174センチ、68キロという日本人の平均的な体格で400ヤード超の飛距離を生むドラコンプロにしても、ティーチングプロの今泉健太郎。今から6年前の2012年に行われたドラコン日本選手権(小社主催)の後に、追いかけた記事を発見。体のデカイ選手や筋肉モリモリの選手を相手に準決勝まで勝ち進んだ、今泉健太郎プロのスウィングを科学の目で徹底解剖してみたら、力がなくても飛ばせるコツが見つかりました!

ところで今泉健太郎選手ってどんな人?

今泉健太郎
年齢:31歳(2012年の取材時)
職業:ティーチングプロ
教えている練習場:ゴルフレーヴ(大阪府豊中市)他
身長:174㎝ 体重:68㎏
ヘッドスピード:57m/s
グローブサイズ:22㎝
足のサイズ:26.5㎝
握力:左44.5㎏、右46.5㎏
ドラコン公式記録:383.5ヤード(2012年の取材時/現在までの最高記録は404ヤード)
2012年の主なドラコン成績
ゴルフダイジェストドラコン選手権 
予選大会第3ブロック 優勝
同 決勝大会 準決勝進出
LDJ鹿児島大会 優勝
同 日本大会 5位

まるで串刺しにされているかのような軸の強さ

「フツーの体型でなぜそんなに飛ぶのか? ウーン、実は自分でもよくわからないんです……」
という今泉選手に大阪から上京してもらい、向かった先は江東区・青梅のテーラーメイドパフォーマンスラボ。モーションキャプチャーによるスウィング解析システム『MAT-T』で、今泉選手が飛ばせる理由を科学の目で徹底分析してみた。

データ計測は専用のクラブで行われたが、軽々と300ヤード越えを連発。

アマからプロまで多くのスウィング解析をしてきたオペレーターの岩本プロは、「今泉選手はスウィング中に頭の位置が動かず、軸をキープしたまま振っているんです。普通、ここまで大きく振ると、多少は左右にブレるものですが、それがほとんどない。まるで、頭のてっぺんから太い串が刺さっているかのように軸がブレない。これが効率のいいインパクトを生んでいるんですね」

この日の最長も380ヤード越え

持参したクラブでショットデータを計測。シミュレーター上でだが、最長381ヤードを記録。これにはオペレーターの岩本プロもびっくり。

ヘッドスピード 56m/s
ボールスピード 81.4m/s
打ち出し角 16.7度
スピン量 1325回転
キャリー飛距離 326.2ヤード
トータル飛距離 381.4ヤード

16.7度とやや高めの打ち出し角でスピンが少なく前へ飛ぶ重い弾道。地面へ鋭角に着弾し50ヤード以上転がった。

何で飛ぶのか調べてみたら、僕の飛ばし方は“角エネルギー保存の法則”ぽいんですよ

画像: 何で飛ぶのか調べてみたら、僕の飛ばし方は“角エネルギー保存の法則”ぽいんですよ

角エネルギー保存の法則って何!?
フィギアスケートのスピンと同じ!
円運動をしている物体(角運動)に働く物理現象。角運動量=慣性モーメント×角速度で表され、外力が働かない限り、角運動量は一定に保たれる。これが角運動量(エネルギー)保存の法則。分かりやすい例としては、座面が回る椅子に乗って勢いよく回転したとき、手足を広げると回転がゆっくりになり、逆に手足を縮めると速くなる、というもの。
スケートのスピンで腕を広げると回転が遅く、縮めると速くなる。角エネルギー保存の法則の一例。

腕を体の近くに通します!

リキめば速くは動けない。体の近くを通せば軸回転の抵抗が減る。スケートのスピンと同じように腕を体に引き付ければ回転軸にかかる抵抗が減り、体をスムーズに回転させることができる。

始めた頃の飛距離は250ヤードでした

高校生のとき、年末年始のゴルフ番組を見て、「プロゴルファーになりたい!」と思ったのが、ゴルフを始めたきっかけ、という今泉選手。
プロを目指して研修生になった頃は、250ヤードしか飛ばなかったが、クラブを振り込むうちに徐々に飛距離がアップ。

「思い切り振ったら、もっと飛ばせるんじゃないかって思うようになり、スコアを作ることより、遠くへ飛ばすことに魅力を感じるようになって、ドラコンプロになろうと思ったんです」

ツアープロを目指していたときは、コントロール重視で振っていたが、そのリミッターを外して、クラブを思い切り振れることが楽しかったという。

「ボクのトレーニングは、ただひたすらクラブを振り込むだけ。筋力トレーニングとかは、これまでやったことはありません」

体格に恵まれているわけでもなく、これといったトレーニングをしていない彼が、なぜ380ヤード飛ばせるのか。その理由の一端が、軸ブレのないスウィングにあることは、モーションキャプチャーで判明した。

「たしかに、体重移動ではなく、その場で回転するイメージで振っています。体重移動を大きく使う意識だと、インパクトが不安定になって効率が悪くなるんです。軸を動かさずに、その場でクルッと回転したほうが、効率よく、最速でヘッドを振ることができるんじゃないか、というのが、ボクの考え方なんです」

手は出来るだけ小さく振るんです。

「角エネルギー保存の法則というのがあって、回転軸を動かさずに、腕を体の近くに通すイメージで振ることによって、より回転力が増す、と。それと腕とクラブによる2つの振り子運動も加わって、ヘッドスピードがアップする」

「そのためにはグリップをソフトに握って、上半身の力を抜き、左足で地面を踏ん張って、軸のブレを防ぐ。ボクがスウィングで意識しているのは、その2点くらいです」

パワーに頼らないスウィングには、アマチュアが飛ばせるヒントがたくさん詰まっていた。

今泉選手Q&A

Q1 どんなトレーニングをしているの?
今泉 ドライバーを振るだけです。

速く振ることだけ考えてドライバーを振る。それ以外は何もしていないという。過去のスポーツ歴も小学生時代のソフトボールだけ

Q2 スウィング中気をつけているポイントは?
今泉 つまむくらいでゆるく握るグリップです。

グリップはゆるゆるに握るのが〝今泉流〟飛ばしのコツ。小指から3本でしっかり握れと、ゴルフではよく言われるが、今泉さんは逆で、小指から3本の力を抜き、親指と人差し指だけで持つ感覚

Q3 ヘッド速度を上げる秘訣は?
A 腕とクラブをつながった二つの振り子にするんです。

肩を支点にした腕の振り子と、グリップが支点のクラブの振り子。この2つの振り子を連動させることで、力ではなく遠心力とテコの原理が働き、ヘッドスピードがアップする

「軸をブラさないことが飛距離アップには大切です」。飛ばしのコツが詰まったスウィングを参考にしよう!!

体は大きくなくても、腕力が成人男性の平均以下でも、ドラコン大会では380ヤード越えでトップ選手に肉薄。

今泉選手は一般ゴルファーの希望の星だ!! 

最後に、小さいチカラで、大きく飛ばすためのポイントを、科学の目で秘密を暴いてくれた岩本プロがより詳しく分析。これを参考にすれば、プラス50ヤードも夢じゃない?!

POINT1 ボールの右側を見てます

画像1: 「軸をブラさないことが飛距離アップには大切です」。飛ばしのコツが詰まったスウィングを参考にしよう!!

スタンスを広めにとり、アッパーでボールをとらえる体勢を作っている。
右足太ももの内側の内転筋を張ったアドレスなので、このラインが保てる。

POINT2 股関節に体重を乗せます

画像2: 「軸をブラさないことが飛距離アップには大切です」。飛ばしのコツが詰まったスウィングを参考にしよう!!

右足内側で体重を受け止めているから、トップで上体が力まない。
体重移動ではなく、捻転で上げているので、トップでも左サイドが下がらない。

POINT3 左足を強く踏み込む

画像3: 「軸をブラさないことが飛距離アップには大切です」。飛ばしのコツが詰まったスウィングを参考にしよう!!

アドレス時の左足首、左ひざ、頭の位置がキープされ、右腕が伸びる。

POINT4 頭の位置は動かしません

画像4: 「軸をブラさないことが飛距離アップには大切です」。飛ばしのコツが詰まったスウィングを参考にしよう!!

頭の位置がアドレス時と変わらない。左足内側で体重を受け止めている。
左足太もも内側でパワーを受け止めているので、インパクトでも頭が動かない。

POINT5 遠心力で腕は伸びます

画像5: 「軸をブラさないことが飛距離アップには大切です」。飛ばしのコツが詰まったスウィングを参考にしよう!!

腰の回転を抑え、左股関節で体重を受け止めて、腕を振り切っていく

POINT6 クラブが体に巻き付く感じ

画像6: 「軸をブラさないことが飛距離アップには大切です」。飛ばしのコツが詰まったスウィングを参考にしよう!!

体重移動を抑えた回転重視のスウィングだから、左足がめくれない。
左股関節が使えているので、ちからを逃がすことなく、フィニッシュまで振れる。

This article is a sponsored article by
''.