(シオン)
兵庫県神戸市中央区元町通5-2-18
TEL.078-335-6248
営業時間:11:30~14:30(金土日のみディナー営業)18:00~23:00
定休日:月曜日

クラシックコースを巡る旅は、看板メニューであるカレーの味を辿る旅でもあったのだ。

関西のクラシックコース紹介

大正9年、3ホールから始まった「鳴尾ゴルフ倶楽部」

画像: 大正9年、3ホールから始まった「鳴尾ゴルフ倶楽部」

黎明期の雰囲気を色濃く残す
数度におよぶ移転、拡張、改造を経て今に至る。戦略性の高さのみならず、国内随一と称される鳴尾伝統の高麗芝のグリーンは特筆。

鳴尾ゴルフ倶楽部
18H・6616Y・P70
兵庫県川西市西畦野字金ヶ谷1-4
TEL.072-794-1011
開場:1920年
設計:H・C・クレーン、C・H・アリソン
公式ホームページ

芝刈り情報
グリーン:姫コーライ(刈り高:4.0mm)
フェアウェイ:コーライ(刈り高:12mm)
ラフ:野芝(刈り高:50mm)
バンカー:川砂でしっとり

手造りの起伏溢れるコースに砲台グリーン「垂水ゴルフ倶楽部」

画像: 手造りの起伏溢れるコースに砲台グリーン「垂水ゴルフ倶楽部」

谷越え、池越え、打ち下ろしなど変化に富んだ18H
丘陵地に展開するダイナミックにレイアウトされた手造りコース。フェアウェイが広くとも、一方が土手や山裾になっているホールが多く、頭脳的なプレーと正確性が要求される。

垂水ゴルフ倶楽部
18H・5661Y・P70
兵庫県神戸市垂水区潮見が丘2-2-1
TEL.078-707-8801
開場:1920年
設計:J・E・クレーン
公式ホームページはこちら

上田治設計、関西指折りのシーサイドコース「大阪ゴルフクラブ」

画像: 上田治設計、関西指折りのシーサイドコース「大阪ゴルフクラブ」

18ホール中9ホールから海が臨める
東の川奈、西の淡輪(大阪ゴルフクラブ)と評される名コース。フェアウェイにうねりをつけ、砲台グリーンやアリソンバンカーでコースを立体的にし、グリーンを斜めに配置、芝は高麗。シーサイドの美しい景観のもとに広がる18ホールズは、男性的と評される上田治の真骨頂。

大阪ゴルフクラブ
18H・6402Y・P72
大阪府泉南郡岬町深日31
TEL.072-492-2011
開場:1937年
設計:上田治
公式ホームページはこちら

有馬富士を望む丘陵地に広がる「三田ゴルフクラブ」

画像: 有馬富士を望む丘陵地に広がる「三田ゴルフクラブ」

傾斜・芝目の読みが試される、姫コーライ芝のクラシックグリーン
随所に歴史を感じる、手造りの丘陵コース。アウトは自然の大きなうねりと小さなうねりが随所にあり、ライがその都度変化。インはフェアウェイが広く思い切ったショットが楽しめる。

三田ゴルフクラブ
18H・6496Y・P72
兵庫県三田市三輪1294-1
TEL.079-562-4081
開場:1930年
設計:クラブ建設委員会
公式ホームページはこちら

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